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ある受刑囚の手記7

ある受刑囚の手記1
ある受刑囚の手記6

ここ数日、私は発情の時期を迎えている。
受刑者に投与される薬剤には、生殖能力を大きく阻害する働きもあって、ケダモノどもが勝手に数を増やすのを防ぐ目的でだろうが、おかしなものでそれでも身体は交尾を求めてしまう。

私の中のケダモノは今もオスを望んでいる。
人間の男性にはとても癒せまい渇きだ。
一度、冗談まじりにだが、性欲処理用にせめて大型犬でも飼ってはもらえないかと切り出してみたことがある。
二度とそんな提案はするまいと私でも思ってしまうような表情で拒絶された。

支援者たちが私を思ってくれているのは分かるつもりだが、彼らはどうも上品すぎる。

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