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レコードからタブレットへ。受け継がれるクリスマスの過ごし方

赤いレコードプレーヤーから流れる、軽快なクリスマスソング。部屋の片隅でチカチカ光る、自分の背丈より少し低いクリスマスツリー。12月25日が近づくと、それらはいつの間にか用意される。幼稚園児だったわたしは、いつもそれらの登場に胸を躍らせた。

わたしに残っている、いくつかの幸せな幼少期の記憶のうちの一つだ。

小学生になると、わたしの家庭は歪に形を変えてしまう。そこからは、嫌な記憶がぐんと増える。だからこそ、わたしはあの、小さな頃のぼんやりとしたあたたかな記憶を大切にしている。

どんなプレゼントをもらって、どんなごちそうを食べたのか。(あるいは、ごちそうは出なかったかもしれないが)そういうのは、何も思い出せない。覚えているのは、クリスマス時期だけかけられるレコードと、チカチカと部屋を照らすツリーと、その雰囲気がとにかく大好きな自分の姿。親になったいま思うのは、子どもの記憶に残るのって、そういう何気ないものなんじゃないかな、ということだ。

だからわたしは、毎年12月には必ずクリスマスツリーを飾る。ささやかながらパーティメニューっぽい料理をテーブルに並べ、レコード…ではなくタブレットからクリスマスソングを流す。

子どものため、というより、自分自身の自己満だ。でもそれが、子ども達が大人になっても持ち続けられる、あたたかな記憶になったらいいな。という打算は、ちょっとある。

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