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日本滞在記・水の国

3年ぶりの日本。

空港から外にでると、とろん、とした空気に覆われた。

微細な水のツブツブが、空気中に混入されているのを感じる。

それが、ねっとりと首の周りにまとわりついてきた。

カリフォルニアの、カラッとした空気よりもずっと重量感がある。
「空気みたいな存在」って、よく言うけど、日本の空気って、存在感、あるね。

幸運にも、成田に降り立った9月半ば、その日は、さして暑くもなく、柔らかな風さえ吹いて、私と夫を迎えてくれた。

ただいま、日本。

日本を訪れた外国人が、口を揃えて言うように、人々の親切で、整然としたサービスを、いきなり成田空港で体験した。

72時間以内に取った、コロナの陰性証明を、指示通りスマホの、指定されたアプリにダウンロードして空港に降り立った。

税関を抜けるまで、通路にはたくさんのスタッフが 私たちをガイドするために待機して、空港内の無料WiFi に繋げる手伝いや、案内をしてくれた。

日本への入国は、お陰で、あっけないくらい簡単だった。

空港ゲートを出たら、まずはドルを円に換金。
知ってはいたけど、この円安。
「え、日本に来るだけで儲けてる?」
残しておくつもりだったドルまで 追加で換金。

その後、携帯用のWiFiを借りて、当面、必要のない荷物の入ったトランクを夫の実家へ送り、レンタカーの手続きを済ませて、空港を出る。

あ、その前にお手洗い。
ほまれ高き、日本の公共トイレ。清潔で、ウオッシュレット完備、
ザ•日本のトイレは 日本の心意気が感じられる。

清潔さに現れるのは、他人への心づかい。

カリフォルニアでは、もうほとんどマスクをしている人は見ないけれど、日本ではしっかりマスク。
忘れて、しょっちゅう車まで取りに行ってたけどね。

親戚の家を訪ねるために、レンタカーを借りて、夫の運転する横で、私は缶コーヒーを飲んでみる。
さっき、レンタカーを借りた場所にあった自動販売機で買ってみた。

甘い。
この甘いコーヒーにホッとする。甘い、とは、缶のどこにも表示されてはいないのに、どうしてこんなに甘いのだろう?
といつも思う。
外国人が、知らずにが飲んだら、きっとギョッとするに違いないと、心配になる。
特別、好きでもないこの缶コーヒーを 夫と分けてちょっとだけ飲んでみるのは、これがお手軽な日本の味だから。
自動販売機の缶コーヒー。

味だけじゃない。
この缶コーヒーの小ささにも、びっくり。
途中のサービスエリアで 夫が買ったホットコーヒーだって、アメリカではありえないくらい小さい。
キッズサイズだって、こんなに小さくはないでしょう?


高速道路を降りて、一方通行にしか思えない、田舎の狭い道路をずんずん行きながら、しっとりとした空気と、瑞々しい緑に気持ちが和らぐ。

カリフォルニアの夏は 乾き切っていて、こんな緑を道路脇に見ることはないから。

夏枯れの、黄金の草が広がるカリフォルニアの大地を思うと、この緑はキセキでしかない。

水が豊かにあるということに、しみじみとする。





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