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お前、もう認めろよ

映画 君が君で君だ を観た。
(少しネタバレあります、ご注意)

アイスと雨音に引き続きの松居大悟監督。
40回以上観た作品の監督の、次の作品。
アイスと雨音が大好きだからこそ、
不安にも思っていた。
観る前からモヤモヤした感情を
引きずっていたし、
観るのが怖かった。
(アイスと雨音についてのことに
興味ある方はこちら)


観てみると。

純愛だった。
想像していたよりも、純粋すぎた。

純粋な恋だからこその
純粋な行動。

僕には
気持ち悪いとも、
異常だとも、
どっちも思えなくて。

片想いだからこその、
強い想いがそこにあった。

強いだけで、
それを異常というのは
おかしいのではないだろうか?
と思ったが、
そう呼ぶ人はいるだろうな、
とも思えた冷静な部分が自分にあった。

ただ、果たしてそれが本当に
片想いであったかどうかは
置いておいて。

片想いしかしたことがなく、
今年30歳にも関わらず、
未だに恋人の1人も
出来たことのないゲイには、
足りないくらいに共感しかなかった。


好きすぎて。
何が好きなのか分からなくなる。
好きな人が好きな自分に、
満足しているだけ、
むしろそんな自分が好きなんじゃないか。
そうなる時が、ある。
また、
その人自体になってしまいたい、
とも。

少し要約したが、
そういうところが、
特に共感した部分だった。

それに共感してしまったから、
僕は 君が君で君だ に、
『お前、もう認めろよ』と殴られた。

そう、
僕はアイスと雨音に恋をしている。
アイスと雨音が好きな僕に、
満足している、
そんな自分が好きなんだ。
アイスと雨音という作品に、
なりたい。作りたい。
重なりすぎている部分を、一体化したい。

ずっと気付いていた。
ずっと認めろって、
そう言われると薄々分かっていた。

だから観るのが怖かった。

シーンが進むたびに、
共感が増えるたびに、殴られた。

悔しかった。辛かった。
気持ち悪いとさえ言われた。

殴られれば殴られるほど、
それでもアイスと雨音が好きで好きで、
その気持ちが増すばかりで。

好きの気持ちが増しすぎて。
いっそのこと殺してほしいとも思った。

と、いうくらいに 君が君で君だ にも
自分を重ねてしまったのだ。


ただ、1つだけ
共感が出来なかった。

それは、
「あなたは私の太陽なんです」
という言葉。

好きなものを『太陽』という
たった1つの存在にまとめられるのは、
今の僕には出来ないことだと思った。

もじるとするならば、
「あなたは私の心に
 降り注ぐ雨なんです。」

僕にはまだ、好きなものを
1つの存在にまとめきれていない。

そこに関してだけは、
共感ではなく
『羨ましい』
という感情だった。


松居大悟は、
そういった「感情」というものを
表現するのが上手いし、
その感情を手榴弾にして、
人の懐に入れるのが
ズルいくらいに上手い。
と思っている。
さらに、それらには全て
「松居大悟」という
人間を感じさせられる。

それはきっと
自分がどこまで関われるのかにも、
変わってくると思う。
監督だけ、脚本だけだと、
それが上手く出し切れていない
ように見える時がある。

アイスと雨音、君が君で君だは
どちらも作・演出である。
(あえて演劇な書き方で)

アイスと雨音は、
松居大悟の『今』の感情から
人を巻き込み、
そこからあえて『作品』を作ろうとして、
その中の様々な人の感情があってこその、
ごちゃごちゃな感情を押し込めて、
爆発させた作品で。
言ってしまえば、
【作品】というものに固執したもの。

君が君で君だは、
松居大悟の『過去』と『今まで』と
を結びつけ、
そのどちらもの感情を混ぜ合わせた
自分自身の中にある
ごちゃごちゃな感情を押し出した作品で。
言ってしまえば、
【過去の払拭】に固執したもの。

それらをストレートに伝えてきた。
ただ、伝わってきたものは違った。

君が君で君だ は
アイスと雨音よりも
「松居大悟」という人間を感じた。

そう、
僕は、
あれほど好きで好きで観続けていた
アイスと雨音に対して、
松居大悟から
気持ち悪いと言われたのだ。

だからなのか、
君が君で君だは何回も観る気が起きない。
そう思ってしまった。

見るたびに殴られそうになったり、
僕を否定される気がするからだ。

そんなに否定されるのであれば、
いっそのこともう、松居大悟は
僕を殺してはくれないだろうか。

そう思うくらいに。
1日2回の観賞は精神的にも体力的にも、
辛かった。

ただ、落ち着いたら
もう一度改めて観てみたいとも思った。

あえて。
アイスと雨音を観た直後に、観てみたい。

また同じことを言われるかもしれないが、
言われることは分かっているんだ。
返り討ちにしてやろう。

そうしよう。
松居大悟を、逆に。
〇〇〇やるくらいに。

#松居大悟 #君が君で君だ #君だ #アイスと雨音 #阿部広太郎