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阿部眞士さんの仕事

北九州国定公園。明治日本の産業革命遺産として世界遺産登録の引き金となった北九州市の河内貯水池があります。八幡製鐵所の工業用水確保のため、1919(大正8)年から8年の歳月をかけて造られた人造湖で、石積みの堰堤が味わい深い。この綺麗な景色を抜けて進むと祐工窯があります。

河内貯水池
祐工窯の看板

元々は陶器の仕事もされていましたが、白磁のもつ生活の中で使う安心感や楽しさなどの魅力から、現在では白磁に絞って作陶されています。

阿部さんの白磁の仕事といっても幅は広く、土や釉薬の仕込み、轆轤や型物の成形、そこから染付や鎬、線彫りなど。鎬や線彫りのものは、濡らした布巾で拭いて表面を落ち着かせる作業もあります。素焼き、施釉し本焼き。色絵はそこから色をのせて、さらに窯で焼く。なんと工程の多いことか。

染みついた動きで轆轤に向かう。
流れるようにスッと立ち上がる。
染付(呉須)
細かな模様は鉛筆であたりをつける。焼成の時に鉛筆の炭は消える。
サッと描くスピード感。

染付、色絵、鎬、線彫りなど多様な技法に取り組まれますが、そもそもの形が良くなければ成立しません。第一印象の綺麗さは手にとってみたい気持ちにさせてくれます。手に取ると程よい厚み。すぐに欠けたりする不安なく、重ねた時の収まりは食器棚でも整然と収まります。

整然と並ぶ焼成前の器。ピリッとした形は模様のあるなしに関わらず良い。

日々使うことを芯に作陶される阿部さんの器は、端正で安心感あります。そこに古いものから学んだ模様や技法は、器に品を感じさせます。大きめの磁器にドンとおかず、取り皿は土もの(陶器)にしたりその反対も。食卓でそのバランスも楽しんでいただけたらと思いますし、お茶やお酒に一品もぜひ。

展示会は10月15日(日)までですが、22日(日)まではオンラインに掲載の予定です。

https://toworu.official.ec/

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