【ワイルドグレイ(配信)】2022.03.28/04.04/11

※ネタバレを含みます

オスカーワイルドと彼の元彼ロス、そして今彼ボジー3人の関わりを「ドリアングレイの肖像」の物語と絡めながら描いた韓国の創作ミュージカル『ワイルドグレイ』
(と言いつつも私はまだまだ韓国語は勉強中なので、お話はなんとな〜く6割程度しか掴めていません…)

気になっていたキャストもたくさんで 作中の「サロメ」というワイルドの作品『サロメ』をモチーフ(?)にした曲がとても好きだったので 配信があると聞いて飛びついてきました。

以下キャスト敬称略。今回見れたペア順に並べます。


オスカー・ワイルド:
박민성정민에녹
アルフレッド・ダグラス:
정휘박준휘백동현
ロバート・ロス:
홍승안안지환배나라

ワイルドグレイは1ペアとりあえず見てみよう〜なテンションだったにも関わらず結局配信の全ペア観てしまいました。
というのもとにかく歌と演出が良い!
作曲は이범재さんで、スリルミーやルドウィグでお名前を見たことある方でした。個人的にミュージカルを見ていてどの作品でも「好き!」と思う曲が1曲はあったりするのですが、このワイルドグレイは「全曲好き!!」となってしまうくらい私の大好きなテイストで。スタジオ収録のOSTも代行して頂くことにしたくらい。
ピアノがすごく綺麗で もの寂しい雰囲気を醸しつつも優しい音楽が癖になります。

演出もそれはそれは綺麗で、くどくない程度の振り付けがあったり スポットライトとスモークがボジーの妖艶な雰囲気をうまく表していてとても印象的でした。中でも「サロメ」の曲中でボジーの肖像画の話がでてくるのですが、額縁が上から降りてきて、その額縁を前にワイルドとボジーが絡み合うのがなんともいえない。

舞台セットも舞台に木でできた横長の台みたいなのがひとつあるだけで、でもそれにたくさん引き出しやスペースがついていてそこに舞台の小道具がたくさん収納されている!すごい!

このワイルドグレイやメアリーシェリーもそうでしたが、韓ミュではお酒を飲むシーンなんかで実際にグラスに飲み物が入っていることが多いように思っていて。日本ではグラスは空なことが多い印象なのですが。劇中でこぼしたりすることはないのか、いつもハラハラしながら見てしまいます…笑

お話としてはなんとも理解できていない部分が多くて 私が韓国語得意ではないから物語を把握できていない部分が多いからなのかもしれませんが、
最後ワイルドが「이 세상에서 가장 커다란 악이었습니다.」と答えたのはどういう意味なんでしょう。ワイルドは悪…なのか?
なんともこの重要そうな部分がわからないのが悔しい…
世間から批判に晒され、悪とされたけれども、ワイルドはそれを笑い流すように自分から「悪」を引き受けボシーもロスも救ったということ…?

色々わからない部分しか無かったけど解釈をしてみると…

この作品ではボシーがドリアンと重ねられていて、ワイルドはヘンリー卿と重ねられてた(?)のかなと思うのですが、実際小説ではドリアンは改心しようとしたにも関わらず悲惨な終わりを迎えるけれども、ワイルドが本当に望んでいた結末は、ドリアン(つまりボシーも)が改心してそれが実際に報われることだった。
それを今回の物語に当てはめると、当初自分勝手すぎる態度でワイルドを困らせるばかりで、周りの人の気持ちなんてちっとも考えなかったボシーが 成長(改心?)して、最後はワイルドからの手紙を読んで彼のボシーへの愛を汲み取ることができた。
終盤の裁判では、ボシーは自身の立場を守るためワイルドとの関係を否定はしていたものの、2人は心の内では愛し合っていた。

これが今の段階での精一杯でした。

でもボシーは救われたのかもしれないけど、ロスはただただ悲しい役どころだったような気も。なんとも難しいお話でした。「オスカーワイルドの肖像」を自分で読んだことがないので余計にわからないのか、とにかくちゃんと自分で読んでみないとなぁと思ったりしています。
深いことを考えずに、ただオスカーワイルドをめぐる三角関係をぽけ〜と眺める分には全然楽しかったのですが。

・3月28日(박민성さん・정휘さん・홍승안さん)

初めてのワイルドグレイでお話を追うのに必死すぎた部分もあるのですが、ビジュアル好き〜!!となった組み合わせでした。もちろんビジュアルだけじゃなくて演技も歌も最高だったのですが、特にチョンフィさんのボシーがもう最高で。
チョンフィさんはメアリーシェリーで一度見ていて、端正なお顔立ちだなぁと思っていたのですが、ボシーの淡い色の衣装や少し長い明るめの髪の毛だったりが似合う似合う。ワイルドを誘惑するサロメでの目つきもたまりません。
また、チョンフィさんのボシーは他の3人よりも落ち着いてた大人っぽい印象だったとも思ったり。落ち着いてはいるけどすごくもろいガラスみたいなボシー。最後の楽曲「手紙」でも チョンフィさんのボシーはすごく穏やかなお顔で、悲しそうな顔をしながらも優しく微笑んでいて 3人の中でも特に大人びた、聡明そうなボシーでした。最後のワイルドの台詞のときも すごく落ち着いて笑みを浮かべていて。成長というか、チョンフィさんのボシーは自分の中のしがらみが解けた感じがすごくしたような。

そんなボシーを受け止めるのがミンソンさんのパパのような包容力のあるワイルド。歌もそれはそれはお上手なのでボシーとロスを引っ張っていく、カリスマのような印象でした。
そしてすごく演技がお上手でこちらもボシーのように儚いロスだったスンアンさん。ワイルドに対して涙を浮かべながら訴えかけてたり、ワイルドに対しては弱々しい感じで 好きすぎてもう何も言えない…という感じ。ボシーに対しては超強気なのがまた素敵でした。

・4月4日(정민さん・박준휘さん・안지환さん)

2回目!チョンミンさんのワイルドはすごく陽気でおちゃらけた感じでした。最後の台詞の言い方も ちょっとわざとらしい言い方で 色んなことを笑い飛ばせる強いワイルドだったなぁという印象です。でもそんなワイルドもジュニさんのボシーにはたじたじなのもまたチャンミンさんのワイルドらしいような。

そしてジュニさんのボシーは感情表現が大きくて動物に例えるとトイプードルの子犬という感じ。見た目はすごくかわいいのに、怒る時はすごくツンツン怒るし、最後の「手紙」では涙を堪えながら振り絞るような声でワイルドの関係を否定していて。ボシーもまたチョンミンさんのワイルドと同じように強いなぁと思いました。「汚い血」のときも悲しそうな目でワイルドを見つめるチョンフィボシーとは違って、ジュニさんはすごく真っ直ぐな目で見つめてたり。ジュニさんは歌声も力強くて突き通るので、芯は強いボシーという感じがしました。

・4月11日(에녹さん・백동현さん・배나라さん)

3回目。それはそれはもうエノクさんのワイルドが大好きになりました。立ち振る舞いから歌声・仕草まで全てがエレガントでお上品なエノクさん。ボシーやワイルドを見つめる眼差しもまるで聖母のよう。私には背中に羽が見えました。
そしてなによりも最後の曲「手紙」で「울지마 보시 나의 도리안」とボシーに手を差し伸べて歌う部分。笑うエノクワイルドの頬に一筋の涙が見えました…。「泣かないでボシー」と呟きながらワイルドは泣くのか…しかもわかるかわからないくらいの涙一粒。涙を流すタイミングももしかして計算のうちなのかなと思ってしまうほど全てが完璧で。ミンソンさんとチョンミンさんのワイルドは逞しさがありましたが、エノクさんのワイルドは逞しくもありますが、すごく繊細で色んなことを抱え込んでしまいそうなワイルドでした。

そしてそんな繊細なワイルドに恋に落ちるドンヒョンくんのボシー。ドンヒョンくんも子犬系ボシーと言いますか、感情表現がすごくストレート。「手紙」でも顔をくしゃくしゃにしながら泣いていたり、幼くもかわいいボシーでした。でも最後の裁判ではジュニさんみたいにうるうるはせず、ただただ前を見つめて淡々とワイルドとの関係を否定していて。ワイルドの愛を受け止めて 色んな気持ちを押し殺してのあの表情なのかと思うと、涙がとまらない…
ワイルドとボシーの2人で見つめ合って暗転するとき、微笑みかけるワイルドと真顔のボシー。でも暗転する一瞬ボシーが笑ったように見えたのですが(気のせいかな⁇)それが幻じゃなければいいなぁと祈る毎日です。

そしていまこうして自分の感想を見返してみるとなんせボシーとワイルドにかたまっていて ロスの立ち位置が自分のなかでいかに掴めていないのかを改めて実感…
ロスは「観客になりたかった人」だったと思うのですが それはワイルドと関係をもつのではなく、ワイルドの作品を愛していたということ…?ここの部分もまだ理解できていなくて、でも3人のロスの目からはワイルドへの愛がダダ漏れだった気がするからそういう解釈では無いのかなと思ったり
OSTが届いたら歌詞カードと睨めっこしながら頑張らないといけません。

なんとなく1ペア見るつもりだったつもりだったのに結局3ペア存分に楽しませてもらいました!ありがとうワイルドグレイ!

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