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【ショートショート】1, うつ伏せ

「おい笹山。」

 まただ。また俺はやってしまったらしい。

「ドアをノックする時はうつ伏せでやれと言っているだろ。貴様これで注意されるのは何度目だ?」

 始まった。先輩の説教が始まると午前中は仕事にならない。だがさすがにこの状況にも俺は慣れてしまった。ここはこれまでの経験を活かしてうまくかわしていこう。

「はい、すみません。もう二度と間違えません。」

「前もお前そんなこと言ってたよな。いい加減覚えてもらわないと恥ずかしくて他所の会社に君を連れていけないんだよねぇ。」

ダメだったみたいだ。この人のうつぶせ好きは異常なんだ。きっとお天道様に合わせる顔が無いような人生を送ってきたのだろう。

「聞いてんのかよオイ。」

 増えていく傷の痛みを悟られないように舌を噛みちぎって痛みを我慢する。飲み込んでしまえば噛みちぎったことはばれないはずだ。

「そろそろやめないか坂本。」

「しかし部長...」

 お、今日は部長が止めに入ってきて話始めたぞ。なかなか珍しいがそっちで言い争ってくれれば俺に目を向けられなくなる。だがこの部長にも欠点がある。

「いいか坂本、部下をそのように扱っては誰もついて来てくれなくなってしまうぞ。」

「しかし私は優秀な人材の育成が我が社にとって一番の,,,」

「いい加減にしろ!!!!部長である私に歯向かうと言うのか!!!!大体お前は昔っ縺九iそうだ!菴輔r險?っても屁理螻医〒霑斐@蟇セして筋の騾壹iない話を莉紋ココ縺ォ謚シ縺嶺サ倥¢繧菴輔′謔ェ縺九▲縺溘?縺?繧阪≧縺ゥ縺薙r髢馴&縺医◆縺ョ縺?繧阪≧・・・・・」

 あーあ、壊れてしまった。まあうちの社員もこの状況には慣れてしまっている。各々パチンコ玉やジャガイモを耳に詰め込んで化け部長から目を逸らそうとしている。
 先輩も俺に睨みを利かせた後は、耳にセブンで買った昼飯のおにぎりを詰めて自分の世界に入っていった。昼飯が最近は旦那さん特製の愛旦那弁当じゃ無いのはきっと喧嘩でもしたんだろう。あの人は家でも小言が五月蠅そうだもんな。ほんと重箱の隅をつつくように文句を言ってくる。
 そもそもうつ伏せと仰向けの違いなんてわからねぇだろ。

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