福島山形間は山形道経由と東北中央道経由とでどちらが便利か

東北中央道の山形上山ICと南陽高畠IC間が2019年4月13日に開通したことで、福島山形間のルートは従来の東北道山形道経由のルートに加え、東北中央道経由のルートも利用できることになった。せっかくなので両方を走り比べてみた。往路は米沢経由の東北中央道、復路は山形道東北道経由である。

【往路】
東北中央道に入ってしばらくは快調。勾配はあるが、栗子峠を栗子トンネルで貫通するおかげで標高差が小さく、勾配や曲線はさほど急ではない。栗子トンネルの手前から急に詰まってきた。遅いトラックを先頭に待ち行列ができている。福島米沢間は国道13号経由に比べて東北中央道経由の方が標高差が小さいことから、危険物を積んでいないトラックは無料で走れる東北中央道経由を選ぶ。もともとこの区間は積雪期にトラックがスタックしたり大雪で通行止めになったりしやすい国道13号の改良事業として新直轄方式で建設された区間なので仕方ない。無料の高速道路ができたのだから国道13号は空いているだろうと期待すると、こちらには栗子トンネルを走行できない危険物搭載車両がゆっくり走っているので、それならば東北中央道経由の方がまだましである。

幸い、重いトラックは下り坂には弱くないので、栗子トンネルの半ばで下りに転じてからは徐々に流れるようになってくる。米沢北ICから東根ICまでは対面通行にも関わらず有料なので、米沢北ICで交通量が減少する。交通量が少なくて流れが良ければ対面通行区間であっても支障ない。追越車線があっても追い越す必要がないくらい流れが良かったが、こればかりは交通状況次第である。南陽高畠ICからかみのやま温泉ICにかけては鉄道や国道と同様に緩やかな峠越え区間なのだが、高速道路はいくつものトンネルを経て比較的楽に越えていく。おかげで米沢から先は比較的平坦である。山形上山ICから先では山形の市街地を西に迂回するので、山形の市街地に向かう車は山形上山ICから国道13号のバイパスに流出する。

【復路】
東根方面からなら東北中央道から山形JCT経由だが、天童くらいなら国道経由で山形北ICから入る方が早い。山形の市街地からは山形蔵王ICから高速に入る。山形道は先に開通した笹谷トンネルの前後を高速道路でつないだものなので、標高差が大きく、そこそこ勾配と曲線がある。しかしそれでも全区間4車線なので速い車も遅い車も問題なく流れていく。

村田JCTからは東北道だが、仙台から福島にかけては山越えルートで谷間を縫って走るので勾配と曲線がきつい。4車線あるが交通量が多く、しかも長距離を走る車の多い東北道では遅い車から速い車まで入り乱れているので、追い越しに気を遣う。その代わり東北道はSA・PAが充実しているので、途中で休憩するなら東北道経由の方が有利である。

【評価】
この区間をGoogle Mapで検索すると東北中央道経由のルートを勧めてくる。村田JCT経由に比べて距離が20km短いうえ、線形が比較的緩やかなためである。東北中央道経由の方が所要時間が数分短い。ときには東北中央道経由の方が若干所要時間が長くても東北中央道経由を勧めてくることもある。たしかに大型トラックの場合は距離が短く線形が良い方が有利で、対面通行で多少速度が落ちてもさほど影響ないかもしれない。それに福島米沢間で高速代がかからないのは、高速代の高い大型車にとっては圧倒的に有利である。ただし危険物搭載車両は栗子トンネルを走行できないので、国道13号経由と山形道経由との比較になる。雪が無ければ標高差が大きくても空いていて高速代のかからない国道13号経由の方が有利かもしれないが、積雪期なら山形道経由の方が安全だろう。

一方、乗用車の場合、対面通行区間がどれくらい空いているかによる。空いていれば楽に走れるが、前に遅い車がいれば、追越車線まで我慢して、追越車線で一気に追い越す必要があるので面倒である。栗子トンネル手前の上り勾配で詰まりやすいが、ここに比較的まとまった距離の登坂車線があれば一気に解決する。とはいえ山間部なので車線の増設は難しそうである。栗子トンネルで2車線のトンネルをもう1本掘るのは極端に交通量が増大しない限り現実的ではないだろう。それでも詰まるのは上り坂だけなのでしばらく我慢していれば下りに転じてからは流れるようになる。たとえ栗子トンネル手前で詰まっても数分くらいの差でしかないのではないか。

この辺りは東京仙台間での東北道経由と常磐道経由との比較に似ている。常磐道経由の方が距離が短く線形も良いので、対面通行区間での速度低下を考慮しても所要時間の面ではまだ有利なのだが、120kmにものぼる長大な対面通行区間が常磐道へのシフトを阻害している。いわき中央IC広野IC間と山下IC岩沼IC間では4車線化工事中だが、これらの区間が4車線化してもなお80kmもの対面通行区間が残る。ちなみに東北中央道の福島JCTと東根北ICとの間は約100kmもの対面通行区間なのだが、通しで走る需要がさほど無いので目立たない。

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