松本旅行記 -普通サイズの本編-
【プロローグ編はこちらから】
さぁ、ようやく本編である。
長すぎる電車旅を終えてようやく松本に到着した私は、無事に今回一緒に観光をする彼氏と松本駅で合流することができた。2人で取り留めもない会話をしながら、今回の旅行のメインディッシュである松本城へ向かった。私も彼も日本史に興味があり、お城巡りが好きだ。今まで行ったデートは全てお城である。一度くらい王道なデートスポットにも行ってみたいが、私にとって一緒にお城巡りができる相手は彼くらいしかいない。彼以外にも日本史が好きな友人はたくさんいるのだが、戦国時代のような荒々しい文化よりも平安時代のような古風でおしとやかな文化が好きだったり、浮世絵などの美術作品に興味があったり…と、意外とお城巡りに興味がある友人は少ないのだ。せっかく共通の趣味を持った人に出会えたのだからこれからも仲良くしたい。そしてたくさんのお城に行きたい。
15分ほど歩いて、松本城に到着した。
松本城を見た時の第一印象は、「黒いなぁ」だ。笑
それもそのはず、松本城は全国で唯一黒漆が塗られているお城だ。黒壁の天守は他にもいくつかあるのだが、今でも黒漆が塗られているのは松本城だけだと、直前の電車の中で読んだ雑誌に書いてあった気がする。太陽の光をふんだんに浴びて妖艶な輝きを放つ天守閣はとても美しかった。
しかし、私は松本に向かう電車の中で遅延のアナウンスに気付かずに爆睡していたほど寝不足だったのだ。心の中ではすごく感動していたのだが、実際の反応はとても薄くなってしまっていた気がする。申し訳ない…
少し話は変わるが、私はお盆休みに“白鷺城”の愛称でも有名な姫路城を訪れた。短期間に代表的な白と黒のお城の両方を見ることができ大満足だ。
松本城をひと通り楽しんで時計を見ると、もう正午だった。そろそろお腹が空いてきたので、お昼ご飯を食べることにした。せっかく信州に来たのだからお蕎麦を食べたいと彼にリクエストしていたため、彼がおいしいお店を調べてくれていた。お蕎麦屋さんに向かいながら、(お昼時だから混んでいるだろうな…お店予約していないけれど大丈夫かな…)と心配していたが杞憂だった。お店に行くと待ち時間なしですぐに入れた。確かに平日の昼間ではあるが、私の最寄り駅の周辺のお店は、平日もお構いなしに大勢の人がいる。そのため数分の待ち時間は必至であるし、店内に入ってもガヤガヤしているためゆっくりと過ごすことは出来ない。よく友人から「東京に住んでいるのが羨ましい」と言われるが、どこに行っても人だらけなのは正直気が滅入ってくる。都会はたまに行くから魅力的なのだと思う。
私も彼も、夏野菜の天ぷらがセットになったお蕎麦を注文した。夏野菜は色とりどりで、見ているだけで食欲が湧いてくる。私は特になすの天ぷらが好きだ。なすは独特の食感と風味があるため、焼いたり茹でたりして食べるのは苦手だ。しかし、天ぷらにすれば独特の風味も薄れて食べやすくなる気がする。
天ぷらだけでなく、もちろんメインのお蕎麦もとても美味しかった。私には食レポの才能はないため、何を食べても「美味しい」のひと言になってしまうのがとても残念だが、本当に美味しかったのだ。カップラーメンのお蕎麦とは雲泥の差だ。ぜひ信州に行く機会があればお蕎麦を食べて欲しい。
お腹も満たされたということで、私たちは松本市立博物館に行くことにした。元々行く予定ではなかったのだが、お蕎麦屋さんの向かいにあったのだ。せっかくだし行ってみようということになった。それに外は暑すぎてとても歩き回る気にはなれない。暦の上では立派な秋だというのに…
額から滴る汗を一瞥して博物館に向かって歩く。
博物館では、城下町として発展してきた松本の歴史が紹介されていた。初めて知ったことが殆どで、とても興味深くおもしろかった。
しかし…この記事を書いている時点で、旅行に行ってから既に2週間が経っているのだ。プロローグ編で満足してなかなか本編を書かなかったせいである。そのため、展示内容の細かい部分はもう全く覚えていない。しかし、1つだけ鮮明に覚えている展示がある。
展示もそろそろ中盤に差し掛かってきたところに、その展示はあった。
いやぁプライドを感じる。そしてインパクトが強い笑笑
確かここは、「そろそろ疲れてきたと思うので、井戸の周りに座って今までの展示をゆっくりと思い返してください。」といった説明が書かれていた気がする。
(こんなところでゆっくりできるかよ!!)と心の中で突っ込みを入れたことを鮮明に覚えている。
ただ、松本市の肩を持ちたいわけではないが、日本地理に弱い私は高校受験の勉強中に(長野県の県庁所在地って松本市じゃないの!?)と衝撃を受けたことを今でも覚えている。つまり、長野市の印象は私の中でかなり薄い。長野市って新幹線は停まるけど他に何かあるっけ…?そもそも広い長野県のどこら辺にあるのだろう…?
長野市民に喧嘩を売りたくないので、ここらへんでやめておこう。
要約すると、松本市民の長野市へのライバル意識も分からなくはない。
井戸を模した展示は全部で3つあったので、残りも2つの写真も下に載せておく。
博物館も十分満喫したので、次のスポットに向かうことにした。
なわて通り商店街を通り抜け、ガイドブックを読んで気になったカフェに向かった。道中にあったジェラート屋さんに惹かれたが、これからカフェで甘いものを食べるのだ、心を鬼にして我慢した。
目的地には意外とすぐに着いた。珈琲茶房かめのや、レトロな雰囲気がとてもおしゃれなお店だった。“昭和レトロ”というものだろう、カフェというより喫茶店という言葉がしっくりくる。そもそもカフェと喫茶店の違いは何なのだろうか。気になったので調べてみた。しかし、昔は営業許可証の違いがあったが法改正がされたため、今は明確な違いはないらしい。
私たちは、それぞれプリンとドリンクを注文した。プリンは昨今流行りのプルプルとした柔らかいものではなく、昔ながらの固めのものだった。もったりとした食感が私にとってはとても新鮮である。そして、味が濃いのに甘ったるくなくてとても美味しかった。
ドリンクはキウイライムソーダを頼んだ。せっかく喫茶店に来たのだからコーヒーを頼むべきだとは思ったが、やはり炭酸飲料にかなうものはない。“ソーダ”という文字に惹かれてしまった。それに、私の舌ではおいしいコーヒーを見分けることはできない気がする。ならばと思い、美味しそうで見た目もかわいいソーダにした。さっぱりしていて中に入っているキウイが甘酸っぱくて良いアクセントになっていた。キウイの炭酸飲料ってかなり珍しい気がする。炭酸飲料にキウイ、意外と合います。
美味しいスイーツを味わいながら、帰りの電車の時間まで喫茶店でのんびりと過ごした。やはり久しぶりに会ったということもあってか、会話が絶えなかった。最近の生活のこと、大学での面白いエピソードなど話題は尽きない。次回会う時のためにまた話題を貯めておこう…
終電で帰る予定だったため、逃してしまわないように早めに松本駅に向かった。そのため時間に余裕ができ、松本駅の近くのスーパーで電車の中で食べるおにぎりを買うことにした。ついでに自分用のお土産を買っていないことに気づいたため麵コーナーで信州そばを買った。家に帰って食べるのが楽しみだ。
松本らしいデザートも欲しかったが、気に入ったものが売っていなかったため、駅の土産屋さんに向かった。美味しそうなお菓子がたくさん売っていたが、箱菓子は一人暮らしではなかなか消費しきれない。悩んだ結果、りんごプリンを購入した。こちらも食べるのが楽しみである。
楽しい時間はあっという間で、ついに電車の時間が来てしまった。改札の前で彼と別れ、ホームに向かう。帰りの電車は乗り換えが2回ある。しかも終電。行きのように途中で寝てしまって乗り換えに失敗したら…恐ろしくて考えたくない。疲れてとても眠かったが、頑張って目を開けていよう。
しかし、眠気に勝るものはない。持ってきた本を読んでいたが、内容が全く頭に入ってこない。諦めて寝ることにした。しかし、行きの反省を生かして、ちゃんとアラームのかけたスマホを握りしめて寝た。音は出せないが、振動があれば起きられるはず。
うとうとしながらも何とか乗り換えをし、無事に最寄り駅に到着することができた。時刻はもうすぐ24時。駅のホームの階段を上りながら、ガラスの靴を持った王子様が来てくれないかと期待したが、残念ながら来なかった。
真っ暗な夜道を歩いて家に向かう。家に着きドアを開けると、代り映えのないいつもの景色が待っていた。眠気が限界に達していたため、荷物の片付けやお風呂は翌朝の自分に託して布団に入った。無事に帰ってこられた安心感と、現実に戻されてしまった寂しさが心の中で張り合っている。また松本に行こう。今度は冬に行きたいな。そう思いながら、目を閉じた。
余程疲れたのだろう、次に目を覚ました時は周囲はすっかり明るくなっていた。昨日は長時間の移動でずっと座っていたため、まだ体が痛い。伸びをするだけで肩が小さな悲鳴をあげる。しかし今日も予定が盛りだくさんだ。昨日を懐かしんでいる時間はない。まだ睡眠を欲している頭を気合で起こして、勢いよく立ち上がった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?