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保育園の先生が冷たくなっていて・・・

赤坂先生「ちょっと?青井先生、しっかりしてよ!寝坊ってどういうこと?」

青井先生「ごめんなさい・・・!」

ここは、田舎にあるカラフル保育園。たった2クラスしかない小規模な園である。

青井先生があお組。赤坂先生があか組を受け持つという、とてもわかりやすいフォーメーションだ。

赤坂先生は保育士10年目の大ベテラン。青井先生は4年目の若手だ。

どうやら今日は、青井先生が遅刻してしまい、赤坂先生に怒られている様子である。

・・・

赤坂先生「本当に・・・あんた、やる気ある?」

白石園長「まあまあ、青井先生も反省しているようだし、そのくらいにしておきましょうか・・・」

赤坂先生「園長がそう言うなら・・・わかりました」

青井先生「今後、気をつけまっす!」

青井先生は、ちょっぴり仕事ができないお調子者タイプ。

それをしっかり者の赤坂先生が厳しく指導している様子は、カラフル保育園ではよく見る光景だ。

白石園長は、そんな光景をあたたかい目で見ているおばあちゃん先生だ。

・・・

桃川先生「青井先生、お教室の掃除が終わりましたー!」

青井先生「ありがとー!頼りになるよー!」

桃川先生は、今年入ってきた新米の先生だ。あお組の副担任として日々、業務を覚えているところだ。

青井先生は、そんな桃川先生を可愛がっている。

・・・

黒崎先生(バスの先生)「それじゃあみんな、いってらっしゃーい!」

彼は登園バスの先生(いわゆるバスの運転手)。カラフル保育園唯一の男性教員だ。

毎日、7時頃から巡回し、8時くらいには登園が完了する。

・・・

カラフル保育園では、いま紹介した計5名の先生が、毎日子どもたちのお世話をしている。

・青井ナオ:あお組担任
・白石園長:カラフル保育園の園長
・赤坂先生:あか組担任。青井先生を厳しく指導。
・桃川先生:あお組の副担任。青井先生の後輩。
・黒崎先生:バスの先生。唯一の男性教員。

・・・

朝9時。各クラスで朝の会を行う時間だ。

朝のあいさつをして、お歌を歌ったり、絵本を読んだりする時間。

青井先生「今日は、先生と一緒にお歌を歌いましょうー!」

・・・

朝10時。日によって活動は変わるけど、天気がよければ園庭で外遊びをすることが多い。

青井先生「今日は、お外でみんなでかくれんぼで遊びましょうー!」

・・・

お昼12時。給食の時間。

青井先生「残さずに食べましょうー!」

・・・

午後1時。お昼寝の時間。外遊びをした日には、実際に1〜2時間くらい睡眠をとる。

青井先生「今日はお外で遊んで疲れたから、おやすみしましょう・・・」



とむ「あおい先生、一緒に寝よー?」

とむくんは、寝付きの良くない2歳の男の子。お昼寝のときは青井先生にぴったりくっついていないと、眠れないらしい。

青井先生「うん、一緒に寝よう!」



青井先生&とむ「zzz・・・」

白石園長「あら、微笑ましい光景ね・・・!」

桃川先生「そうですね、園長・・・」

・・・

午後3時。お昼寝がおわったら、おやつの時間。

青井先生「・・・」

桃川先生「もー、青井先生?みんなと一緒に2時間ぐっすり寝てるね?起きてー!」

青井先生が起きないので、桃川先生が他の園児たちと一緒にからかっている。

青井先生「・・・」

とむ「ねーねー・・・」

桃川先生「とむくん、どうしたの?」



とむ「あおい先生、冷たくなってるの・・・」

桃川先生「え?」

とむ「あおい先生、いつもはあったかいの。おててとか、おむねとか、おしりとか、あしとか。でもね、今日は全部冷たくなってるの・・・。全然動かなくなっちゃった。具合悪いのかな」

桃川先生「あんまり、青井先生に触っちゃダメだよ?女の人の身体だからね・・・」

桃川先生は、将来とむくんがエッチな子に育つであろうことを確信しつつ、青井先生の様子を確認した。

桃川先生「青井先生、大丈夫ですか?」

青井先生「・・・」

桃川先生「とむくんの言うとおり、全然動かないね・・・」

桃川先生は、他の先生たちを呼びに行った。

・・・

白石園長「青井先生、大丈夫ですか?」

赤坂先生「まったく・・・保育中に眠ったまま起きないって。やる気あるの?」

桃川先生「ちょっと様子がおかしいんです。全然動かないし、身体も冷たくなっていて・・・」

黒崎先生(バスの先生)「おい、大丈夫か?」

黒崎先生が、青井先生の身体を仰向けした。



桃川先生「え・・・?青井先生・・・?」

白石園長「これって・・・」

赤坂先生「し・・・死んでる・・・?」

黒崎先生(バスの先生)「う、うそだろ・・・」

・・・

とむ「あおい先生、具合悪いの?だいじょうぶ?」

桃川先生「とむくん!ちょっと・・・あか組のお部屋に移動しようか」

とむ「でも、あおい先生、かわいそうだよ?」

桃川先生「うん、大丈夫だから・・・」

先生たちは、園児を別の部屋に移動させ、救急車を要請した。

・・・

救急隊員「意識なし。呼吸なし。瞳孔散大。体温低下・・・」

救急隊員「残念ですが、お亡くなりになっています」

救急隊員「あとは、警察の方に引き継ぎます」

白石園長「そうですか。大変なことになってしまった」

・・・

刑事「これが仏さんか。合掌」

刑事「遺体はこちらで署まで運びます」

白石園長「はい・・・」

・・・

赤坂先生「刑事さん、わたしたちはどうすれば・・・」

刑事「そうですね。園児たちを帰してもらって、そのままここに残ってください」

白石園長「事情聴取とか、するんでしょうか?」

刑事「はい、そうですね」

桃川先生「今日は、家には帰れないんですかね」

刑事「そうなりますね」



刑事「この中に、青井先生を殺害した犯人がいますから」



先生たちは、刑事の言葉に驚愕した。

黒崎先生(バスの先生)「これって、殺人なんですか?」

刑事「状況からみて、ころしでしょう」

赤坂先生「そ、そんな・・・」

田舎にあるたった2クラスしかない小さなカラフル保育園で発生した保育士殺人事件。

刑事は、犯人を特定するため、先生ひとりひとりに事情聴取を始めた。

読んでいただいているみなさまも、青井先生を殺害した犯人が誰なのか、推理しながらお楽しみください!

・・・

【ケース1】白石園長

刑事「お名前と年齢、園での役割を教えてください」

白石園長「わたしは白石ミキコといいます。年齢は60歳です。園長をしています」

刑事「青井先生との関係は?」

白石園長「彼女は、私が採用した若い女性の先生です。私と青井先生は、良好な関係を築いていたと思っています」

刑事「最近、変わったことは?」

白石園長「今日、青井先生が遅刻をしてきたんです。赤坂先生が怒ってしまって、私が仲裁しました」

刑事「犯人に心当たりは?」

白石園長「ちょっと、わからないです」

刑事「被害者との思い出は?」

白石園長「まだ、うちの園に入りたてのとき。青井先生がお遊戯会の準備が間に合わなくて、私を含めた先生全員で準備したことですかね。大変だったけど、微笑ましいことでした」

青井先生(みなさん、ごめんなさい!助けてくれてありがとうございます!)

・・・

【ケース2】赤坂先生

刑事「お名前と年齢、園での役割を教えてください」

赤坂先生「赤坂エミといいます。年齢は32歳です。あか組の担任です」

刑事「青井先生との関係は?」

赤坂先生「彼女は私の後輩にあたる先生です。正直に言うと、あまり好きではなかったです。青井先生は、仕事はできないくせに、見た目だけは若くて園児や保護者から人気がありました。私はいつも彼女のことを叱っていたので、彼女も私のことをよく思っていなかったでしょう」

刑事「最近、変わったことは?」

赤坂先生「特にないですね」

刑事「犯人に心当たりは?」

赤坂先生「私じゃないですよ」

刑事「被害者との思い出は?」

赤坂先生「思い出ねえ。そういえば、1回だけ青井先生に助けられたことがあります。私がプライベートで落ち込んでいたとき。あか組の保育を快く引き受けてくれたんです。気持ちはありがたかったけど、やっぱり仕事が雑で、結局こっちの仕事が増えただけ」

青井先生(わたしに任せてください!大丈夫です・・・って、あれれ?)

・・・

【ケース3】桃川先生

刑事「お名前と年齢、園での役割を教えてください」

桃川先生「桃川アカネといいます。年齢は22歳です。あお組の副担任です」

刑事「青井先生との関係は?」

桃川先生「青井先生は、私の先輩です。毎日、あお組の保育を一緒にやっていました。自分で言うのも恥ずかしいけど、結構かわいがってもらっていましたよ。わたしも青井先生のことは大好きです」

刑事「最近、変わったことは?」

桃川先生「そうですね。最近、青井先生が赤坂先生に強く叱られることが多くて、少し元気がなさそうな様子を見せることがありました」

刑事「犯人に心当たりは?」

桃川先生「私は赤坂先生が犯人だと思います。赤坂先生は、明らかに青井先生のことを嫌っていましたから」

刑事「被害者との思い出は?」

桃川先生「そんなの毎日です。毎日、青井先生と一緒にやってきたことすべてです。プライベートでも仲良くさせてもらっていました。園の規則ではxx先生って呼ばないといけないんだけど、こっそりアカネちゃんって呼んでくれていました。うちの父が製薬会社の役員なので、パパにお金もらって豪遊してましたよ」

青井先生(アカネちゃん〜!)

・・・

【ケース4】黒崎先生(バスの先生)

刑事「お名前と年齢、園での役割を教えてください」

黒崎先生(バスの先生)「黒崎アキトといいます。年齢は32歳です。登園バスの運転手をやっています」

刑事「青井先生との関係は?」

黒崎先生(バスの先生)「青井先生とは、同じ園の先生であると同時に、恋人関係でした。職場恋愛は禁止なんですけど、こっそり。」

刑事「最近、変わったことは?」

黒崎先生(バスの先生)「彼女は、将来に悩んでいたようです。保育士に向いていないんじゃないかって。あと、実は僕たちが付き合っていたことが桃川先生にバレちゃいましたね(笑)」

刑事「犯人に心当たりは?」

黒崎先生(バスの先生)「赤坂先生とうまくいっていなかったみたいでしたけど、ころすまではさすがにないかな、と思っています」

刑事「被害者との思い出は?」

黒崎先生(バスの先生)「毎日、楽しかったですよ。僕は結婚も考えていましたから」

青井先生(アキトくん!)

・・・

刑事は、先生たちから聴取した内容を基に相関図を作成した。

・・・

白石園長「刑事さん、犯人は本当にこの中にいるんでしょうか?」

刑事「うーん・・・」



刑事「あのガキにも事情を聞かせてもらおう」

赤坂先生「園児のことを、ガキって言うのやめてもらえますか?」

刑事「し・・・失礼・・・」

桃川先生「どの子に話を聞きたいんですか?」

刑事「ほら、あの、被害者と添い寝してた男の子・・・」

桃川先生「とむ、とむくんですか。でも、さすがにまだ2歳の園児に殺人事件の事情聴取というのは、よくないんじゃないでしょうか?」

刑事「そこをなんとか・・・」

桃川先生「とむは、犯人じゃありませんよ!」



白石園長「とむくんを呼んでくるわね・・・」

桃川先生「ちょっと!園長!!」

・・・

【ケース5】とむ

刑事「キミ、名前はなんていうんだ?」

とむ「あお組の佐藤とむです。2歳です」

刑事「青井先生のことは好き?」

とむ「うん!大好き!いつも一緒に寝てくれるから」

刑事「最近、変わったことは?」

とむ「うん、今日はあおい先生、冷たかった。いつもはあったかいのに。おててとか、おむねとか、おしりとか、あしとか。あとね、今日のあおい先生のあし触ってたらね、なんか固いところがあったんだ」

刑事「固いところ?」

とむ「そう!僕とあおい先生が一緒に寝てるとき、えんちょう先生と、ももかわ先生が来たんだけど、そのときから!」

刑事「なるほど」

とむ「おまわりさん?あおい先生は、だいじょうぶなの?」

刑事「お、おう、おじさん、ちょっとよくわかんないかな・・・」

・・・

刑事は、署にいる部下に電話した。

刑事「おい。被害者の臀部と脚部を確認してくれ」

部下「え・・・お尻と脚ですか?」

刑事「そうだ。青井先生のケツを見てくれ」

部下「先輩・・・変態じゃないですか」

刑事「変態は俺じゃないぞ。とむってガキの方だ。いいから早く」

部下「はあ・・・」



署にいる部下は、霊安室に移動して被害者の死体を所見することにした。

部下「合掌」

部下は、青井先生の死体を動かし、お尻の部分を確認する。

部下「うーん・・・」



部下「ん?」

部下「なんだこれは・・・?」



部下「刑事、被害者のお尻、確認しました」

刑事「どうだったか?」

部下「被害者の右側のお尻の少し下の太ももに、注射痕がありました」

刑事「そうか。成分は?」

部下「青酸カリ(毒物)が検出されました。死因は毒殺で間違いありません」

刑事「そうか、よくやった」

・・・

刑事「みなさん、犯人がわかりました」

先生たち「!!」

刑事は先生たちを集め、この事件の真相を語り始めた。

刑事「青井先生を殺害したのは、あなたですね」



刑事「桃川アカネさん」



桃川先生「え?」

・・・

刑事「桃川アカネは、青井先生の給食に睡眠薬を混入させた。お昼寝の時間に、被害者が眠りに落ちるようにするためだ」

鑑識「被害者の給食の容器から、睡眠薬の成分が検出されています」

刑事「そして、桃川アカネは、昏睡状態の被害者に毒物を注入したんだ」

白石園長「刑事さん、ちょっと待ってください。確かに青井先生はぐっすり眠っていました。でも、桃川先生が毒を盛っている様子なんてなかったと思います。私がずっと一緒にいたので」

刑事「そうでしょうね。桃川アカネは、直接被害者に毒を服用させたわけではないですから」

白石園長「それじゃあ、桃川先生は犯人ではないじゃないですか」

刑事「お尻ですよ。お尻」

赤坂先生「はあ?お尻ですか?」

刑事「桃川アカネは、被害者が昏睡状態になったことを確認すると、とむくんを介抱するフリをして、被害者のお尻付近に毒物を塗布した針を仕込んだんです」

赤坂先生「まさか・・・」

刑事「とむくんが目を覚ますと、いつも通りとむくんは被害者の身体を触った。その際、桃川アカネが仕込んだ毒針が被害者の体内に押し込まれて・・・」

鑑識「被害者の臀部付近に毒針の痕が残っていることも確認済です」

白石園長「そんな・・・」

桃川先生「そんなの、刑事さんの勝手な予想ですよね。だいたい、私がそんな睡眠薬とか毒薬とかを簡単に入手できるわけないじゃないですか」

刑事「桃川アカネ。お前の父は製薬会社の役員だ。薬のひとつやふたつ、簡単に手に入れることができただろう。警察から製薬会社に開示請求すればすぐにわかるだろう」

桃川先生「・・・」

黒崎先生(バスの先生)「刑事さん?桃川先生に青井先生を殺害する動機がないような気がするんですが」

刑事「黒崎先生、あなたですよ」

黒崎先生(バスの先生)「え・・・俺?」

刑事「桃川アカネは、黒崎先生のことが好きだった。違いますか?」

桃川先生「・・・」

刑事「桃川アカネは、黒崎先生と被害者が付き合っていることを最近知った。そのことを妬ましく思っていたんでしょう」

赤坂先生「でも、それだけで?」

刑事「あとは、とむくん」

赤坂先生「え?」

刑事「とむくんは、桃川アカネの子ども・・・なんですよね?」



・・・

桃川「刑事さん、もういいです。私の負けです」

赤坂先生「うそでしょ・・・」

桃川「みなさん、ごめんなさい。私が青井先生を殺害しました」

黒崎先生(バスの先生)「まじか・・・」

桃川「刑事さんの言うとおり、パパからもらった薬を使って犯行に及びました。毒針を青井先生の衣服に貼り付けて、とむが青井先生のお尻を触ったら針が体内に刺さるようにしました。とむは私の子なのに、なぜか私には懐かないで青井先生にばっかりくっついててムカついた。しかも、黒崎先生とも恋仲だなんて。仕事もできないくせに、私が手に入れたいものをすべてアイツが奪ったんだ。許せなかった・・・」

・・・

事件から20年が経過したある日。

カラフル保育園の光景。

赤坂先生「コラー!また遅刻?ちゃんとやってよね、佐藤先生!」

佐藤先生「ごめんなさい・・・!」

赤坂先生「まったく。来る途中に誰かのお尻でも触ってたんじゃないのかしら!笑」

白石園長「まあまあ。佐藤とむ先生も反省していることだしね・・・」


※公開している画像/テキストはすべて趣味制作のオリジナルでフィクションです。

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