2. ファイザー社のワクチンの効果、時間が経つと低下?
有症状の新型コロナウイルス感染症に対して、95%の予防効果があるという話は広く知られています。
このデータは、約4万人の臨床試験で、対象者の半分を2カ月追跡した時点の結果で、正式な論文として公表されています。
Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine
その後、追跡期間を6カ月まで伸ばした結果が、正式な論文になる前のデータとして、2021年7月28日に発表されています。
Six Month Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA COVID-19 Vaccine
データのあらましは、以下の通りです。
・2回の接種から7日以降の、有症状の新型コロナウイルス感染症に対する有効率
・6カ月全体で 91.2%
・2カ月未満で 96.2%
・2カ月以上4カ月未満で 90.1%
・4カ月以上で 83.7%
どう思われますか?
数字だけ見ると、96.2%、90.1%、83.7%と、2回目の接種から時間が経つにつれて、有効率は低くなるようにも見えます。
一方で、つぎのような解釈も成り立ちます。
①6カ月全体で91.2%だから、十分高い
②4カ月以上の83.7%も、十分高い。実際的な有効性が下がっているとまで言えない。
③4カ月以上のワクチン接種群の感染者は24例と少なく、統計的な誤差が大きい。この数値だけを強調すべきではない。
④正式な論文になる前のデータなので、その分を差し引いて解釈する必要がある。
最近、日本の感染者が急増しています。この理由として圧倒的に大きいのは、感染性の高いデルタ株の影響でしょう。ファイザー社ワクチンの有効性の低下が、かりにあるとしても、それが今の日本の状況に影響しているとは考えにくいところです。
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