小さな恋のうたの感想(ネタバレあり)
T-JOY京都。めちゃくちゃ音が良いスクリーンで今回の映画とバッチリ合っていた。
山田杏奈ちゃんが可愛いすぎてヤバい!という情報を得たのでミスミソウを観て以来完全にファンになってしまった身としては行かねば!と観てきた。
結果的にはそれを抜いても素晴らしい青春音楽映画だった。実際に演者さん達が演奏してるので説得力バッチリで音楽描写は文句ないし、途中から現在の沖縄の基地の問題を取り上げて、かなり重く描いていく展開にもかなりビックリした。
アメリカ側、沖縄側、どちら側からもニュースで描かれない一般の住民目線から描かれるのは新鮮だったし、結局何も解決しなくて安易な決着をしないのが真摯な作品だと思う。
ミスリードで展開していくストーリー
最初の方は語り口が鈍重な気がしたし、冒頭の事件も「いまどき頭打って記憶喪失って、、、これで話引っ張るのは弱くないかな?」とか舐めた態度で観ていたら全部ミスリードだったのは普通にビックリした。
ラストのライブシーンも学園祭がクライマックスだと見せかけてあのフェンスの前に持ってきたのは本当にやられた。ここの一瞬だけフェンスがなくなりシンジが蘇る映画的な飛躍が素晴らしい。
何も解決出来ないし、現実は変わらないけど、フェンスを越える事が出来るのは音楽や映画など人が想いを乗せ作りあげたモノじゃ無いのか、と作り手が示してる様で僕はここでボロボロ泣いてしまった。
ちはやふるコンビの息のピッタリ具合
相変わらず生意気な役柄が佐野勇斗さんは似合う。テンションが高いシーンが多いので下手な人が演じたらわざとらしくなりそうなキャラクターを爽やかに演じ切っていた。
それとなんといってもクセの強いメンバー達を繋ぎとめ、一歩引いてクッション的な役割をする航太郎役の森永悠希さんの好演も素晴らしい。僕は「ちはやふる」シリーズで1番好きなのは彼が演じる机くんだったので彼が笑顔になるだけで涙腺を刺激される。
途中彼ら2人が喧嘩をする展開があるんだけど、ここの仲直りシーンが超好き。
海の方を見てる航太郎の背中から、もう一度バンドをするべく舞を連れてきた亮多が声をかける。それに気づいた航太郎が海の方を見て拝むシーンの顔が泣かせるし、またどっちも謝らないのがセリフがなくても2人の付き合いの長さを感じさせる様で素晴らしい。
山田杏奈は可愛い
まぁあとはなんといっても山田杏奈ちゃんが可愛いですよ。ギター背負って自転車漕いでる姿も、基本的にムッとした表情から笑顔になる所も、歌声とか超可愛い。パーフェクトですよ。
ミスミソウに続き家族を理不尽な事件で奪われる役で、中盤まで冷静に振る舞ってる様に見えた彼女がギターを壊された事でついに感情を爆発させる所は本当素晴らしい。
父親に向かって「お兄ちゃんはかっこよかったんだから!」ってギターを抱きしめて泣く所とか、兄なら死んでも悔いがない位素晴らしい妹描写。パーフェクトですよ。
音に対するこだわり
あとこの監督さんは音に対して異常にこだわってる気がした。「羊と鋼の森」でも音楽を演奏するシーンだけじゃなく、調律をする時のピアノの軋みとかとても生々しい音を入れていた。
今回ならライブハウスの音の響き方とか外でスピーカー越しに音を出すならこういう音質とか凄いこだわりを感じた。マイがアンプの使い方がよく分からず初めてギターを鳴らす時の音とか大きくて印象的なんだけど彼女の「こういう感じだった」って聴き入ってる顔でドラマ的にも感動させられた。
気になった所
不満点を言うと、羊の鋼の森でも感じた事なんだけど、ちょっと演出がくどい気がする。おんなじ様なシーンが多くて話が前に進まない所で長く感じる。
特に最初の方の鈍重さがミスリードとは書いたけど、それにしたってもう少しスマートに出来そうな気もした。
彼が記憶を取り戻す描写が、そのまま彼らの絆がどれ程強いのかって説明になってるんだけど、いくらなんでもくど過ぎる。シンジの何お前忘れてんだよ!って叫ぶ所もバリエーションなくて観ててしんどかった。もうちょっと演出の仕方無かったのかなぁ、、、
最初の演奏シーンで何となくバンド内の繋がりは表現出来てたし、そこまでクドクド説明しなくてもいい気がした。
それと動画載せて話題になる展開もどうなんだろ?と思う。幾ら何でもそんな上手くない気がしたのだけど、、、
そもそも前の男4人編成から、ベース担当がいなくなりバンドで演奏するのが初めての舞が参入した状態でバンドとしての評価が変わらないのも不思議。
あと僕は気にならなかったけど「ボヘミアンラプソディ」の様に伝記でもなく、「リンダリンダリンダ」の様に実際にある曲を高校生がカバーするという設定でもなく、この世界観の中でMONGOL800は存在せず、名曲の数々があのイケメン高校生が全部作ったという事になってるんだけど、これはファンの人が観たらどう思うんだろうか、、、もちろん本人達は了承してるので問題あるわけじゃないけど、ファン目線で考えると多少モヤモヤするなぁ、、、
そんな感じでよく考えたら突っ込みどころも多そうだし、完璧な映画という訳ではないんだけど、そんなことも忘れる位素晴らしいシーンがたくさんあったので全体的には大満足!スルーしないで良かった。
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