感情

少しずつ射し込む光が、私の中に侵食してくる眠気とその虚無を、柔らかく刺激していく。
私はいつからここにこうしていたのだろう。
煌々と照りつけてくる日射しの明るさとは裏腹に、この部屋の中は重く、濁った、痛々しい空気が支配していた。
ここには、どこに。どこに。一体どこに、希望が隠されているのだろう。

友情というものは、所詮表向きの浅いもので、嘘である。仲良しこよしに見えても、本当に心から通じあっているなんてことはまず無い。ゼロではないかもしれないが、まずは無い。
彼女にとって私は、大勢の中の一人にしか過ぎなかった。徐々に疑惑を深めていって、その真理に辿り着いた時、私はその媚びるような甘ったるい声も服装も、その存在自体が、吐き気がするほど気持ち悪く感じられた。あんなに好きだったのに、消えて欲しいと強く願うようになっていた。
私はそんなことはしない。人を弄んで、軽んじるような人間にはならない。そう心に決めて、私は人と付き合うことをやめた。付き合って深く入り込もうとするほど、必ず裏切られるのだから。
そうして、私は軽くなった。
なったはずだった。
だけど、軽くなったその残りは滓であった。塵で埋め尽くされていた。

その塵で形成された沼に嵌ってしまった私には、もう為す術がない。
目の前には刃物が一本、微かな光に照らされてキラキラと光っているのみである。
ああ、これだけはしてはいけない、と思いつつも、私にはもう止めることが出来ず、無意識のうちに目の前の"物体"に刃物をグサリと刺していた。
ドス黒い、温かい、何かが流れ出す。

これで終わるんだ。

その背中に呼びかけても、もう応えも、目覚めすらしない。

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