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コロナで月300万円の売り上げが吹き飛んだ。「BPM」の売り上げ回復までの道のり Vol.5

NEW STANDARD株式会社(旧社名:TABI LABO)所属
OMO型イベントスペース&カフェ「BPM」の店長をしている、阪田なおです。

普段、「BPM」というイベントスペース&カフェの運営をしているのですが、コロナの影響で、2期連続黒字運営していたところから2020年3月に赤字に転化。そこから試行錯誤を繰り返した結果、2020年9月には半年ぶりに売上目標を達成。翌10月も既に見込み値では売上目標を達成する水準になりました。

今回のおはなしは、「BPM」誕生秘話として、メディア「TABI LABO」を運営しデジタルを主戦場にしていた僕たちが、リアルな場をどのように設計し、黒字事業として成立させ、コロナを乗り越えたのかをざっくばらんにご紹介できればと思います。

5回目の今回は、BPMがコロナ禍をどう乗り越えようとしているのか、リアルな数字を交えながらお話したいと思います。

新型コロナウイルス感染症により、僕たちBPMも大打撃を受けました。カフェ事業としては、3密を避ける仕組みを取り入れつつ店内営業もしていましたが、4〜5月の1日当たりの売上平均は、3月の1/4程度(数字にすると約1万円)まで落ち込みました。

早い段階でデリバリー・テイクアウトの施策を始めていたため、4月はその反響もありましたが、5月に入ると他の飲食店も一気に登録して増えたこともあり、デリバリーは1日1オーダー程度に落ち着きました。

イベントスペースの売上として「月300万円」が吹っ飛んだ

最も深刻だったのはイベントスペースとしてのレンタル事業です。3〜5月に予定していたイベントはすべてキャンセルになりました。これまで毎月平均11件。1件当たり平均25万円程度の売上だったため、単純計算で毎月300万円程度の売上が0になりました。

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あまりにもマズイ状況だったため、関係性のあったプラットフォーム運営をされている方々に「ぶっちゃけ今、どんな感じですか?」と聞いたところ、「壊滅的です。」とのこと。特にBPMのような大きいスペースは、大人数での利用が対象となるため、3密防止の観点から利用者が激減。会議室くらいの小さなスペースに関しては、個人の作業用やLIVE配信(ヨガ、トーク、音楽ライブなど)用スペースとして需要はあったようです。

そのため、BPMも”取り急ぎ”会議室レンタルをスタートし、1ヶ月で7件のCVを獲得することはできましたが、単価が数千円ということもあり焼け石に水状態でした。

「オンラインイベント」と「撮影」に特化

新型コロナウイルス感染症により自分たちを取り巻く環境が大きく変わるなか、僕たちが最初に始めたのは敵を知ることでした。国内外の政府や医療機関が発表するデータはもちろん、ニュースサイトを中心に複数のメディアをウォッチしつつ動向の把握と予測をしました。

そうすると、ウィズコロナ・アフターコロナの世界像や、その世界における自分たちの業界の変化が見えてきたので、その上でユーザー像や僕たちの強みの再定義を行ないました。結果として、自分たちが注力していくべきだと判断したのが、「オンラインイベント」と「撮影」への最適化でした。

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特に前者に関しては、現在BPMほどの規模のスペースを有している競合が不在であり、ニーズが伸びていくことが予測できたため、”オンラインイベントのスペシャリスト”というポジションを獲得するための動きを始めました。

そのためには、オンラインイベントにおける”ハード面”と”ソフト面”の両面でスペシャルになる必要があります。ハード面では、3密にならないような広い空間や、通気性のよい大きな窓、敷地面積をカバーできる数の空気清浄機の設置等に加え、オンライン配信の必須条件である安定して早い速度が出るインターネット環境(下り/上り最大500Mbps出る有線LANの設置)や、大容量の電源(70A)を揃えました。

ソフト面では、オンラインイベントのノウハウ強化として、自分たちが毎月開催しているオンラインイベント「池尻ショートフィルム」や、会社として取り組んだ「大正製薬 リポDオンラインアカデミー」の運営を通して得た知見をマニュアル化し、初めてオンラインイベントをBPMで開催する方にもフルサポートできる体制を構築しました。これ以来、僕たちはBPMのことを「OMO型イベントスペース」と紹介するようになりました。

Beforeコロナの水準まで問い合わせ数と売上が回復

カフェに関しても同様に、外的要因の把握・予測から進め、現段階においてはテイクアウトとデリバリーを充実させることにしました。まずはテイクアウト・デリバリー系のサービスを片っ端から導入し、それぞれのサービス特性を見ながら、魅せ方のアップデートや価格の適正化を行っていきました。

いずれもターゲットユーザーが近隣(特にテイクアウトは徒歩圏内)となるため、そこにリーチさせるべく、社内のデザインチームと協業でチラシを作成し、ポスティングも行ないました。また、BPMは2Fにあるという特性上、テイクアウトのためにわざわざ寄りづらいというインサイトもあったので、ビルオーナーの許可を得て1Fで期間限定でポップアップ販売も行ないました。

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上記のように施策を進め、現在ではレンタルスペースの問い合わせ数やカフェ売上が、2020年2月の水準まで戻ってきています。まだまだ安泰とは到底言えませんが、少しづつ成果につながってきている実感はあります。

次回は、新しいアクションに伴う具体的な事例や、アフターコロナに登場する「OMO型ライフスタイル」についてお伝えします。

元記事:BPM店長日記 連載vol.5


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