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ショローと子猫タオ

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2022年秋、30年間やってきたキャットシッターの会社を畳み、6匹の猫とともに福岡県糸島に移住したショロー南里秀子。 移住直前に登場した生後3か月の子猫タオ、新天地の暮らし。「死… もっと読む
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#猫と人と古民家と

「おかえり、タオちゃん」ショローと子猫 その6

捕獲成功2/17の早朝、ヒメノさんから電話があったとき、ワタシはすでに準備万端だった。説明しようのない予感があったのだ。 「今、捕獲器に入りました! 今から捕獲器ごと持って行きます」 「おおーっ、ありがとうございますっ!」 ヒメノさんの声は冷静だったが、だからこそにじみ出てくるなにかがあった。 なんだろう、山里の小さな温泉がポコポコした音を立てているような。 飛び立って家の前で待っていると、朝ぼらけの中、ヒメノさんが長方体の捕獲機をワッセワッセと運びやって来た。 この図、正

タオ、糸島で迷い猫となる。ショローと子猫 その3

タオの発情ハラハラドキドキの引っ越しから1か月半が過ぎた11月下旬、タオの発情が始まった。 うにゃーん、うにゃーん、くねくね~ 夏の出会いから3か月ちょっと。 もお、おとなになっちゃうの~? 仕方のないこととはいえ、あの輝くような子猫時代が去ってしまうのはなんとも寂しい。 お互いの倖せのためにも、不妊手術をせねば。 がしかーし、相変わらず撫でることもかなわぬ状態は依然続いていた。 地元の動物病院に不妊手術の予約を入れながら、捕まえられずキャンセルすること2回。「捕まえなけれ

「迷子のタオや、帰っておいで」ショローと子猫 その4

わこ帰還タオがいなくなって丸1日が過ぎた。 空腹で帰ってくることを期待して、いなくなった晩はあえてごはんを外に用意しなかった。 健康体なので食べなくても、水さえあれば1週間くらいは大丈夫なはず。 タオが「家に帰ろう、帰りたい」という氣になれば、それでいい。 それから先のことは、そうなってから考える。 こんなとき、いくら計画を立てたところで無意味なことは、ちぃちぃのときに学習している。 夕べはどこで過ごしたのか? お腹がすいているだろうに、どこでどうしているのだろう? 家にい

「迷子のタオちゃん目撃情報相次ぐ」ショローと子猫 その5

家出5日目、目撃情報相次ぐワンちゃんのお散歩グループの方が、 「タオちゃんらしき猫がいます」 と、我が家に駆け込んできた。 「いっしょに行きます!」 「こっち、こっち、こっちです」 「あ、タオちゃんのおかぁさん、さっきまでそこにいたんだけど、今あっちに逃げました」 「こっちでーす、このポーチの下に入り込んでます。見えます?」 這いつくばって、のぞき込んだが老眼でよく見えない。 「タオちゃん、怖がらないで……」 近所の人たちとワンちゃん散歩グループ、そしてワタシ。 期せずして