二重手術レポ
二重手術を受けてきた。
今はオペ直後でこれを書いている。まだ瞼が腫れていて内出血もひいていないので、仕上がりは良いのか悪いのかまだ分からない。
でもレポを書こうと思ったのは、いろいろ未体験に触れて刺激的だったからである。
時系列順に書いていく。
まず院を決める。テキトーにググって、チャリ圏内に大手美容整形クリニックがあったのでそこにした。
予約はオンラインで完結なので気楽だったが、入力項目がいっぱいあってぴえん。来院日時を第三希望まで書くのだが割と埋まっているらしく中々決まらなかった。
当日。
僕が予約した院は高級ホテルの中にあった。外はガヤガヤした大阪の街なのにホテル内はあまりにも品があった。不気味なくらいだ。
社会の構造を感じてテンションが上がった。
おそらく我々のように醜く貧しい人間が入って来れぬよう、幾重にも「結界」が張られているのであろう。
これが「良い人だけの国」というヤツだろうか。
院に入った。
受付をし、待合ロビーで座る。来ている人のうち男性は数人で、ほとんどが女性だ。どんな人が来ているのか気になったが、じろじろ観るのは気が引けたので我慢。ただほぼ全員が、ホテルロビーにいた人達同様、とても綺麗な格好をしておられた。
僕の手術を担当する先生は美人女医だった。素朴でサバサバした感じ。軽く問診を受けた後、今度はカウンセラーなる人から説明を受けた。
僕は普通の糸でただ縫うだけの激安プランを希望していた。カウンセラーなる人は激安手術のリスクと、高級手術のメリットを大変丁寧に説明してくれた。営業である。
レーシック手術(これもレポ書けばよかったかな)の時も同じ様なヤツがあった。必要なものと不必要なオプションを上手いことボカしながら話されてムズムズ。あまりいい気はしなかった。
なんかさ、ああいう話聞いている時って変な気持ちになるよね。うん。最近は営業の教科書的な本を読んでいるのもあり、色々考えてしまった。うまく書けへんけど。
そしてなんやかんやあってオペ室へ。笑気麻酔はヒゲ脱毛(継続中)で受けたことがあるので慣れたものだった。ガンギマリである。
最初、局所麻酔の注射と瞼を留めるピン(?)をやられた時はけっこう痛かったが、その後は痛覚無し。痛くはないが、瞼に針を通して抜くと糸がピューっと瞼を通っていく感覚がよく分かった。「ほんまに布みたいに瞼縫ってるやん」。家庭科の授業を思い出した。
麻酔ガス吸ってガンギマリになりながら、かつ瞼を布の如くクイクイ縫われながら、美人女医に「なんで整形しようと思ったんですか?」と話しかけられた。
もう面白い。
「いやー最近バーテンダーになったんですよ。見た目大事かなーと思いまして」
あなたは麻酔ガスを吸ってガンギマリになりながら、かつ瞼を布の如くクイクイ縫われながら、美人女医と話したことがありますか?あったら同士ですね。
しかもこれ、先生は必ずしも話す必要は無いわけですよ。「痛くないですか?」とかの業務連絡以外は無言で縫い縫いしててもいいわけですよ。
にも関わらずお話をしてくれている。美容整形外科医と話す機会なんて日常生活でなかなかありません。僕の変人好きとしての血が騒ぎます。
「ちなみに〇〇先生は、お仕事、楽しいですか?」
名前覚えてるのがキモいですね。はい。すみませんでした。糸をスーっと引っ張りながら先生が答えます。僕の瞼もグィーッと引っ張られています。
「ん、楽しいですよ。美しいものがね、好きなんでね」
100点。
完璧。パーフェクトだ。
なんだその答えは。先生、好きです(オイ
オペ前の段階で僕が理系だって言ったから、アスペ的な所を見抜いてそう言ってくれたのかもしれない。どちらにせよ御馳走様です。
いや、こんな美味いもの出されたらテンション上がっておかわり欲しくなっちゃうでしょうが。
「美しいものか…なるほど。美しさの基準とかあるんですか?」
「基準ですか?う〜ん…分かんないな、感覚ですね」
…そう、それでいい。
あなたはそれでいいのだ。
なんと野暮なことを聞いたのだろう私は。しかし聞かずにはいられないのだ。そこで考え込むのもまた一興。だが越えてきた。まことに天晴れ。
「そうすると、自分の美とお客さんの美が食い違うこともあったりするんじゃないですか?」
「あ、そうなんですよ!」
そうだろう。そうだと思いました。私はこういうやりとりが世界で一番大好きなのです。
「私的にはこうしたほうがいいなと思っても、そうじゃなくてすごい派手めな二重を希望される方とかもいて。でもそこはお客さんの希望第一ですね」
なるほど。そこはこだわり度がそんなに強くないんですね。分かりました。それはそれでよい。
まぁそんな感じでオペ終了です。
書いてて改めて思い出しました。僕アスペっ娘が好きだったな、って。元婚約者氏もすごくいいアスペっ娘だったな、って。(先生がアスペだと決めつけてるわけではないので、あしからず)。
おもろかった
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