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ハッピー・デス・デイの感想(ネタバレあり)

出町座で鑑賞。結構混んでた。

とにかく脚本が凄まじい。何故繰り返すのかとかは全く追求しないで、恋はデジャヴ的な設定で出来る面白さをホラー映画としてのアイデアをこれでもかとぶち込んでて終始楽しい。
それでいてアイデアだけで勝負している面白さじゃなく主人公やその周辺の人間へのしっかりしたドラマ的な深掘りも出来てるし言う事なしの面白さだと思う。

殺され方のコミカルさとかいちいち気がきいていて、血しぶき位しか出ないので全然残酷じゃないし、恐怖演出もさほど怖すぎないのでスプラッターホラーというより、コメディ映画に振り切っている感じで、誰にでも勧められる楽しい映画になっている。

まずこの主人公のキャラクターが最高。出だしから全く感情を隠さない表情の豊かさで笑いをかっさらってた。

ホラー映画だと真っ先に殺されそうなクズエピソードがループの度にどんどん明らかになっていく。恨んでいる人間の候補を書き出すと多過ぎて絞れないので片っ端から調べてその都度殺される展開好き。

でもそこから更にループを重ねていくと、母親を失った悲しみが明らかになってきたり彼女の人間的な魅力がどんどん引き出されていき最終的に観てるこちらも彼女の事を心の底から応援してしまう構成が見事。
父親との和解のシーンとか普通に泣いてしまった。
でもラストだと思われたループで「恋はデジャヴ」よろしく人に善行しまくったのに、それも失敗に終わり結局次のループで事件が解決しても主人公に対する周りの評価が「クズ女」のまま映画が終わっていくのが逆に上品で好みだった。
あと彼女のビッチっぷりが母親の死とそんな関係無さそうなのも良い。ここ繋げ過ぎると母親の死がきっかけでグレたみたいになって彼女がただの良い人になっちゃうし。彼女のビッチ気質はあくまで彼女のモノであって欲しかったので。

脚本の素晴らしさもあるけど、この映画は8割位彼女を魅力的に描けるかにかかっているので、それを見事に体現してたジェシカ・ローテさんが素晴らしい。名前覚えておこうと思った。

気になる所としてはタイムリミット設定で主人公の身体的なダメージが実は蓄積してるというのが、かなり無理矢理感があった。グラップラー刃牙で言う所のイメージし過ぎると、肉体にもダメージが現れるあれのちょっと弱い版みたいな事かな?しかし今後日常生活大丈夫なのかあの娘。ループ1回につき寿命5年位削ってそう。

あと最初超人的な怖さを体現してた殺人鬼の正体が、ここまで小さい人間的な存在だったのはちょっと拍子抜けだったりする。顔隠してたり殺人鬼の拘束解いて襲わせたり、自分が犯人だとバレない様装ってる割に主人公への深追いぶりが凄くて完全犯罪するにしては雑過ぎるだろっていうのはある。まあそこまでなりふり構わない位、主人公のビッチぶりにキレているという事かな。

まあ、そこまで深く色々な事を考える映画ではないのでその辺は愛嬌だと思うので全然OK。

楽しい映画だった。


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