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またDIYの日々

……といっても、これまでやってきた木工やペイント、上の写真の金継ぎ(割れた持ち手を復元させました)や手芸などではなく、新しいウェブサイトを自力でつくるという、わたしにとっては未開の領域のDIYである。

わたしと夫のポートフォリオの役割もしている「Table Talk」というサイトを開設したのは、2012年。
プロのウェブデザイナーさんにつくっていただいた、すっきり見やすくてスタンダードな構成のおかげで、途中で大きなリニューアルの必要を感じることもなく、今年で8周年を迎える。

しかし実は昨年末、忘れもしない大晦日の前日にふと「来年はウェブサイトを新しくしよう」と突然思いついたのだった(インスタグラムの大晦日の投稿にも閃きが降りてきたことを書いた)。
もちろんそのときは、今回もプロに制作を依頼しようと思っていたし、数ヶ月後に世界をコロナショックが襲うなどとは予測もしていなかったし、サイトリニューアルの時期や方向性については、しばらくぼんやりしたままだった。

ところが今回の外出自粛生活によって、家から外へ出ずに発信ができ、遠くの人たちともつながれるオンラインという方法が、自分のなかで「今すぐ味方につけるべき相手」として存在感をぐんぐん増してきた。

これまでは新刊を出すタイミングで行ってきた、書店でプロモーションをしたり、自ら販売をしたり、誰かと組んでイベントをしたりといったことが、今はすべてできない。またいつやれるようになるかもわからない。だったら、まずはそれらをすぐ行えるようなオンラインの場をつくろう。それを目的にサイトをリニューアルしたらいいんじゃないか、という道筋が見えたのだった。

自分でやると楽しい、そしてプロへの尊敬が増す

それがはじまりで、その後プロに見積もりもとったのだけれど、結局は自分でサイト制作をしている。

家のリノベーションもそうだったけれど、どうやらわたしは、初回はセンスのいいプロに助けてもらえる運に恵まれ、その後はDIYでやりたくなる星の下に生まれているようだ。

家づくりと同様、自分でやってみると、自由で楽しい反面、もちろん大変。でもそれよりなにより、プロへのリスペクトと感謝があふれだすのがDIYの真髄だ。
自分で手を動かす前は、見積もりを見ながら「高いなぁ」とため息が出た制作費が、実際にやってみると、今さらだけど当時の請求額に納得し、「あのとき高いなんて思ってごめんなさい」と猛省するのも家のリノベと一緒。

家の2階をDIYでリノベーションしたら、1階の空間がこれまで以上に好きになったように、ウェブサイトも、新しいサイトオープン後はそのままアーカイブとして残すつもりだ。過去の投稿をときどき読み返してくれる読者の方もいらっしゃるようだし、わたしたち家族にとっても、これまで8年間の日々がすべて詰まった大切な場所だから。

編集にときめく気持ち


そもそもデジタルに強い方ではまったくなく、この展開にはさすがに自分でも驚いている。でももっとびっくりするのが、この作業をあきらかに楽しみながら、姿勢だけでなくテンションまで前のめりでやっていることだ。

コードを一切書かずにドラッグ&ドロップでサイトがつくれる便利なホームページ制作ツールのおかげなのは大前提として、夫に指摘された「今やってることが究極の編集作業だからきっとそんなに楽しいんだよ」というのも、当たっていると思う。

仕事のなかで「編集」より「執筆」のボリュームが増えていっても、わたしが「編集者」の肩書きをはずさないのは、編集という仕事がとにかく好きだからだ。

集めて編む、という文字通り、異なる要素を束ねつつ、最も伝わりやすく構成する。その構成のバランスを、あーでもないこうでもないと模索する、その試行錯誤が好きで楽しくて、たまらない。そのときめきは、書籍でも雑誌でもウェブサイトでも変わらないことが、今回わかった。

トップ画面にどんな画像を持ってくるか、メニューバーの並びは何にするか、コンテンツの並び順は……とマウスであれこれ動かしていると、ごはんを食べる時間も寝る時間も惜しいくらい、集中してしまう。

写真の配置やフォント選びといったことはもちろん、ショッピングカート機能をつけるためにクレジットカード決済会社の審査を受けたり、PC用のデザインをした後にはモバイル用のデザインを調整したり、自動返信メールの設定とその文書を作成したりと、作業はどこまでもどこまでも果てしなくあって、印刷しない(つまり永遠に修正できてしまう)だけに、終わりがない。

でも、この無謀ともいえる挑戦に最後まで挫折することなく、無事に公開までこぎつけられたら、これまでどこか苦手意識が拭えなかったデジタルという存在が、ものすごく頼りがいのある友達みたいに思えるかもしれない。それはわたしにとって、まったく新しい世界の扉が音を立てて開く瞬間なのだ。

最初はどこか及び腰なところからのスタートで、それが数日パソコンと格闘するうちにどんどん関係性がほぐれ、日に日に仲良くなれつつあるデジタルくんと、今日も明日も明後日も、しばらくはガチンコ勝負な日々が続きます。公開の目標は2週間後。完成したら、ぜひ見てください!

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