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インドネシアJurnalPostによる「転校生ナノ」レビュー

以下はインドネシアのニュースサイト Jurnal Postに掲載された「転校生ナノ」のレビュー記事になります。


シーズン1と2の比較や、ナノとユリのアプローチの違い等、なかなか興味深い考察だと思います。 是非一読ください。


「転校生ナノ」というミステリアスなタイのドラマシリーズについて

JournalPost – 「転校生ナノ」は、2018年からNetflixで配信されているタイ制作のアンソロジー・シリーズです。 今年、2021年に第2シーズンが配信されました。 このシリーズは、主にChicha Amatayakul演じるナノを中心として物語になっており、転校を繰り返すミステリアスでスマートな彼女が、行く先々の高校で嘘と偽善を暴露していきます。 シーズン1は、学生が犠牲となった実際の出来事から触発されたの13のエピソードで構成されています。 


そして、各エピソードで、被害者の運命が勝利者に変わっていく様が語られます。 このシリーズの主なテーマは、「事件の被害者だった少女たちの運命を逆転させ、彼女達が勝利者になったとしたらどうなるか?」という物語示すものと言って良いでしょう。 又、学校が勉強の為の安全な場所というわけではない現実を認知させる目的もあると思います。

 
このシリーズの面白いところは、ナノという存在が、壊れた学校社会のシステムをこっそり直す天使としてだけでなく、罪ある者達をより深いブラックホールに叩き込む邪悪な悪魔でもある点です。 全てのドラマシリーズには、視聴者に訴えかけるモラルに関するメッセージがあると思いますが、「転校生ナノ」も例外ではありません。 このシリーズは、脚本家のイマジネーションやフェイクストーリーで作られているわけではなく、タイで実際に起こった実話をベースにしています。 実際の出来事よりは誇張されていると思われますが、実話から触発されているという事を忘れてはいけません。 つまり、これらの話しは誰もが体験する可能性があると言うことです。

 
また、このシリーズには、暴力、差別、憎悪、さらにはセックスといったものが含まれます。 各エピソードの複雑なストーリーは、視聴者がシッカリした気持ちで鑑賞しないと、かなりヘビーなものとなるでしょう。


もう1つ注目すべき点は、ナノを演じるChicha Amatayakulで、当初は新人女優であった彼女の演技は素晴らしいものがあります。彼女は無実の少女を演じることで周囲の注目を集めますが、突如として神秘的でサディスティックな姿に変わります。 そして、罪深き人々にサディスティックなレッスンをし、カルマを与えます。


「転校生ナノ」のシーズン2では、Nink Chanya McCloryが演じる新キャラクターのユリが登場します。 彼女は殺される際に、偶々ナノの血を飲み生き返り、ナノの血が体内に流れた為、不死身になります。 そして、ユリは生き返ると、ナノに従って同様にリベンジを開始しますが、ユリは元々人間であった為、人間に対するリベンジが激しく、ユリは残酷でサディスティックな上、何物も恐れなくなりました。

ユリはシーズン2に混乱とテンションをもたらし、彼女の加害者達へのアプローチは無茶になり、情け容赦なく罰を与え、サディスティックに殺してしまうことすらあります。 ナノは、自分のプランがユリによって邪魔されるので、ユリの存在に腹を立てており、エピソード6ではユリを縛り上げて閉じ込め、自分には勝てないと警告しました。


しかし、ユリの存在により、物語は拡張していきます。 ユリは人間の本性を体現し、ナノは人間を誘惑する悪魔を体現しています。 つまり、ナノは悪魔の娘であり、一方、ユリは人間なのです。 ユリは元々人間なので、人間へ直接的な復讐アクションを取ります。 ユリに人間の本性がある限り、どんどん自分勝手になっていきます。 第2シーズンの最終話でユリは、ナノに代わって復讐を続ける為、ナノを殺そうとします。


シーズン2の脚本プロットについて言えば、シーズン1より劣ると思います。 シーズン1のプロットは緻密な意外性がありましたが、シーズン2はスリラー要素が強くなり、よりサディスティックになっています。 しかし、エピソード数が8話と少なく、シーズン3が観たい、と視聴者に思わせます。  当初の私の予想では、シーズン2ではナノの正体や過去が語られるのでは、と思っていましたが、これらはお預けになりました。

 
このシリーズは、老若男女の視聴者に、モラルのメッセージを伝えており、より親近感を得る為に、是非インドネシア版の「転校生ナノ」が観てみたいと思います。 


スリラー好きな人ならば、「転校生ナノ」は見逃せない作品であり、興味深いストーリーと共に、「罪を犯す度に、必ずカルマを得る」というモラルに関するメッセージを発信しています。

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