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8年目、ようやく「かわいい」

今年、わたしは母親になって8年目だ。未熟すぎる親としてスタートを切り、今ようやく子ども達のことを本気で「かわいい」と感じている。

もちろん、赤ちゃんの頃からかわいかった。

触れるだけで折れてしまいそうな体、暗闇の中できょろきょろと動く瞳、ゴミをぎゅっと握って離さない握りこぶし、初めて見せたにっこり笑顔、視界からわたしが消えると途端に泣き出す姿、意味があるのかないのか謎すぎる喃語、初めて発した意味のある言葉、寝返りができなくて泣いた顔、寝返りに成功して驚いた顔、ハイハイがへたくそでいつまでも座りながら移動した姿、よちよちとすずめを追いかける後ろ姿……

かわいかったけど、それと同じかそれ以上に大変だったし、しんどかった。「子どもと離れたい」「自由な時間がほしい」そればっかり考えていた。「早く大きくなって、自分のことは自分でできるようになって」と。

でも今になって思うのは、ただただ「かわいかったなぁ」ということだけ。そして大きく成長した子ども達を見て、「これからどんどん親から離れていくんだなぁ」と思うと、寂しさばかりが募るのだ。

もちろん子育てはまだまだ終わらないわけだけど、満面の笑顔で「ママ大好き!」と言ってくれるのはあと何年だろう。「抱っこして、ギューして」とまとわりついてくるのは、あとどれくらいだろう。

終わりが見えなかった子ども達とべったり過ごす日々に、終わりが見えてきた。そうなって初めてわたしは、子どもと過ごす時間をもっと大切にしたいな、と思えるようになった。「子どもってかわいい?」という問に対して、「かわいい」が「大変」に勝るようになった。

過ぎた日々は戻らない。だから、今このときを大切に、できる範囲で子ども達と関わっていきたいな、と思う。

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