マガジンのカバー画像

小説『黒猫りんの物語世界』

4
統合失調症の急性期を超え、退院してから少し経った頃の、女性と、その仲間たちの物語です。読みやすさと、明るさを、考えて書きました。
運営しているクリエイター

#三毛猫

黒猫りんの物語世界1

1、黒猫りんと三毛猫にゃん太 早朝、カーテンを開けると、光が飛び込んできた。闇が払われ照らされた部屋も、私も、見た目は数か月前と変わらない。 なのに、すべてが変わってしまった。 多くを失ってしまった。 そう思った。 ふと、そんなことはないと反論する自分がいる。障がい者になってしまったからといって、笑って生きてはいけないなんて、うつむいて端っこを歩かなきゃいけないなんて。 そんなことは絶対にない。 背中に負いきれないほどの重荷を引きずりながら生きてきて、希望に見えていたもの