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思い入れのあるホステルの閉店

駅に向かうところにホステルがあり、道路沿いは広い窓ガラスで、受付や休憩場所が見えます。

いつも綺麗な窓際が、今朝、仕事に向かう時に白や黒の袋が積み上げられていて、嫌な予感がしてさらに横を見るとぬいぐるみやクッションなども窓際に置かれていました。いつもついている電気も消えています。

廃業だろうかと不安になり、悲しい気持ちになりました。帰宅時に見ると閉店のため、使用済みマットレスなどを無料で譲りますとの貼り紙がありました。

そこは、いつもインバウンドの旅行客でいっぱいで、昨年度は海外旅行客が来られなくなり、大丈夫だろうかと心配しました。それまで多くの旅行客がくつろいでいたガラス越しの休憩場所は、人がいないことがほとんどでした。年度途中から、在宅やフリーランスのためのワークスペースとして借りられるとの看板も出ていました。

調べるとここは、世界最大のホステル・格安宿泊施設予約サイトのホステルワールド(Hostelworld.com)より、世界中の優れたホステル・ゲストハウスを表彰するアワードである、2017年HOSCARS(ホスカー)受賞結果において、都市別部門で東京のベストホステルに選ばれていました(HOSCARSは、ホステルワールドに加盟している世界170カ国3万3,000件の宿泊施設すべてを対象に、過去12カ月間に寄せられた100万件の顧客レビュー(総合評価、お買い得感、セキュリティ、立地、スタッフ、雰囲気、清潔さ、そして施設についてのフィードバックスコア)に基づいて、規模や大陸、国などのカテゴリー別に表彰している)。

私がここに思い入れがあるのは、開業した2014年からの変遷を見てきたからです。

以前は予備校があったところかと思いますが、立地的に何かの店舗ができても商売は難しいところと思われました。近隣も店舗が出来ては、他の店舗に変わっていました。ある時に工事が始まり、何かお店が出来るのだなと思っていたところ、ある夜の帰宅時に道路沿いの窓ガラスから、何もないスペースの奥の棚があるところだけ電気がついて、数名の人達が乾杯や談笑をしていました。夜のお店でも出来たのかなと思いながら通り過ぎました。

毎朝通っていると、しばらくすると何もなかったスペースにクッションが置かれて、旅行客と思われる海外の方がくつろいでいて、奥の棚は受付スペースのようでした。調べるとホステルとのことで、なるほど、観光客にとっては観光地も近く、駅からも近いので使いやすいと思いました。建物もホステルとして使うことはできます。

旅行客は少しずつ増えていき、クッションも増えて、ソファが入りました。そのうちに壁に備え付けのテレビも付いて、朝はニュースのようなものが流れていました。さらに窓際に木で棚が出来て、毎朝2名の海外の方がパソコンをしていました。その光景を見ていると、こちらも海外に行っているような気分になりました。クリスマスにはクリスマスツリーが飾られて、灯りがついて賑やかな様子になりました。

どんどん進化していく様子を毎日感じることができました。

とはいえ、直接の関わりはなかったのですが、ある時期に私がインバウンド向けの体験イベントを行っている事業者さんの相談を受けていて、多くの海外の方にその体験イベントを知ってもらいたいとの話になりました。ふと、このホステルには毎日多くの方が泊まっていたので、その宿泊するインバウンドの方々に体験イベントを知ってもらえたらと思いました。説明用のチラシを置いてもらうことはできないかと思い、初めて訪れてみました。見知らぬ人の飛び込みでの依頼でしたので、そんなものは置けないよと断れられることを覚悟しました。しかし、対応してくださった方は、チラシを置いてもいいですよとおっしゃってくださいました。ますますお気に入りのところとなりました。

そのような立ち上げの時から長年ずっと進化を見てきたので、閉店はとても寂しく感じました。昨年度から心配していたこともあり、現状で続けていくのは、家賃等も大変だから仕方がないとも思います。

会社の母体は他のところにあるようですので、もう少したって落ち着いたら、また、あの成長する様子を拝見できたらと願っています。

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