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マンハッタンの外側が面白い?(ex.ジャージー・シティ)

マンハッタンの外側の多様性

ラッガーズ大学の先生と話をしていて
「今はマンハッタンの外側の方が面白いよ」というお話がでました。
この先生はクィーンズでコミュニティといろんな活動をしている方で、クィーンズがいかに多様性に満ちているかというお話を聞きました。例えば
・南アジア出身だけど、何代もアフリカに住んでいて、そこからアメリカにやってきた人たち
・スペイン占領前の言葉を話すヒスパニックの人たち
このような人たちの文化が多様に混ざり合っているのがクィーンズで、
一口に「○○出身だから・・・」と括れないそうです。

家賃をめぐる闘い

マンハッタンは企業が所有している不動産が多く、住民の多様性が失われつつあります。もちろん公営住宅もあるので、いろんな人が混ざり合って住んでいるのですが、家賃安定住宅(レント・ステービライズ)の家賃も、賃金上昇が追いついていないのに、今年(2022年)ものすごく上がるのではないかと言われています。(収入の半分を家賃に充てている世帯が30%以上いると言われています)また、電気料金等も激しく上昇しています。そして家賃が低く抑えられている住宅(レント・コントロール)は本当に割合として少ししかないそうです。

対岸都市としてのジャージー・シティ

そんなわけで、現在外に外に人々が移りだしているのが現状です。
フルブライトの関係でジャージー・シティを案内してもらう機会があったので、ニュージャージー側の「外側」を見に行ってみました。


開発が進むジャージーシティのウォーターフロント(銀行のビルが多いです)

ジャージー・シティのイメージとしては治安が悪い?かなと思ったのですが、人口あたりの犯罪率はピークの1990年代初頭に比べて半分以下で、現在はかなり高層住宅が並ぶ落ち着いた地域であり、PATHという鉄道が直接ロゥアーマンハッタンにつながっているので、通勤にものすごく便利です。
マンハッタンと比べても、郊外マンション街、という感じで落ち着いています。
市は衰退した中心部の活性化のために
アートディストリクト(パワーハウス・アートディストリクト)を形成し、イメージが改善したところにデベロッパーがやってくる・・・という典型的なジェントリフィケーションの事例でした。

真ん中の建物がかつて鉄道の変電所だったところで、パワーハウス・アートディストリクトの名前の由来となっています。まだどう使うか、予算の関係上決まっていないとのことです。
(マンハッタンと比べて静かな感じが分かるかと思います。
後ろの建物はマンションで、ワンベッドルーム月3000ドルくらい)

案内して下さった方は2008年の経済危機後に住み始めたそうですが、すでにタワーマンションやオフィスは建設され始めていたそうです。アーティストはさらに内陸に移っていったとのことで、ニュージャージー市立大学の周辺などには家賃が比較的低いので、現在アーティストがけっこういるとのことです。
ウォーターフロントからは、2001年にできたライトレールでその辺りにアクセスすることができます。

また、中心部には、かつての工場や倉庫、港湾地域の施設が残されていて、当時の雰囲気を感じることができます。

かつての雰囲気が残る一画ですが、この空き地も早かれ遅かれ開発されると思われます。

マンハッタンの高い家賃と比べると、2000ドルくらいで住めなくもないので、中間層が住む場所として今後も選ばれていくのではないでしょうか。まだ残っているかつての雰囲気も、これからさらに消されていくような気もして、そうなると面白みは無くなるかなと思いますが・・・。

ブラウンストーンの住宅も少し残っています。このような建物はある時期に流行したのですが、ハーレムやブルックリンでも大人気で、高値で取引されています。

マンハッタンは不思議なところで、外から見た方が感動するという部分がありますが、ジャージーシティはそういう意味でも面白かったです。(ブルックリン側は見に行く人が多いと思いますが)今日の案内の方によると、支持地盤となり得る岩盤層がロゥアーマンハッタンでは浅く、一度深く潜ってミッドタウンでまた上がってくるとのことで、そのことが高い建物を建てられるかどうかに影響していたようです。
その様子もニュージャージー側からだとよく分かります。

ジャージーシティからみたロゥアーマンハッタンですが、北側(左)に向かって一度高い建物が減って、またミッドタウン辺りで増えているのが分かります