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住む場所としてのシアトル

そろそろシアトルから東海岸に移動です。
(上の写真はワシントン大学です。)

ですので、少し「住む場所」としてのシアトルについて、よかったこと、あまりよくなかったことについて振り返ってみようと思います。
20年くらい前に留学で一度住んでいたので、基礎的なことは分かっていたのではありますが、改めていろいろ気づくこともありました。

1.シアトルで魅力的なところ

・公園
公園はすべて素晴らしいです。都市部とは思えない緑豊かな公園がたくさんあるので、そこがシアトルの「ノースウェスト」的な魅力かと思います。(アウトドア大好きな人が多いので、みなさん着ている服はほぼアウトドア用品系だったりします。)

グリーンレイク・パーク
ディスカバリー・パーク

・思ったより古い建物が多い
改めて調査して分かったのですが、西海岸でも想像以上に古い建物が多く残っています。戦災に遭わなかったのは大きいと思いますが、私がシアトルで今回住んでいた家も築100年です。周辺には、郡の記録を見ると1920~30年代に建った歴史的な建物がかなり残っています。

残念なのは、近年ファサードだけをかろうじて残してコンドミニアム化される建物が増えてきているところです。
20年ほど前は古い建物が並ぶのんびりした感じのエリアが、ヒップで、オーガニックな地域になってきています。

ファサード保存+コンドミニアム:こういう感じの建物です
(一階テナントは牛乳を使わないノンデイリーアイスなど、
いかにもヒップな感じのものが多いです)

2.シアトルに住んでいて大変なところ

・坂
めちゃくちゃ急な坂が多いです。
車を運転しない立場からするとウォーカブルって言っても、急な坂だと、
これはみなさん歩くのでしょうか・・・と思いますが、シアトルの人は結構歩いています。
雪の日にはみなさん坂でスキーやそりをしていました。

・物価
何回も同じ話ですが、物価が高いです。そして、
スーパーに行くたびに値段が上がっている気がします。
まあでも、外食をしなければ短期間住む分にはなんとかなるかなという感じではありますが、都市圏の中でもトップクラスの価格上昇率だそうです。
(東海岸はどうかな・・・。)

3.この20年で変わったこと

・治安
滞在中に近くで2回銃声を聞きました。1回目はダウンタウン、2回目はキャピトル・ヒルです。一瞬何の音か分からないのですが、その後シアトル警察のtwitterで確認すると、確かにその音を聞いたタイミングで銃撃事件がありました。
留学期間中はワシントン大学の近くに住んでいましたが、銃声は一度も聞いたことはありませんでした。当時もいろんな事件はありましたが、さすがにシアトルのような都市で銃声を聞くとは思いませんでした。(もともとは治安がある程度良い都市だと言われていたのです。)

パンデミックの影響が大きい部分もあるようで、例えばパンデミック中に
自治区が形成されたキャピトル・ヒル地域の犯罪データを市のオープンデータで確認すると、2019年には比較的下がっていた犯罪件数の数字が2020年から上がり始めています。

キャピトル・ヒル自体はウォーカブルで、小さな魅力的なお店が多い素敵なまちです。ダウンタウンも含めて、早く治安が安定するようにと願っています。(現在の市長さんがさっそく問題の多い「ホット・スポット」に警察を配置したりされているようです)

・プログレッシブ(進歩的)な政治的志向への傾斜
伝統的に民主党基盤が強い州ですが、進歩派(プログレッシブ)の動きがシアトルで強くなってきています。シアトルはもともと市民の意識が高く、市民参加の活動が盛んで、コミュニティによるまちづくりに熱心に取り組む地域でした。
滞在期間中、プログレッシブな施策を代表する立場の市議会議員のリコールがありました。デモ隊を市庁舎に入れたり、前市長の自宅に抗議者を先導したりしたことに対してのリコールです。
結局これに関しては否決はされたのですが、当時の市長は一期で辞め、その後の市長選ではより中道寄りの候補が当選しました。

リコール反対運動のサイン(キャピトル・ヒル)

アメリカ全体がよく言われるとおり政治的立場が左右真っ二つに分かれている状況です。前大統領の存在、パンデミック、インターネットによる情報の選別など、いろいろな背景があると思いますが、シアトル中心部は若年人口が多く、プログレッシブな政策を支持する人が多いです。
市長選でもネイバーフッドによって投票行動がはっきりと分かれていました。下記の記事でも、戸建ての住宅地では現市長を支持する人(オレンジ色)が多かったことが分かります。

シアトルは魅力があるからこそ、人が集まってきて住宅不足問題も
生じてくるのだろうと思いますが(ワシントン州の税制が有利だと言うことも背景にありますが)
このままだと多様性が失われる可能性もあるかと思います。
また、プログレッシブな政策が進んでいったことによる問題
(警察の予算削減など)も見えてきています。

私にとってシアトルは大好きなまちであることには変わりありません。
ボーイングで有名だった中規模の地方都市がいつの間にか
テック産業を代表する「スーパースターシティ」になったわけですが、
シアトルらしさをなくさないでいてほしいなと思います。

このビューポイントがシアトルで一番好きな場所です(ワシントン大学の近くです)