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モノとナラティブ

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自分自身が日常生活で接する「モノ」を起点に、それに付帯する超個人的「ナラティブ」を、デザイナー視点で紐解いていく連載をはじめました。
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記事一覧

007. Rice Cooker|小さな変化

GWいかがお過ごしでしょうか。我が家は半径3km圏内の徒歩移動オンリーで気分転換しつつ、ここ一年で激増した植物の手入れや使わなくなっていたモノの整理などに勤しんでいました。眩しいくらい鮮やかな緑を窓から眺めつつ、気分は年末の大掃除。気づけば今年ももうすぐ折り返し地点。意識しないと生活のリズムが平準化しすぎてしまって、どこかで反動が来てしまうのでは。と思ったりしたGW。そんな我が家のプラスにもマイナスにもふれて、リズムを作っている炊飯用土鍋について、今回は考えてみようと思います

006. Glasses Tray|問いのない答え

みなさんは眼鏡ってどこにどうやって置いてますか?いわゆるメガネケース?それともテーブルや棚にそのまま?眼鏡専用のトレイ? 今思えばいろんな選択肢があるかもしれませんが、私は専用の置き場や道具を設けず、眼鏡をある種適当に扱っていた(眼鏡には申し訳ないが…)。第6回はそんな自分が使いはじめた眼鏡を置くトレイについて。 用途不明の籠トレイ使いはじめたといっても、眼鏡用のケースやトレイ自体を目的に探したことはなく、「何か買わなくては」という意識もなかった。メガネの置き場に困る→メ

005. Hand Soap|記憶の再生

「なんかいいにおいする」 オフィスから家に帰宅したときに、妻からかけられた言葉だった。少し背筋が伸びつつも、思い返してみると、それもそのはずだった。確実にいい香りになって帰ってきていた。 「そうでしょう」と自慢げに返答しつつ、その理由を伝える。「オフィスにあるハンドソープがめちゃくちゃいい香りなんだよね」と。数日出社した時には毎回同じ香りで帰ってきては、あまりにいい香りなので、自宅でも購入してしまった。それからは、複数の種類を楽しみにつつ、使い分けている。 香りの長さコ

004. Work Chair|選択肢の幅

WFHになってから大きく存在価値が変わったものにオフィスチェアがやっぱりあると思う。オフィス空間で働く時であれば、ある種の公平性が担保された上で用意された、いくつかの種類のチェアから一つを選んで座っていたのではないだろうか。 座っていて疲れない機能性、オフィスのしつらえを作るスタイリング、そして何十脚も揃えた際のコストインパクト、その他もろもろが選ばれる理由でもあり、その「オフィスチェア」としての選定理由から逆算する形でオフィスチェアは進化してきたといっても過言ではないと思

003. Plant Pot|用途の金継ぎ

002. Teapot Tray|新しい居場所 でご紹介した店舗では、他にもいくつかの古道具を購入していた。その中で用途を決めて購入したものがある。それがこの白い磁器である。 ただ、この磁器は「火入」という茶道具の一つだった。江戸時代後期頃から登場したといわれる「火入」は、煙管などと一緒に煙草盆に一式揃えて客人の前に置かれる。今では実際に吸われる方はほとんどいないとのことだが、茶会の前に出されるところもあるそう。「どうぞ一服してください」と、「もてなしの心を表す」習慣は絶え

002. Teapot Tray|新しい居場所

今回は約1年ほど前に金沢の古道具店で出会ったTeapot Trayに焦点を当ててみようと思う。 金沢のような観光地では、いわゆる名産品や伝統工芸のラベルが擬態したようなプロダクトがどうしても表に出てきてしまうが、そこに載らないような、ある意味、意匠的地域性を削ぎ落としたニュートラルなプロダクトや店舗に出会い、そこから滲み出るその土地で培われたモノの見方や捉え方を感じることができた。 急須のための盆ぎゅーっと圧縮されたような細やかな木目の急須盆。何十年も前に作られた器たちが

001. Pepper Mill | 景色を作る

2019年の年末に新居に引っ越してからPepper Millをずっと探していた。これがなかなか理想的なモノが見つからなかった。基準は明白で、機能は必要最小限で、分解できること。簡単な掃除がちゃんとできること。自分で修理すれば使い続けられること。自然素材がほとんどであること。キッチンに並んだ絵を想像したときに木製がなんとなくイメージにあった。 そして、どこにどんな風に置いていても佇まいが美しいこと。 Work From Homeだと、ふと目に入るキッチンやリビングが散らかって