そんな彼女が愛おしい

本間日陽ちゃんは感情を殺してしまう。
北原里英ちゃんの卒業発売後の「Maxとき315号」での一度たりとも笑わない硬直した怖い顔がそれを想像させた。
私はモバイルメールを購読できないので情報量が限られてしまうのだが、ひなたんは悲しいとき辛いときに感情を素直に表に出せないように思う。そしてそれは感情を隠すという意味ではなく、例えば荻野由佳ちゃんや高倉萌香ちゃんとは正反対の感情表現となる。
いつもは太陽のような明るさと愛くるしい笑顔で歌い踊る彼女が気難しい顔でポニーテールを揺らしている。
空気を読めるし優しい気遣いもできる彼女が他のメンバーのように笑えなかった。
歌い終わりりえちゃんに駆け寄るも、おぎゆかちゃんのように抱き合ったりはできず、どこか距離を保ったまま。


彼女にとってSHOWROOMの号泣配信なぞもっての外なのだろう。
選抜入りした総選挙シングルに続く50thシングルの選抜メンバーにひなたんの名前はなかった。
次も選抜メンバーに選ばれたいと輝いた目で未来を語っていたひなたん。そんな彼女が50thシングルの選抜発表後に行ったSHOWROOM配信は痛々しいほど淡々とした内容だった。
そこで本人が話していたように体調不良がそうさせたのも本当だろう。だけど、本間日陽という女の子はこうやって悲しさ悔しさやるせなさを表現してしまうのだな、と思った。


ファンは推しの生の声を望んでいる。
希望と絶望を即座に発信することができるコンテンツをフル活用しているアイドルが、生の声を押し殺す。
ひなたんは損をしている。なぜならアイドルにはストーリーが必要だから。荻野由佳ちゃんのように涙で語るストーリーは響きやすい。というか、わかりやすい。
ひなたんは“わかりにくい”子なのだと思う。

私はそんなひなたんが愛おしくてたまらない。むしろものすごく好感が持てる。高校三年生の女の子ってそんなに自分と上手に付き合えないよね。きっとアイドルとしての正解は知っているのに、それをしない。
笑わなくてもいい。泣かなくてもいい。それが許せないなら、押し殺したままでいいと思う。
ファンにすべてを見せる必要はない。
定説通りそれがハンデとなるのか、新たなストーリーを構築していく一部となるのか、まだわからないけれど。
私はひなたんのファンだからひなたんの言動は興味深いし、彼女を真面目な優等生という言葉で片付けることほど失礼なことはないと思っている。それは間違いではないが、ひなたんの総評はそこに収束しないはずだ。
弱い部分を見せたくないという、ある意味での強情さ。
それが彼女の道を切り開いていく熱量になっていくと思うから、本間日陽ちゃんというアイドルのこれからが楽しみで仕方がない。


荻野由佳ちゃんを引き合いに出しているけど、私はおぎゆかちゃんの可視化できるストーリーも好きです。念のため。本質がKSDDなのでNGT48箱推しです。

最後に。
50thシングル選抜落ち後のひなたんのInstagram投稿です。
言葉のチョイスの秀逸さはもちろんだし、短いなかで伝えたいことを凝縮したリズムのある素敵な文章だと思う。
だけどそれ以上に、本当は書きたくなかったけどファンの人たちのために仕方なく書きました、という空気を滲み出しているところがひなたんらしい。ちょっと身を引いた位置から書いている絶妙さがたまらない。

これを読んで私はもっともっと彼女が好きになったのだよ。

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