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本醸造生原酒 春一番

商品名:本醸造生原酒 春一番
酒蔵:国権酒造(南会津町)
代表者:細井信浩氏
杜氏:佐藤吉宏氏
アルコール度数:19度
原材料:五百万石
精米歩合:60%

このお酒、実は去年も泉屋さんで買いました。そして、今年も1月2日にGET。お店用、個人用で2本買いまして、1本は一晩で飲んでしまいました。アルコール度数19度のわりに飲みやすく、ジューシー。悪酔いすることもなく、かなり完成度の高いお酒です。

このお酒を造っている当時は佐藤吉宏氏。佐藤氏は南部杜氏の故郷である岩手県紫波町の出身。岩手の名門、あさ開で修業し、国権に移籍。35歳から杜氏として活躍し、今年で70代前半という年齢。佐藤氏は南部杜氏組合で構成される自醸清酒鑑評会にて2013年に首席を獲得。ん?首席って、大学で首席卒業の首席?そう、首席は一人にしか与えられないから。金賞よりも首席の方が難しい。佐藤氏にとって南部杜氏組合で首席を獲得することが全国新酒鑑評会に金賞よりも難しいとの事。実際、国権では全国新酒鑑評会にて金賞獲得の常連である。

とまあ、経歴で判断すればすごい人、の一言。そして、国権の社長は細井信浩氏。創業は明治だが、代々細井家が経営しているのかどうかは不明。社長の細井氏は、酒造りは佐藤氏に任せていて、国権の事業開発に力を入れている印象。そう、本田宗一郎と藤沢武夫のコンビのような印象を受けている。杜氏はガムシャラに日本酒のことを考え、社長はその日本酒をいかに売るのか考える、この分担が良いと考える。

細井氏の経歴はあまりオープンになっていないので詳細は不明。ただ、若いころに広島の国税庁醸造研究所にて、講習生として日本酒の勉強をしていたようだ。国税庁醸造研究所という名称は旧名で、現在は酒類総合研究所に名称が変更になっている。管轄は独立行政法人。現在も、日本酒の経営あるいは日本酒造りの担い手を育成すべく講習生を募集している。何と、同時期の講習生に車多酒造の車多氏が在籍しており親交があるようだ。細井氏は、醸造研究所の講習生になるまでは日本酒に関して完全に無知であったようだ。このことから、国権酒造の跡取りとして国税庁醸造研究所に講習生として勉強にいったものと推察される。

国権酒造の特徴に関して。ズバリ、品質重視の酒蔵。何を買って飲んでも美味しい、に尽きる。そして、福島県屈指の酒蔵といっても過言ではない。ただ、そこに行きつくまでに紆余曲折あった。かつて、国権酒造は集約製造というものに参加したことがある。つまり、自醸しないということ。その期間約3年。この経営判断により、従来の普通酒のマーケットに戻ることができず、品質の高い高価格帯の日本酒を造り始める契機になった。いや、そうせざるを得なかった、というのが正しい解釈だろう。他所の酒蔵があまりやらないことで勝負するしかない、それが国権の運命を大きく左右した。

我々は常日頃、ピンチはチャンス、という言葉をよく聞く。ただ、実際にはピンチはピンチなのでピンチから絶望、そして崩壊していく組織がほとんどだ。しかし、国権のようにピンチをチャンスに、逆境をバネに這い上がる組織もある。大前提として、他所の誰かがやっていることをマネをしてもなかなか勝てないということ。もし、大きな勝利を手にしたいのならば、リスクを取って誰かがチャレンジしていない何かにトライすべきなのだ。

国権は現在海外に販路を築くべく勝負を仕掛けている。この精神は、集約製造により自醸を諦めた苦い過去を教訓に、今があるものと考える。

皆さま、国権、という名を覚えておいて欲しい。
そして、居酒屋で見つけたら迷うことなく飲むことをオススメする。



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