不公平な天気予報

例えば
隣家の蛍光灯の下で照らされる今夜の夕食の味を、そこで交わされるお決まりのジョークも、
わたしの知りえないこと。まるで、遠い国の話のように。
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夜、21時半。グレーの背広を着た二人の男。駅のホーム。背中合わせに座る。知らないもの同士。
培ってきた、言葉の使い方も、大事な場所のことも、愛することの出来ないままの思い出も。
知ることはない。通り過ぎて行くもの同士。何もかも少しずつ、ぜんぶがちがう。
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例えば
木星から望遠鏡をつかって地球を見ても、砂の粒にも満たないようなものたちだけど。

きみはわたしじゃない。
わたしはきみを生きれない。

選べないもの、全てに名前をつけて、
DNA、XY染色体、父親の声、母親のクセ。
あのね。ひとは泡から生まれたんじゃないよって。
ひいひいばあちゃんの好きなものをなんにも知らなくても、繫がってきた血の中に生まれてきたんだ。新しいひとよ。

全てが似てるようでいて、何もかも既視感の中にあるような気がして。

だけど、どうやら違うみたい。

生きてるってムラだらけ 宇宙はまるまる不公平。

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ただいま、新しい朝がまいります。

今日の天気は全国的に気持ちのいい晴れとなるでしょう。

よい1日を。


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