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【レビュー】K2C

曲名に付いているマークの説明

☆:抑えておくべき代表曲
★:抑えておくべきジェームス小野田の代表曲
◯:隠れたいい曲
●:クセがすごい

【概要】

1991年1月25日発売の6thアルバム。

既存曲のリメイクと新曲にライブテイクの曲を交えたアルバム。
初回限定盤は8㎝ミニアルバムが付属する特別BOX仕様になっている。
特別BOX仕様は作りが凝っているためか、壊れやすくもある(私調べ)。

アルバムのタイトルは、「KOME KOME CLUB」の愛称をそのまま名付けている。

個人的な話で恐縮だが、私が初めて買ったアーティストのCDアルバムである(これより前にアニメ「CITY HUNTER」のサウンドトラックを買ったのが初CD)。「浪漫飛行」で米米CLUBを知り、興味を持ち始めたところに店頭で出くわし、一目惚れしたかのように買ったCDである。なので、手元にあるのが初回限定盤なのは単なる偶然である(初回限定盤であることを知ったのはもっと後のこと)。あと、もっとどうでもいいけど、このCDを買ったCD屋さん(個人経営の電機店)で後にアルバイトとして働くことになる。
例の大ヒットが生まれる前のアルバムであり、当時はまだ「浪漫飛行」や「FUNK FUJIYAMA」で米米CLUBが一般的に認識され始めた時期だったため、今振り返っても「よく買う気になったな」とほめてあげたい。
このCDで米米CLUBの多面的な魅力にハマり、少しずつアルバムを買い集めたところに、例の大ヒット曲が出て一気にメジャーになった。
だから、メジャーになる前から米米CLUBを好きだったんだよ、私は、と少し胸を張って言えると自負している(少しね)。

Disc1(12cmアルバム)

1 I・CAN・BE ☆

言わずと知れた米米CLUBのデビューシングル。あくまで、シングルとして発売された曲として最初ということだが。
アルバムとしては、これもデビューアルバムである「シャリ・シャリズム」にも収録されている。
「シャリ・シャリズム」に収録されているものとは曲調が異なり、より洗練された趣がある。

2 Peeping Tom ●

コミカル・ボーカルの曲。
前奏の序盤にして怪しげな雰囲気を醸しつつ、そこから軽快かつコミカルな曲調へと昇華していく。
米米ファンとしては、この曲が佳境を迎えた時に、脳内におかしな着ぐるみを着せられてコミカルに踊るジョプリン得能の姿が浮かばずにはいられない。

3 FUNKY STAR

芸能界における栄枯盛衰を歌にしたような曲。
その後米米CLUB自体が解散に追い込まれ、「あの懐かしの」バンドになりかけたところはちょっと皮肉か?
再結成して、期間限定も撤廃して、本当によかった。

4 En mi corazon ○

1stアルバム「シャリ・シャリズム」収録の「On My Mind」のリアレンジ版。
「My Mind」がオリエンタルな雰囲気で情景的だったのとは違い、スローでムード溢れる情熱的なラブソングになっている。
ちなみに、タイトルの「en mi corazon」は、スペイン語で「心の中」「私の心で」という意味らしく、「on my mind」と同義と言ってもいいかも。でも、英語からスペイン語になったことが、曲調が情熱的になったことと重なるという意味では秀逸なタイトルともいえる。

5 Troubled Fish

2ndアルバム「E・B・I・S」に収録された「トラブル・フィッシュ」のリテイク。ライブでかかるときはこちらのバージョンなので、このK2C版がより米米CLUBが求めていたものなのだろう。
耳と脳と心に優しくまとわりつくようなメロディーに示唆的で艶っぽい歌詞がマッチしている。

6 KOME KOME WAR(☆)

4thアルバム「GO FUNK」に収録され、シングルカットもされている代表曲のリテイク。
原曲のアングラ感がそぎ落とされてテンポアップし、ポップにアレンジされている。
また、「セメテ/ヤメテ」の掛け合いが「ファイト」に変更されるなど、歌詞も一部変わっている。
すっきりしすぎてしまって、個人的には好かない。原曲の方が圧倒的にいい。

7 Paradise

4枚目のシングルとして発売されながら、納得のいくテイクをさせてもらえなかった反発なのかアルバムには収録されてこなかった曲(B面の「Parodies」が「SINGLES」に収録されている)。
ということは、このテイクはバンドが求めたものにある程度はなっているということなんだと思う。
歌詞としてはいけ好かないプレイボーイの実業家の自慢といったところなんだけど、曲調がかっこよくてそのバランスがいい。シングル盤とは歌詞も曲調も違うが、バランスという観点でいうとこのK2C版がはるかにいい。

8 Simple Mind ○

このアルバムの中では、カールスモーキー石井の歌声が特に美しく響く名曲。
「抱きしめても何気ない二人」「ことばじゃないやさしさ」という歌詞が、何気ないけどあったかい。

9 Sûre Dance ☆

3rdアルバム「KOMEGUNY」に収録され、シングルにもなった初期代表曲のリテイク版。「Paradise」と同じく、こちらの方がよりバンドが求めていた曲調ということなのだろう。だいぶ雰囲気が違う。
とはいえ、妖しさとエロスはしっかり表現されている。

10 Transfer

カッコいい系の曲。
夢を取るか、愛を取るかという内容にも聞こえるし、とにかく人生の岐路を情景的に紡ぐ曲になっている。

11 STAY ○

2ndアルバム「E・B・I・S」に収録された曲のリテイク。
「E・B・I・S」盤があっさりしているのと比べると、スローでかつ艶っぽい。
理由わけなどいらないわ つくろわないでよ」の歌詞が、より美しく響く。

12 Just U ☆

ライブの定番曲で、ライブの最後にかかることが多い。
曲の内容としては別れた人を忘れられない気持ちを熱っぽく歌った曲なのだが、これがライブでかかると、ライブの終焉が惜しいという雰囲気になる。

Disc2(8cmミニアルバム)

初回限定盤に付属する特典的8㎝CD。
8㎝CD自体が懐かしい。
それぞれの曲がコンサートツアー「a K2C ENTERTAINMENT SHARISHARISM 7」の3メニューのタイトル曲であり、3曲ともその際のライブテイクになっている。

1 Kick Knock

米米CLUBの曲としては珍しい部類に入るほどしっかりとロックしている。
その中に、ホーンセッションがかっこよく響いたり、ライブではダンスパフォーマンスがイケてたり、カールスモーキー石井の歌声がイカしていたりと、米米らしさは存分に表現されている。

2 2much 2ist

一転してポップな曲調。
ライブの序盤で演奏されているが、まさにこれから始まるという高揚感が掻き立てられる一曲。

3 Co-Conga

ライブVHSでは「El-Co-Conga」とクレジットされている。
「2much 2ist」と違ってライブの後半、クライマックスでかかるイメージ。
ラテン系の軽いノリに思わず心も身体も弾んでしまう。

【まとめ】

リテイクあり、ライブ音源あり、新曲ありの意欲作。
米米CLUBが少しずつメジャーになってきた流れの中で、さらなる攻勢をかけようという感じもある。
一方で、ジェームス小野田が前面に出る曲が収録されておらず、米米CLUBのすべてを網羅的に表現できているとはいい難い。
聴いていてスムーズに聞けるが、その分米米CLUBがもつアクの強さを弱めているということなのかもしれず、本格的にファンになってから聴くとトータルとしては物足りなさも感じなくはない。
でもなぁ、一曲一曲いい曲揃いだし、個人的な思い入れもあるし、悪いとは言えないんだよな。
「きれいな米米」としては適度にまとまっているということでお願いします。

<ジャケット>

買って聴いてお気に入りになった分、箱の痛みと汚れが目立つ…
初回限定盤なので、こうやって持ち上げて…
開くと、そこには特典の8㎝CDが


箱の中に12㎝CDが入っている。
通常版はこれだけになっている。

なんといっても気に入って何回も聴いて、何回も開け閉めしたので、箱の痛みがひどいが、その分愛着もあります。
まあ、完全に個人的な話ですが。

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