松本旅行記 -長すぎるプロローグ編-
夏休みもそろそろ終わりが近づいてきた9月のとある日、松本に日帰りで行くことにした。
実は、松本に遠距離恋愛をしている彼氏がいるのだ。この夏休み期間にも予定を合わせて何度か会ったのだが、松本観光も兼ねて夏休み最後の思い出としてもう一度会いたくなった。
東京-松本は新幹線は通っていないものの特急あずさで結ばれている。しかし大学生という生き物は常に金欠なのだ。そしてもし仮にお金に余裕があったとしても、節約できるところは節約したいという思考回路を持っている。特急あずさに乗るためには乗車券とは別に片道約2000円の特急券が必要なのだ。地味に高い。そのため、往復とも普通列車で行くことにした。
朝5時半前に家を出て、コンビニで朝食用のパンを買いつつ駅に向かう。
もちろん誘惑に負けておやつのグミも買ってしまった。
外はまだ少しだけ明るさが物足りなかったが、秋の気配を彷彿とさせる涼やかな風が心地よかった。妙にふわふわとした気分だったがこれは気温のではなく寝不足のせいだと思う。
最寄り駅から中央線に乗ってまずは高尾駅を目指す。始発でないとはいえ朝5時台なのだから電車の中は空いている…と予想していたが、東京を舐めていたようだ。座れはしたものの席はほとんど埋まっている状況だった。
高尾行という事もあってか大きな登山用具らしきものを持っている人もたくさんいた。(あれ、高尾山ってそんなに険しい山じゃなかったような…)と思ったが、もしかしたら彼らも私と同じように鈍行で山梨や長野に向かうのかもしれないじゃないかと思い、一方的に親近感を抱きながら、これから獣道だらけの山を登るのであろう彼らに心の中でエールを送った。
しかしその一方で、平日だったこともあってかスーツを身にまとった人々もたくさん見かけた。こんな朝早くから出勤か。お金を稼ぐという事はそう簡単な事ではないのだと改めて痛感した。
列車が多摩川の上を通過した時、まだ高度の低い太陽の光が車両に差し込み、視界がパッと明るくなった。びっくりして窓の外を見ると、眼下を流れる多摩川がいつもよりも輝きを増しているように感じて、とても清々しい気持ちになった。朝が弱い私はいつも時間ギリギリに起きて急いで学校に向かうと言うあわただしい朝を過ごしているが、たまには頑張って早起きをしてのんびりとした朝を過ごすのもいいかもしれないと思った。
これがいわゆる朝活というものなのか?笑
あれやこれやと考え事をしていたらあっという間に高尾駅に到着した。
駅のホームに大きな天狗の石像があって驚いた。
後で調べて知ったことなのだが、この石像は高さ2.4m、鼻の長さ1.2m、そして重さは18tもあるらしい。“天狗が住む山”と伝わる高尾山の伝説を基に1978年に中央線の安全を祈願して設置されたようだ。正面からの写真しか撮っていないため鼻の長さが伝わらないのが残念だが、とてもインパクトがあった。是非高尾駅を利用する際には実物を見て欲しい。
東京に別れを告げ、中央本線に乗り込む。私が乗った電車は乗り換えなしで松本まで行けるものだった。これで移動中に爆睡しても安心だ。車内で寝る気満々だった私は、椅子横の壁にもたれかかって寝るために横並びの席の一番端を狙っていた。しかし一番端の車両まで行ったが端の席は全て埋まっていた。仕方なく真ん中あたりの席に座る。ところで、普段10両編成の中央線に慣れているため、6両編成の中央本線がとても短く感じた。これでも地元の電車よりは長いのに。
定刻になり、列車はゆっくりと動き出した。私の斜め前に座っていた人が堂々とおにぎりを食べていたため、私も遠慮なく朝ごはんのパンを食べることにした。ハロウィン仕様のポケモンパン。味はパンプキンメロンパン。生地はパサパサしていなく、ねっとりとした甘さがおいしかった。
そしてポケモンパンのメインイベントであるデコキャラシール開封式。メスのピカチュウが出た。とてもかわいくて、自分的に大当たりだ。
グミも初めて買う種類だったが味も食感も自分好みでとてもよかった。今日はいい日になりそうだ。
しばらくすると、列車が長いトンネルに入った。そしてトンネルを抜けると、あたり一面山だった。日本最大の平野である関東平野で暮らしている私は、普段こんなに間近に山を見ることはできない。滅多に見ることのできない景色を見ることができた私は、かなり興奮していた。もういっそここら辺の駅で降りてしまおうかと思ったが、松本にいる彼氏の顔を思い出し、思いとどまった。
中央本線に乗って一番驚いたことは、駅に着いても自動でドアが開かないということだ。降りたいときはドア付近にあるボタンを押して自分でドアを開ける。このタイプは都会でも見たことはあるが、それは電車の待ち合わせ等で長時間駅に停車する際に電車内の冷気(or暖気)を外に逃がさないためだ。ほぼすべての駅で自動でドアが開かないということにはかなり驚かされた。
しばらく電車に揺られていると、運よく端の席が取れた。もっと景色を眺めていたかったため目を閉じてしまうのはもったいない気がしたが、前日あまり寝れなかった私はこのままでは観光に支障が出ることは自明なので、おとなしく寝ることにした。最近ずっと寝不足だったため、爆睡した。
その後は、途中で首や肩が痛くなって目が覚めることもあったが、軽く伸びをしてまたすぐに寝た。甲府駅に着いた頃、周りの騒がしさで目が覚めた。周りを見渡すとスーツや制服姿の人がたくさんいた。時計を見ると8時頃だった。ちょうど通勤や登校の時間だ。平日にゆっくりと旅行ができる大学生という身分に感謝しつつ、慌ただしく動く人々を尻目に目を閉じた。やはり睡魔に勝るものはない。
その後は2時間近く目が覚めることなく眠っていた。
はっと目が覚めた時、列車は見知らぬ駅に停車していた。駅名標は見当たらなかったが、直感的に松本駅ではないと思った。時計を見ると9時45分頃だった。私が乗った電車は9時35分に松本駅に到着だったような…ってあれ!?まさか寝過ごして終点の松本駅で折り返した!?!?寝ぼけている頭の中が一瞬にして混乱した。スマホを見ると、松本駅で待っている彼氏から“今どこ??”とLINEが来ていた。やばい、完全にやらかした。寝すぎてしまった。とりあえず電車を降り、google mapで現在地を確認する。私は松本駅の5個手前の塩尻駅にいた。彼氏に急いで電話をして謝罪し、次の電車で行く旨を伝えた。
もし私が寝ぼけていなかったら、松本-塩尻を10分で往復することはできないと気付けただろう。しかし、この時は全く気がな付かなかった。次の電車の発車時刻が知りたくて電光掲示板を見ると、“20分遅れ”と書かれていた。だが、(急いでいるときに限って遅延かよ…)としか思わなかった。
私がこの異変の真相に気が付いたのは、次の電車に乗ってからだった。車内アナウンスで、“昨晩の大雨の影響で踏切の点検を行ったため電車が遅れている”と放送があった。つまり私は寝過ごしたのではなく、電車の遅延に巻き込まれただけだったのだ。そのまま電車に乗っていれば松本駅に行けたのに、そうとは知らずに電車を1本遅らせてしまったため、もちろん到着時間は更に遅くなる。まぁしょうがない、旅行にアクシデントは付き物だ。ポジティブにのんびりと行こう。そういえば、移動中に読もうと思って松本城の特集雑誌を持ってきていた。結局ずっと寝ていたため読んでいなかったから、今から松本駅に着くまで読もう。そう思って雑誌を取り出した瞬間、「まもなく発車します」というアナウンスと共にドアが閉まった。もう何なんだよ…
10数分後、やっと松本駅に到着した。無事に彼氏とも合流することができた。遅延のせいとは言え集合時間より30分近く遅刻してしまったのに全く嫌な顔をせず笑顔で迎えてくれた。まじで仏だ…!!
こうして、やっと松本観光が始まるのだった。
本当はこのまま観光の様子を書く予定だったのだが、すでに3000字を超える長文になってしまった。
noteの更新頻度が異常に高く、かつ1つひとつの投稿の文字数がとても多い友人に、なぜそんなに書くネタが思いつくのかと聞いたところ、思いついたことをそのまま書いていると言われた。そのため自分も真似して、思ったことを全て書いてみたら、まさかの移動紀として1つの投稿になってしまった。この長すぎるプロローグに対して本編は果たしてどれくらいの長さになるのだろうか。もしかしたら本編の方が短くなってしまうかもしれない。もしそうなっていたら、(この人プロローグで力尽きたんだな笑)とでも思っておいてください。
では本編も乞うご期待ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?