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ドライブ・マイ・カー

三連休だし引越し前だしせっかくなので、土砂降りの中歩いて30分の実家に行った。ら、誰が買ったのか村上春樹『女のいない男たち』の短編集があったので、チラッと話題の『ドライブ・マイ・カー』だけ読んだ。

人生における自分の盲点と、他者(妻)の盲点。そして家福自身の緑内障による死角(盲点)。
それがみさきによってちょっと見えるようになるし、納得するようになっている。というのが面白いなと思った。

家福は高槻を取り柄のない男と言って、みさきも家福への慰めかだからかも的なことを言ってたものの、物語のキーワードはその高槻が言ってるんだよね。
高槻にも盲点があるんだろうな。

僕らはみんな同じような盲点を抱えて生きているんです。

あとは『演技』か。行って戻ってくる、ってこどものファンタジーの冒険というか、ヒーローズ・ジャーニーみたいだなあって読んでて思った。
演者さんってそれこそ千の仮面を持たざるをえないよなあ。
と言いながら、『ガラスの仮面』を思い浮かべてしまう私。完結まだかな……。


他の短編を読んでいないけど、家福が妻を亡くしているように、なんらかの女性が居なくなったり元より居ない男たちの喪失感とかの短編なのかな?

また実家に行ったら、その度に残りを読みたい。
最近は没入するとすごく疲れるけど、短編は特に短くて物語世界の切間があるから一気に読めないんだよね。


一気に読めない、といえば、話題の『本が読むのが遅い人』。主人公の気持ちがめちゃくちゃ分かる。子供の時は本読んでると周りの声が聞こえなくなって、自分の境界が無くなって、物語に没入した。
その体験が絵で描かれてるのが新鮮だった。

そして、大人になると何でか没入のアレが薄くなったのか、作者の思う理由が一理あって「なるほどな」と思った。私は睡眠死んでも読むから、時間の制約じゃないかな。どっちかっていうと、心を動かされると疲れるとか、現実に戻ってきた時のギャップが辛くて疲れるってのもある。全ての理由を言語化できないけど。


そういえば、『女のいない男たち』、前書きに私の好きな柴田元幸さんの名前が出てきて驚いた。
『華々しき鼻血』と『一人の男が飛行機から飛び降りる
』の翻訳が好き。


最近は疲れるのが嫌だと読書を忌避してたんだけど、上の漫画と短編集という気軽さで久しぶりに小説読んだ。
うーん、でもやっぱり読書って楽しいね!

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