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日本酒がワインを超える日:渡邊久憲著
飛騨の古川市の酒蔵「渡辺酒造店」の9代目社長が、ご自身のこれまでのチャレンジとこれからのビジョンを語るナラティブストーリー。
商品開発にストーリーの発想が活きている、具合的な事例のひとつが、2004年に発売した「蔵元の隠し酒」。
「大観光地ではない飛騨古川にひとりで旅に来て駅を降りる。ふと、気になった老舗のうらぶれた酒蔵に入ってみる。そこの主人に案内してもらった蔵のなかで、新聞式が巻いてある無造作に置かれた酒を見つける」
…
隠し酒のエピソードでもあるように、お酒の味そのものだけでなくて、お酒を購入するまでのストーリーだったり、新聞紙にくるまれているというパッケージ演出だったり、そういったものを含めてお客さんは喜んでくださるんだなというのがわかった。
渡邊社長は「エンタメ化経営」というテーマを掲げているように、エンターテイメントへの造詣が深いです。「ストーリーとは何か?」という問いにも明確に答えています。
ハリウッドの大ヒット映画のストーリーはどれもだいたいパターンが決まっていますよね。それは「旅立ち」「試練」「帰還」という構造です。最初は負けたり、失敗したりして主人公は打ちひしがれるわけですが、そこから奮起して努力し、仲間の協力を得て、最後には勝利する。
単なるサクセスストーリー、美しいストーリーというものではなく、「失敗や逆境などのピンチ」に直面し、それを乗り越えていくところに、ストーリーの本質があるという考え方は、すっきりと腑に落ちました。
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