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【Q&A】大人だけど発音・滑舌が悪い人へ|言語聴覚士の側音化構音矯正

こんにちは、初めまして。
言語聴覚士(げんごちょうかくし)の寺田奈々ともうします。

言語聴覚士はことばと聴こえの専門家で、実はわたしは日本語の発音指導に特に詳しい言語聴覚士です。

昨年11月にこの記事を書いてから現在に至るまで、発音にかんするたくさんのお問い合わせをいただきました。

POSTリハビリメディアさんにも取材記事にしていただきました。

Youtubeに素晴らしい動画があります。
真剣にやればやるほどおもろくなってしまうという神編集・・・🤣

よくいただくご質問

この「大人の発音矯正」、ほとんどがnoteをご覧いただいた方からのお問い合わせです。

発音指導を承るなかでいただくことが多いご質問にまとめてお答えします。もし、ご相談を迷っているという方がいれば、こちらを読んで検討されてください。

それでは、いってみよー。

どのくらいでなおせるの?

必ず聞かれるのですが、正直、わかりません。
各音に決まった練習方法があり、その手順を順に踏んでいき、それがどのくらいの期間で完了するか次第になります。

初回でほとんどの音が適切に出て、あとは定着させるだけ、という方も居れば、初回では基本の構えだけで1時間使ってしまったというケースもあります。最短で1回、最長で7〜8回、平均すると3回くらいの実施になることが多いです。ちなみにお子さんの場合には、大人の付き添いによる練習の継続が必須です。

どうやら、1度音が出せたものも自宅での反復練習をサボると長年の強固なクセにより、もとに戻ってしまうことがあるようです。そのあたりのご説明をすっ飛ばして「かならずキレイになります」というのは簡単ですが、そのようにはお伝えしていません。事実をしっかりご説明した上で納得して練習に取り組んでいただきます。

ことばの相談室ことりでは、継続練習のフォローとして、初回実施時に1か月分の練習メニューをかならずお渡しし、途中2週間のインターバルをめやすに練習の状態を録音に録って送っていただくことにしています。

相談に来るのはお子さんが多い?

ことばの相談室ことりに来室されるのは、大人の方が多いです。お子さんはもちろん、10代〜50代まで、さまざまな年代の方がお見えになります。ちなみに男女比は半々です。

相談は何件くらい来る?

新規の方は平均して毎月4件くらいいらっしゃいます。練習は数回で終了することがほとんどなので、常に新たな方の問い合わせを受け付けています。オンライン相談では全国各地からご相談を受けていますが、対面で指導を受けたいと遠方から予約のためにわざわざ足を運んでくださる方も多いです(関東圏だと隣接他県の方も多いです。遠い方ですと、東北地方、中部地方などからお見えになりました)。

オンラインでも実施している?

はい。実施しています。ことばの相談室ことりは、Zoomを使ったオンライン相談を承ります。

実施にあたっては、マイクとウェブカメラ(PCやタブレット備え付けのもので可)の使用を推奨しています。音声が聞き取れないと、発音の誤りを正確に聞き取ることが難しく、練習に支障を来たすことがあります。マイクの音質とインターネット環境をあらかじめご確認のうえでお申し込みください(Zoom使用法のレクチャーは実施していません)。

カメラの画質よりも、音声がクリアかどうかが重要です。普段あまりオンライン通話を利用しないという人は事前に確認してから日程を組んでいただけると嬉しいです。

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オンラインではiPadをノート代わりに使い、画面共有で指導内容をお伝えしつつ実施しています。

なおるのに年齢は関係ある?

データの蓄積が未だ充分ではありませんが、年齢が高いほど修正後の違和感が残りやすい傾向があるかもしれません。使用してきたように口腔や舌べろの筋組織がつくられてきた歴史がありますし、運動記憶も強固です。修正後の正しい出し方よりも修正前の誤った出し方のほうが大きな筋肉を使っていたケースではそれが強く出る気がします(私見)。

正しい手順を踏んでいけば、音を出すところまではいけます。それが定着するかどうかという部分に年齢差やそのほかの個人差が出ると考えています。

どの音の発音の相談が一番多いの?

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半数以上が側音化構音(し・ち・じ・き などが言えない|音が濁って潰れてしまう)のご相談です。その次に多いものは、サ行ザ行ツが言えずに濁ってしまう「口蓋化構音」というもの、ラ行やりゃりゅりょが言えない状態などのご相談です。

歯並びは関係ある?

よく聞かれるのですが、多くのケースでは直接の関係はありません。側音化構音をはじめとする明らかで一貫した発音の誤り(= 状況によって言える、などがあまり無く、常に言えていない)は、舌べろの構え、使い方、運動の軌道によって生じます。あるいは、なんとなく滑舌が悪いという場合にも、舌べろや唇、頬などの協調性の悪さ、筋力の乏しさ、筋緊張のコントロールなどにより生じます。歯列の不整や骨格の影響(口蓋高)は、前述のふたつをまずクリアした上で考えるとよいでしょう。特に側音化構音の場合には、歯並びをなおしても発音の悪さは残りますが、歯並びが悪くても発音を修正することができます。

なお、べろを出して話すクセである舌癖(ぜっぺき)が抜けず、前歯の歯並びが悪くなってしまったというケースもよく聞きます。これは、歯並びのせいで滑舌が悪くなってしまったのではなく、滑舌が悪いせいで歯並びが悪くなってしまったので因果関係が逆です。

ちなみに、口唇口蓋裂・粘膜下口蓋裂・舌小帯短縮症のいずれかの指摘を受けたことがある、手術歴がある方については、発音や滑舌に影響を与えます。練習によってある程度の改善が可能ですが、練習を受ける場合には事前にお知らせいただけると助かります。

同じく、難聴(聴覚障害)の方、今現在は大丈夫だけれど滲出性中耳炎に長くかかっていたなど、過去聴力に問題があった方でも、発音に影響が出る場合があります。ことばの相談室ことりでは、聴覚障害の方の発音指導も承っております。

口を大きく開けて話せば改善する?

改善しません。多くの発音の誤りは、運動の軌道(通り道・道筋)を誤っていることにより生じています。誤ったフォームで素振りをしてその動作を大きくしても、バットはいつまでもボールに当たるようになりませんよね。位置・構え・軌道の修正が必要です。

口の体操や舌べろの筋トレで改善する?

改善しません。側音化構音をはじめ、特定の音がニガテといった場合に、筋トレはあまり効果がありません。また、無理にべろに力を入れることで、その誤りをより強固にしてしまうケースもあります。

外国に居たのは関係ある?

多言語の問題は、正直そんなに詳しく無いのですが・・・。音を聞き分ける乳児期(0歳代)に過ごした言語環境は、その後の音の聞き分けに影響を与えると思います。発音指導は4〜5歳から可能ですが、その時期になれば、聞き分け能力を高めることで日本語の発音を修正することが可能です。

原因はなに?

これまで書いたようなこと(口蓋裂、舌小帯短縮症、聴覚障害)に該当しなければ、原因がとくに見当たらない(=機能性)ので、機能性構音障害と便宜上呼んでいます。原因はとくにありません。

背景にぶきっちょとか、音への感度が低いとか、身体のイメージが未完成などがあるケースも指摘されていますが、そうしたことがなくとも、たまたまお箸の持ち方を間違えて覚えちゃったという状態が起こった、という感じに近いです。

「大人の発音矯正」やってます

大人の発音矯正、やってます。
気になるかたはご相談ください。

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▼側音化構音についての参考記事はこちら


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