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大森靖子超十字架 / 神戸月世界2部

この土日は、実家に帰る予定だった。なぜか分からないけれど疲れていたから、帰って友達と会えたら元通りになれるんじゃないかなって思って楽しみにしていたそんな矢先に、妹が新型コロナウイルスに羅漢し、帰省がなくなった。

こればっかりは仕方ない。そういうご時世だ。でも、妹に対して納得がいかない。私は帰省するたびに「うつさないでね??」って圧をかけていたから、帰省前はご飯に行ってなかったのに。妹は思いっきりお泊まりしてたみたいだ。しかも、熱が出た時点で言ってくれたらよかったのに、荷物を全部まとめた時点で連絡がきた。もう彼らにとって私はよそ者なんだろうな。元からそうか。

ふてくされている私に決定打がきた。父が「今回の帰省の外食分のお金、振り込みます。」とのLINEを送ってきた。父がお金でしかモノを考えられないのは今に始まったことではない。愛情表現が下手なのか、愛がないのか分からないけどいつものことだ。でも、その時の状態では受け入れられなかった。私は「会いたかったね」って言ってくれるかもしれないって期待してた。でも、そんな言葉は誰からもなかった。会えない間に勝手に幻想を抱いてしまっていたみたいだ。

家族、に自分が入っているのか分からなくなった。

そのようなどん底の状態で、大森靖子さんのライブがちょうど神戸で開催されることを知った。帰省するから見逃していたのだった。どうしようもない時に唯一効く、大森靖子楽曲。それを生で、近所で聴けるチャンスがこのタイミングで到来するなんて行くしかない。まだ全曲網羅できているわけではないが、あの世界をこの目で味わいたいと思った。

チケットを取って、珍しくすごく可愛い服を着た。「キャラじゃないね」って言われそうな白いブラウスに、茶色のマーメイドスカート。高いヒールにアクセサリーのフルコース。髪もふわふわにして、顔も誰か分からないくらい武装した。歩くだけでテンションが上がるな、と思いながらクラブ月世界に着いた。

入場するまでに一番感じたのは、その異様さ。まさに老若男女が入り乱れている。ヘッドセットをつけた可愛い女の子、昔からのファンそうなおじさん、グッズを身に纏う人にふらっと来たような出で立ちの人。おもちゃ箱みたいだと思った。そして、こんなに色々な人が「大森靖子のライブを観たい」という共通の気持ちを持っていることが、素敵だなと思った。

クラブ月世界は、とても綺麗だった。元キャバレーなだけあって、きらびやかな空間になっている。ソファ席はふかふかで、見上げるとシャングリアがあって、始まる前から夢見心地だった。

そして、真正面から靖子ちゃんが登場した。一曲目の「ミッドナイト清純異性交遊」が流れた時点で、感動して泣いてしまった。ピアノに乗せて楽しそうに歌う彼女が、目の前に確かにいる。「可愛い」を全力で体現してくれている。一気に入り込んでしまった。その後も、たびたび知らない曲はあったけど、魅了されまくりだった。

旦那さんがいる会場で「KEKKON」を歌う彼女には、特に心動かされた。この世界にメンチ切るなら君とだと思う、って、それを聴いてる旦那さんがいて、結婚も捨てたもんじゃないなって思った。 私は誰かと人生を共にできる素質なんてないし、誰かの人生に責任を持てる器もないけど、もしかしたら結婚したいなって思える人と出会えるのかもなって思った。未来が少し、明るくなった。

残りの感想は胸に閉じ込めたい。心に宝石が一つ増えた。

ライブに行ってみて、嫌になっちゃうことが多い世の中だけど、こういう風に自分の思うキラキラを周りに届ける表現者がいて、そこに思い思いのキラキラを纏って駆けつける人たちがいるうちは、地球は滅亡しない気がした。大きすぎる結論だけど、そんな気がした。1人で自分の思うキラッキラな毎日を作れるようになろうって思った。また救われてしまった。

次はヘッドセットをつけてみようかな。



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