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紺と桜

「なおって、色で例えるならピンクやなあ」
と言ってくれる人。

正解です。私はとても人懐っこい。
加えて、のんびり・ほわほわしてるってよく言われます(自覚はないけど)。


「いやいや、なおは絶対青でしょ。深い青、それか
紺色」と言ってくれる人。

あなたも正解です。きっと、人の本質を見抜くのが得意でしょう?




ペールトーンの桜色。そしてダークトーンの紺色。

これが、メンターが見つけてくれた、私の顔の色。




「誰かといるときと、一人でいるときの自分が違うように感じる。そんな風に感じることってない?」


3次審査で自分の話をしてから、人にそう聞くことが増えた。

「わかる」って言ってくれる人もいるけど、あまりないという返事がやっぱり大半。

じゃあ私には裏表があるのかって考えたけど、やっぱりそれも違う。

DREAM出場者のことが好きすぎて、東京や福岡まで会いに行ったり、舞台上で全力でハグする私の人懐っこさと仲間意識には何の嘘もない。同じ出場者としてのリスペクトの気持ちは、日に日に大きくなっている。
一人の人間としても、やっぱり大好きで。



だけど、それだけでもない。

セミファイナル当日、一人になりたくて楽屋を抜け出す瞬間が何回もあった。真っ暗な会場の中、一人だけスポットライトを浴びる瞬間が恐怖で、楽屋のモニターを直視できなかった。コートを被ってうずくまっていた。



そんな風だったのに、いざ舞台へ上がった瞬間、私の頭は一気に冷える。

舞台に上がるときは、いつもそう。
あの7分間、私はとても熱くて、冷静だった。台詞が次々と頭の中を流れてくる。会場中が私を見ているのがわかる。今この瞬間は、自我を貫き通すことを最大限に許される。推奨される。もっとやれ、という聞こえない声が聞こえる。

リハがどれだけボロボロでも、本番。
スポットライトが自分だけに当たるその瞬間、私は解放された心地がした。




いろんな人に驚かれた。

昨日会ったゼミの友人は、「正直見くびってた。なおはもっとのんびりした人やと思ってたのに、セミファイナルでは人格が変わってた」って、先生に熱心に語ってくれていた。

またある人は、「印象が全然違った。セミファイナルの舞台では、落ち着いていてあまり喋らない人だと思ってたけど、直接話してみると親しみやすくて」と驚いていた(もちろん嬉しくなった)。


意識して切り替えているわけではない。

でも本当にたくさんの人に驚かれるから、きっとそれが、いわゆる二面性なんだろう。誰かといるときの私は桜色。一人のとき、舞台に上がったときの私は紺色。



じゃあ、これを書いている私は?


もちろん、紺色だ。

私は旅するライターになりたい、とあの会場で伝えた。

当たり前すぎて気付かなかったけど、私にとって、書くことは呼吸することと同義だった。
その理由が、やっとわかった。

書くことは、紺色の自分と向き合える唯一の手段だからだ。


なおはこんな人だねって言われるたび、本当か疑ってしまう自分がいた。周りの言う私と、私の感じる私が乖離しすぎて、おかしくなりそうだった。

でも、DREAMで散々自分と向き合って、向き合って、ようやく人に言えるようになった。

私には色が二つあるんだ、って。

二色も持っている自分が誇らしくもなった。

一色である必要はない。つらいことも二倍だけど、味わえることも二倍になるから、って。


私は書くこと、書き言葉を選ぶことに対して、きっと人の何倍もこだわりを持っている。
言葉を選ぶ時間は、私にとって何よりも大切で、かけがえのないものだ。

それを、光り輝くあの場所で叫ぶために。
あと2日、やり抜きます。

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