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2021年にアメリカで驚いたこと

アメリカも日本から一日遅れで2022年になりました。2021年は私にとって一日多かったことになります。
シアトルでは去年は行われなかったスペースニードルでのカウントダウン花火が派手に行われ、外は大騒ぎでした。

2021年はほぼ20年ぶりにアメリカに長期滞在することになりました。(2022年の方が滞在は長くなりますが)旅行や出張では来ていましたが、久しぶりに長期滞在して驚いたことを2021年のまとめとして記録しておきたいと思います。

年末年始にかけて珍しく雪が積もり、氷点下になったシアトルです。

1.アマゾン以外の宅配物や郵便が普通に届かない

アメリカの銀行からの重要な郵便(カード)が2週間経っても届きませんでした。カスタマーサービスに電話すると、「ここはアメリカですから」気長に待てとのこと。結局3週間以上来なかったので、銀行に再度お願いしてFedEXで送ってもらったら次の日に着きました。あの郵便物はどこに行ってしまったのでしょうか。(注:アメリカの場合、本人が有効化しなければカードを使われることはありません)
その他洋服をネットで注文したら届くまでに3週間かかりました。3週間もしたらもう正直言っていらない気持ちになります。配達において信頼できるのはアマゾンだけで、むしろ予定より早く届けてくれることも多いです。(部屋のドアの前に置いてあったりするのはなんだかなと思いますが、その場合アカウントに写真付きでお知らせしてくれます。)
ECが実店舗を駆逐するとは言いますが、アマゾン以外の輸送システムの遅さは競争相手として話にならないと思います。信頼できる流通システムまで自己構築したアマゾンがアメリカで一人勝ちになるのは当然かと思います。

2.現金を全く使わない

そんなわけで、カードがないので渡米後しばらく手持ちの現金でしのいでいたのですが・・・現金を使っているのは正直私だけという感じでした。20年前は現金払いが多く、家賃も小切手でしたけれどね。今はカード払いだけでなくVenmoのような送金アプリもよく使われています。銀行振込は手数料が高額で、ほとんど使われません。
レジが無い無人店舗として有名なAmazonGoは友人について行ったのですが、ちゃんとアプリを通じて請求が来るのを見て感動しました。ただし、Amazon系の店舗は寡占資本主義の象徴として2020年にデモのターゲットとなり、壁に創業者であるベゾスの悪口を書かれたり、ガラスが割られたりしたようです。

Amazon Goの店舗:「列に並んだり、レジでの支払いが必要ありません」と書いてあります。
友人曰く「テックの人は朝ご飯だけ家で食べるから、朝ご飯材料が充実している」とのことです。

3.物価と給料が高い

日本との違いに驚かされたのが以下のものです。
(1) FedEXの配達料:72ドル(シアトル・NY間往復)=約8300円
郵便で大変な目にあいましたのでNYに書類を送る際、追跡できるようにFedEXを使いました。そうしたら紙一枚を送るのに72ドル!もちろんちゃんと届きましたが・・・。
(2)ポートランドの朝ご飯:10ドル(クロワッサン+ラテ)=約1150円
消費税とチップ(20%程度)を入れるので外食は全般的に高いです。ポートランドは消費税がないので10ドルで済みましたが、消費税約10%のシアトルなら12ドルぐらいになると思います。(よく言われることですが、アメリカではラーメンは2000円以上出さないと食べられません。こちらでは豚骨ラーメンが大人気です)
(3)警察官の給与:7万8000ドル(エントリーレベル)=約900万円弱
治安の安定のため、警察官をさらに雇用する計画が進められています、というニュースをテレビで見たのですが、初任給7万8000ドルと書かれていました。物価も高いですが、給与も高いですね。ただし、全般的には給与の上昇が物価上昇に追いついていないとのことです。
物価上昇に関しては、コロナ禍での大量退職と人手不足から生じる賃金上昇や、在宅生活で「モノ」に対する需要が高まったこと、物流の機能不全等からインフレが進んでいるということがあります。(※11月発表の消費者物価指数が前年同月比で6.8%の上昇率)

4.住居費の高さとホームレス問題

インフレに加えて、アメリカの場合はジニ係数も高く、格差の拡大も続いています。結果、2021年アメリカに来て結局一番驚かされたのは、何回も書いていることですがホームレスキャンプがシアトルやポートランドのまちなかに散在していることです。インフレが進む中でも特に住居費の上昇が激しいことが背景にありますが、これに関しては人件費や材料費の上昇、需要の回復なども関係しつつ、都市計画の構造として、ゾーニングの問題もあります。

アメリカのゾーニングの課題
アメリカのゾーニングの場合、戸建て住宅地には集合住宅や小さな店舗も建てられず、いわゆる「排他的」ゾーニングとなっています。
シアトルのゾーニングの特徴として、キャピトル・ヒルやクイーン・アンなどダウンタウンから近接した地域に「戸建て住宅限定ゾーニング」が広くとられているということがあります。そういったところの戸建て住宅は、サイズが大きいというのもあるのですが、不動産サイトによると3〜4億円の値がつけられています。

ダウンタウンに近いキャピトル・ヒルの戸建て住宅限定ゾーニングエリア

そこで、最近言われているのは「戸建て住宅限定ゾーニング」を緩和することで集合住宅建設を広く許容し、できる限り多くの住宅を供給して住宅価格の上昇を和らげるという考え方です。
ただし、シアトルではいまのところゾーニングの名前を変えるだけにとどまっているようで、根本的解決は先のようです。(下記参照)

以上が2021年に久しぶりにアメリカで生活して感じたことですが、これらの多くはアメリカにおける格差の大きさを背景とするものです。シアトルはテック関連の雇用が増え、特に格差が激しい都市になりつつあります。
2022年は東海岸にも行くことになりますが、西海岸の状況と比較しながら調査していきたいと思います。