鰻の成瀬に行ってみた

最近話題の鰻の成瀬だがまだ店舗数が少ないので行く機会がないと思っていた。その後意外な場所にあることがわかったが、なにぶん値段が張るので、鰻を食べようと思い立ったときには行ってみたいと思っていた。このたび鰻を食べようという気分になったのでついに行くことができた。

店舗はカウンター10〜15席くらい。空いている時間帯ならワンオペで回せるくらいの規模。鰻重は梅が半身で1600円。松が1匹分で2600円、竹はその中間の4分の3身で2200円。ご飯大盛りは+100円。

今回は梅を注文した。半身とはいっても大きな鰻の半身なのでそれなりにボリュームがある。吉野家やすき家のように一切れ乗っているだけというのとはわけが違う。また、ご飯の量とのバランスも良い。松や竹はうなぎの量が多いのでむしろご飯を大盛りにした方がよいかもしれない。

味の方はなかなかのもので、蒸しもさることながら焼き目もきちんと入っている。鰻は下ごしらえも焼きも難しいのだが、セントラルキッチンで加工したものを店舗で温めている。直火で焼くのは技術的に難しいので、過熱水蒸気で加熱しているのだろうか。もしそうなら蒸気の温度を変えることで蒸すことも焼くこともできる。機械を活用することで一定水準以上の調理を担保しているという店ではてんやに通じるものがある。もしかしてヘルシオがあれば自宅でも同じようにおいしく調理できるのだろうか。

半身の梅であっても量においても味においても鰻を食べたという充実感が得られる。食の細い人なら梅でも十分ではないだろうか。それに、うな重はおいしいが鰻の味しかしないので、おいしく食べられる量に留めるというのも一つの考え方である。尚、店内では竹を注文している人が多かった。梅の1.5倍の量の鰻があれば、大抵の人は満足できるだろう。

気軽に食べられる値段ではないが、比較の対象は吉野家やすき家といったファストフード店ではなく普通の鰻屋なので、同じ味の店との比較では3割くらい安い。鰻屋でなく街場のレストランで夕食を食べても同じくらいの値段はするし、おいしい回転寿司屋で食べたらもっと高くつく。言うまでもないことだが、セントラルキッチンで加工した鰻を加熱して出す店なので、高級店と比較しても意味がない。カウンター席なので接待やデートには向かないが、一人で鰻を食べたいときに鰻を食べることに集中するには良い店だと思う。小さい店舗では回転率が重要なのでさっと食べてさっと出るのがよいだろう。

うなぎをこれだけおいしく加熱できる機材があるなら、同様に焼き鳥や焼き魚もおいしく加熱できるのではないだろうか。鰻屋として客の入りが鈍ってきたら、焼き魚のおいしい定食屋に転換することもできるかもしれない。


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