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母と我が子とベランダと(9/100日)

先日、「チェアリングしたーい」とnoteに書いてから間もなく、ベランダでチェアリングデビューを果たすことができた。まあ、なんせベランダなので、そんな大げさな話でもないのだけれど。年始から続いた繁忙がやや落ち着いてきたことと、春めいてきたことが、きっとわたしの背中を押してくれたのだろう。

取材へ出かけるまでのほんの数分、ベランダに椅子を置いてぼーっとする。うむ、なかなか良い時間だ。

なーんて黄昏れていると、「どうも〜。ワタクシ、こういう者でして〜。ちょっとよろしいですか〜」と、何キャラを演じてるのか一切不明な娘が部屋から顔を出す。で、そのまま、しばしベランダで取り留めもない話をした。

それから2日後。娘が「ママ、またあれやらないの?ベランダで」という。えっと、ママは今日納期の仕事があってだな。のんびりキミと遊んでいる暇はないのだけれど……いや。うん、わかった。やろうか。

今度は3つの椅子を並べて、母と息子と娘でレッツ・ベランダチェアリング。息子は先日買い与えたばかりのスマホでツムツムをしている。ガチャで当たりが引けたと喜んでいる。娘はまるでピクニック気分で、やれお菓子だやれ飲み物だと出してくる。いつの間にか、テーブルまで置かれて。もはやこれ、チェアリングなの?

でもこの感じ、ちょっとなつかしい。子ども達がもう少し小さい頃とか、あとコロナで休校になったときとか、よくベランダにレジャーシートを敷いて、なんちゃってピクニックをしたものだ。あのときは、お弁当もちゃんと作った。

もっと遡ると、彼らがまだ赤ちゃんだった頃。お散歩に連れていけないときは、ベランダに出て少し外気に触れるだけでもいいからね、と産院から言われた。気分を変えたいときは、赤ん坊を抱っこしてベランダに出て、ゆーらゆーら揺れながら話しかけたりしたものだ。

ほかにも、思い返せばベランダには、子どもに関するいろんな思い出がある。「洗濯物を干している最中に子どもに中から鍵をかけられた」なんて話をネットで見て、震え上がったり。まだ言葉を理解しているのかどうかもわからない子に向かって、「絶対に鍵には触らないでね!ママ、入れなくなっちゃうからね!」と口を酸っぱくして伝えた。もちろん、何かあったときのために、携帯電話は肌見放さず。幸運にも、締め出されることはなかったが。

ああ、大きくなったなあ。これからもっと大きくなって、もう間もなく、一緒にベランダでお喋りなんてしてくれなくなるのだろう。そう考えると、たとえ仕事を夜中に回しても、やっぱり今この時間を大切にしたいと思うのだった。

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