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ポケカ定量評価第3号 CLを無事故で完走したい! 事故らないためにサポとボールはデッキに何枚入れるべきか

はじめに

 ポケモンカードゲームにおいて、初手の手札にサポートもボールもないと、ろくに盤面の展開ができずに試合に負けてしまうことが往々にしてあります。いわゆる事故です。この記事では、どうしたら事故らないデッキを組めるのかについて考えました。具体的には、初手でドローにつながるカードを引くために、デッキにそれらを何枚採用すべきかについて検討し、最低ラインが13枚と結論づけました。CL愛知のデッキ構築の際にも参考になる議論ではないでしょうか。

1 初手でドローにつながるカードを引く確率

 まず、1回の試合をしたときに最初の手札にサポやボールを引く確率を検討します。ここで、サポートやボールを「ドローにつながるカード」とし、以下の①~④カードの総称として定義します。
①サポート:博士の研究やマリィ等自分の手札を増やすか新しくするサポートに限ります。
②ボール:クイックボールやポケモン通信など、デデンネGX等のドローにつながるポケモンに触れるグッズを指します。当然ですが、ボールをこの勘定に入れられるのは、ドローにつながるポケモンを採用しているデッキに限ります。
③ドローにつながるポケモン:デデンネGX、クロバットV、カプ・テテフGX等
④その他:ポケギア、トレーナーズポスト、ランダムレシーバー、トロピカルビーチ等

 具体的にどのカードを①~④の対象とするかは、評価者の裁量によるところもあります。ただ、さるぢえヤレユータンは勘定に入れない方がいいでしょう。ザシアンVは微妙ですね。また、不確定要素のあるポケギアやトレーナーズポスト等は、枚数に当選率のファクターをかけるのがよいと思います。

 では、ドローにつながるカードの採用枚数を変化させたときに、ドローにつながるカードを1枚でも引く確率を計算します。簡単のため、サポートが使える後攻を想定し、最初の手札6枚+トップ1枚の計7枚の中に、ドローにつながるカードが少なくとも一枚ある確率を計算しました。

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 ドローにつながるカードが12枚で80%を超え、16枚で90%を超えることがわかりました。ここで、最初の手札6枚+トップ1枚の計7枚でドローにつながるカードを1枚も引いていない状態を事故と定義します。1試合だけなら、ドローにつながるカードが16枚あれば、ほとんど事故らないデッキだよ、と言えるでしょう。

 厳密には初手デデンネGX等になる確率が計算に含まれていませんが、大した影響にならないので無視します。また、最初の手札が6枚なのは、1枚はたねポケモンで確定しているためです。

2 事故らないデッキを組むために、採用すべきドローにつながるカードの枚数

 複数回試合する場合には、1章で計算した事故らない確率を掛け算していく必要があります。そこで、1章の結果を踏まえて、何枚のドローにつながるカードを採用すれば、事故らないと言えるのかを検討します。極端な話をすると、ドローにつながるカードを53枚以上採用しない限り事故は起こり得ますので、この程度の確率での事故は仕方ないだろうという妥協ラインを探ることになります。

 ここではまず、複数回の試合したときに1回も事故を起こさない確率を計算しました。CL愛知のマスターリーグ予選が9試合のため、この先は9試合を基準に議論します。オープンリーグ予選が7試合、シティーリーグ予選が5試合前後のため、全7試合、全5試合の場合もついでにグラフにしています。

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 ドローにつながるカードを25枚採用しても、CL予選で9回連続で事故を回避する確率(青い線)は87%であり、90%に届かないとわかりました。事故を全試合で回避する確率を70%に妥協しても、21枚採用する必要があるとわかります。なかにはドローにつながるカードを21枚も採用できるデッキもあると思いますが、現実的にはかなり難しいと思います。なぜなら、デッキを回すカードを増やしすぎると、ドローしてもデッキを回すカードしか引けず、盤面をつくれない事態に陥るためです。1回も事故らないデッキを組むのって難しいですね。

 そこで、さらに妥協点を探るべく、全試合の内、事故が1回以下の確率を計算しました。CLの予選は、1試合は負けても本戦に進めるはずですので、妥当な妥協ラインです。

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 9試合の場合、ドローにつながるカードを19枚採用すれば、90%以上の確率で事故を1回以下に抑えられるとわかりました。70%に妥協すると、ドローにつながるカードは15枚で済みます。

 データはそろいましたので、妥協点をどこにするかは、あとは個人の裁量です。10枚~19枚の範囲は、確率がかなりドラスティックに変化していますので、ドローにつながるカードの枚数は調整しがいがありそうです。

 12枚とすると9試合中事故を1回以下に抑えられる確率は48%であり、半分以上の確率で9試合中2試合以上事故ることになりますので、僕は12枚以下のデッキは事故ってあたりまえだよね、と思います。したがって、13枚がCLで握るデッキの最低ラインと考えます。欲を言えばハイドロポンプくらいの命中率になる16枚採用したいですが、枠との都合になると思います。

 なお、この検討においては、ドローの質、例えばマリィと博士の研究の差や、クロバットVとデデンネGXの差等は、考えておりません。実戦においては、クロバットVで全然カードを引けなったり、マリィでなにも引けなかったりすることもよくあります。そのため、計算上の確率はあくまで目安とし、最終的にはデッキを何度も回してみてしっくりする形にするのが良いのではないかと思います。

おわりに

 この記事では、初手でドローにつながるカードを引く確率を計算し、複数回の試合をしたときに1回も事故を起こさない確率と事故が1回以下の確率の評価を行いました。僕個人の考えでは、CLでの9試合を想定するなら、9試合中事故が1回以下の確率が半分以下となる13枚が最低限のラインかなと思います。

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このコーナーでは、ポケカのプレイや構築にかかわる定量的な評価をしていこうと思っています。もし他にも知りたい事象がありましたらお気軽にご質問ください。
Twitter: @nanyapmem
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