中央高速バス諏訪岡谷線

中央高速バス諏訪岡谷線はあまたある昼行高速バス路線の一つで、4列シート車の走る特に代わり映えのない路線なのだが、眺望と旅の楽しさは素晴らしい。

4列シートといっても富士五湖線や甲府線のような詰め込み仕様ではなく、もう少しゆとりのある座席である。新宿を出て相模湖インターを過ぎるまでは渋滞しがちで全然楽しくない。小仏トンネルを越えて桂川の谷間を通り、大月JCTで富士五湖線と分岐して笹子トンネルを越える。ここが最初の山場で、一気に甲府盆地の眺望が開けてくる。昼間の眺望も素晴らしいが、甲府盆地の夜景も素晴らしい。

甲府盆地の西の外れ、中央道昭和が最初の降車停留所である。その次の双葉サービスエリアで休憩がある。ここから山を登っていくのだが、その前に一休みである。双葉サービスエリアを過ぎると、韮崎、須玉、長坂と標高が上がっていく。諏訪岡谷線は中央道昭和から先の各停留所が降車停留所なので、降車客がいるとこまめに停車していく。中央本線の線路は谷底にあるが、中央道は山の中腹にあるので眺めがよく、八ヶ岳がよく見える。八ヶ岳が徐々に大きくなっていく。松本線や伊那飯田線はこの区間を一気に駆け上がっていくのだが、眺望の良い区間なのでのんびり走るのも悪くない。

山梨県の端の小淵沢を過ぎてもまだ標高が上がっていき、少し先の長野県の富士見町に中央道最高地点がある。中央本線最高地点も富士見町にある。ここから下り坂に転じるが、諏訪南インターも中央道原バス停もまだ山の中。中央道茅野でやっと諏訪の盆地に着く。盆地なのだが標高が高いので、空気が澄んでいる。

諏訪インターを出てから上諏訪駅までは一般道を走るが、諏訪湖のほとりは平地が乏しく、国道20号に交通が集中する。上諏訪駅、下諏訪と停車し、岡谷駅が終点である。下諏訪のバス停は下諏訪駅前ではなく、国道20号沿いにあるが、諏訪大社下社秋宮への参道に近く、門前には塩羊羹で有名な和菓子屋の新鶴があったりする。塩羊羹は予約しないと売り切れていることが多いが、塩羊羹以外の和菓子もなかなかおいしい。上諏訪駅からJRの跨線橋を越えてしばらく歩くと諏訪湖である。一帯は公園になっていて、足湯や間欠泉があったりする。岡谷駅からはそのまま中央線に乗って塩尻松本方面に行くこともできるが、岡谷始発の飯田線に乗り継ぐこともできる。

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