全寮制高校で同室になったルームメイトの寝顔集
明日から高校1年生。
いまどきちょっぴり変わった高校なんだけど、全寮制といって、クラスメイトたちと共同生活する学校だ。
親元を離れて自立したいという気持ちが強くて、この学校を選んだ。
で、今日は3月31日でお引越し。
お母さん「セイラ、本当に大丈夫なの?向こうでもちゃんとやるのよ?」
セイラ「大丈夫だって!笑 じゃあ、またね!」
両親は心配そうにしていたけど、別に数か月に1回は帰省期間があって実家に帰ってくるし、立派に成長した娘に期待して見送ってほしいという想いがある。
・・・
今日は、寮長先生にあいさつして、同室のルームメイトといよいよご対面だ。
どんな子なんだろう。
仲良くできるといいな。
期待と不安でいっぱいになったわたしは、寮長先生から手渡されたカギで部屋を開けた。
そこにはルームメイトと思われる子がベッドにちょこんと座っている。
??「こんにちはー!」
これからルームメイトになる子が挨拶をしてきてくれた。
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わたしも、すかさず自己紹介。
セイラ「はじめまして、黒川セイラです。よろしくお願いします!」
ナオ「こちらこそ!わたしは青井ナオっていいます!よろしく!」
青井さんはニッコリ笑顔で挨拶を返してくれた。いい人そうでよかった・・・。
セイラ「青井さん、これから1年ずっと同じ部屋なんだよね、いろいろ迷惑かけるかもだけど・・・」
ナオ「ううん!そんなのお互いさま!ため口でいいし、ナオって呼んでくれて大丈夫!」
セイラ「あ、ありがとう、ナオ!」
ナオ「よったー!わたしもセイラって呼ぶね!」
そんな会話を数時間していたら、消灯の時間になった。
セイラ「明日、入学式なんだよね、緊張してきた・・・」
ナオ「大丈夫!今日はしっかり寝よう!」
ナオはそういってわたしを励ましながらパジャマに着替えた。
セイラ「ナオの寝巻き姿、かわいいね!写真撮らせてー?」
ナオ「えへー、かわいいでしょ、これ!」
ナオは、すやすや気持ちよさそうに眠っている。
ルームメイトがいい子でよかった。
わたしも、明日に備えて早く寝なくちゃ。
わたしはそんなことを思いながらナオの寝姿をスマホで撮影した。
今日は4月1日。入学式で、はじめてのクラスメイト、はじめての先生、はじめての行事でけっこう疲れた。
部屋に戻ると、ナオも疲れているのか、制服のまま寝てしまっている。
本当はいろいろ話したいことがあったんだけど、起こしちゃ悪いので今日はこのままそーっとしておこう。写真だけ取らせてもらおっと。
ところでこの子、寝るときふとんかけないのかな・・・。
あと、ちょっとだけ目と口が開いちゃっているような気もするけど・・・
今日はナオも疲れているだけだよね、きっと。
今日から早速授業が始まった。
中学校のときと違って、授業は早いし難しい。
しかも、みんなちゃんとついていってる。
わたしも頑張らなくちゃ。
セイラ「ナオ?宿題やった?」
ナオ「えー、もう疲れたー、明日あさ起きてからやるよー」
セイラ「いやいや、絶対やらないパターンじゃん・・・」
ナオ「ねむい・・・」
ナオ「zzz・・・」
ナオはよく寝る子だ。
うつ伏せで寝顔が見えないのが残念だけど、今日も写真は撮っておいた。
今日は部活動見学!ナオと一緒にテニス部を見てきた。
セイラ「テニス部入る?」
ナオ「うん、入る!一緒にやろー?」
セイラ「そうだね!」
ナオ「やったー!」
今日のナオは運動着姿だ。これでテニスなんかやったらモテるんだろうな、この子。
ナオ「それじゃあ、おやすみー」
セイラ「ちゃんと着替えなよ・・・?」
ナオ「zzz・・・」
セイラ「え・・・?ナ、ナオ?それって寝てる?大丈夫、だよね・・・?」
ナオ「zzz・・・」
寝息を立てているから、多分大丈夫なんだけど、目の焦点・・・合ってなくない?寄り目だし、口も開いちゃってるし。
ちょっと心配になったけど、今日も写真は撮った。
バカっぽいナオの寝顔も、見ててほっとするというか、なんというか・・・
セイラ「ナオさ・・・今日こそちゃんとパジャマでちゃんと寝たほうがいいよ?疲れが取れないし、制服や体操着もシワになっちゃうよ?」
ナオ「わかったよー、セイラはお母さんみたいだね」
セイラ「違う違うw」
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ナオ「これでいい?」
セイラ「うん、かわいい。似合ってる」
ナオ「ありがとっ!」
ナオはそういって、新しいパジャマを着てピースサインをしてきた。
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わたしは、なんだか今日はよく眠れなくてナオの様子を見てみた。
セイラ「今日はうつ伏せか・・・」
うつ伏せだと、寝顔が撮影できない。
わたしは、ナオにいたずらしてやろうと思って、うつぶせになっているナオの身体をそーっと、仰向けにひっくり返してやろうと思った。
一度寝たら、めったなことでない限り起きないし、バレないだろう・・・。
セイラ「それぇー!」
わたしがナオの身体を仰向けにひっくり返すと、身体がぼよんぼよんと揺れて、力なく天井を向いた。
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セイラ「ぎゃー!ナオ!?大丈夫!?」
ナオの目は完全に開いて上目をむいている。口も開いたままだ。
セイラ「ナオ、死んじゃった・・・?いやあー!!」
わたしは夜中の寮室で、大騒ぎした。
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騒ぎを聞きつけて寮長先生が部屋に来てくれた。
寮長先生「セイラさん、こんな時間にどうしたのよ?」
セイラ「ナ、ナオが・・・死んじゃってて・・・どうしよう!」
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寮長先生「ナオさん?お友だちをびっくりさせちゃダメだよ?」
セイラ「え・・・?」
寮長先生は、落ち着いた様子でナオの身体を起こした。
すると、ナオの目の焦点が戻った。
・・・
ナオ「セイラ、びっくりさせてごめんね。わたし、昔から寝顔が死んでるみたいってよく言われて・・・両親にも心配されてたの。それで寮長先生にだけは事前に相談してあったんだ」
セイラ「うわー、よかった・・・まじで死んだかと思ったよ。勘弁して!」
ナオ「ごめんごめんw」
寮長先生「事前に聞いてはいたけど、確かに・・・ほぼ死体だったわねw」
セイラ「いやーほんとそれです!」
ナオ「ちょっと言いすぎだよ、ふたりとも!」
セイラ「全然言い過ぎじゃない、ほら見てよ」
わたしはそういって、スマホで撮影したナオの死体・・・じゃなくて寝顔を本人に見せた。
ナオ「お、おう・・・前言撤回。これは死んでるわw」
・・・
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