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9.18 「ウィシュマさん死亡事件の真相究明を求める学生・市民の会」によるレクチャー会報告

 2021年9月18日、「ウィシュマさん死亡事件の真相究明を求める学生・市民の会」によるレクチャー会を開催いたしました。8月17日に引き続き第二回目となるレクチャー会です。今回は『医療放置』をテーマに開催し、15名にご参加いただきました。
 今回の投稿ではその報告と、参加者の反応を共有させていただきます。

1、目的

名古屋入管死亡事件の真相究明と再発防止の徹底化を求めるとともに、入管施設内でなぜこのような事件が起き続けるのかを考える。

2、全体の概要


まずBOND学生・社会人メンバーからウィシュマさん死亡事件の概要と問題点、入管施設内の医療問題~死亡事件はなぜ繰り返すのかを説明しました。次に、「ウィシュマさん死亡事件の真相究明を求める学生・市民の会」の活動内容を紹介しました。そして最後に質疑応答やディスカッションの時間を設け、それぞれの意見を出し合いながら議論を深めました。

3、参加者の反応


 今回のレクチャー会には、様々な考えや背景を持った方々が参加していただきました。そのため、ディスカッションでは、多方面から盛んに意見が交換されました。また、事後アンケートでも多くのご意見が寄せられました。参加された方々の反応を見ると、レクチャー会を契機にして、さらに入管問題に対して考えを深めていただけたのではないかと感じています。
ディスカッションや事後アンケートでの論点として、以下が挙げられます。入管収容施設では、「人の命を守る」という最低限のことが守られていない、そして、それは国によって行われているのが紛れもない事実である中で、その国を構成する1人1人の国民、有権者としての私たちは、この問題をどう捉えたらいいのか?誰もが弱者になる可能性がある中で、マイノリティの人々が軽視されている側面を考えたときに、私たちの生きやすい社会とは一体なんだろうか?国家を構成する国民の1人として、また、社会の一員としてどうあるべきなのか?
総じて、参加者の方々の反応を見ると、現実に起こっている問題を「知る」だけではなく、これから問題を解決していくために、様々なことを考えられていることが強く伝わってきました。実際、入管問題について多くの人々に知ってもらうために、行動されている方も見受けられ、大変うれしく思います。

4、まとめと感想


 今回のレクチャーでは、私も説明やディスカッションでのファシリテーターを担当させていただきました。一部の参加者から「参加者が20人しかいないのが勿体ない。」「100人ぐらいいるかと思った。」などと声を頂けたとの報告を聞き、とても嬉しく思いました。また改めて別テーマでの開催も予定していますので、より多くの人たちにこの問題を知っていただき、表面上の知識だけでなく、これまでの事件やその背景、そして私たちにある責任など、レクチャー会での講義やディスカッションを重ねて深くご理解いただけたら幸いです。自分も参加者の皆様とこれからも考えを深めていけたらと思います。
 運営に携わる中で、私の中でもウィシュマさんの件に関しては思うところが山ほどありました。誰の目にもその身体の衰弱が明らかなウィシュマさんを、どうして内科ではなく精神科に連れて行ったのか、動けない彼女をなぜ真冬の冷たい床の上に放置できたのか、ウィシュマさんの助けを求める声が入管の耳には届かなかったのか、彼女を本当に同じ人間として見ていたのか。入管に問い詰めたいこと、怒り、疑問、山ほどあります。入管は、その報告書で非を認めずに何を改革するのでしょう。世論の力で入管体制を変えることができるのは、今しかないと思います。日本の政府によって出される犠牲者は彼女で最後にしなければなりません。入管が生む被害に関しては、この社会を生きる市民全員に等しく責任があります。私たちがこの問題を鵜呑みにし、声を挙げず法務省の改悪を見過ごしていくことは、罪のない難民の命を私たち一人一人が見殺しにしていくことと同義です。日本国民には選挙権があり、国を変える権利がありますが、それは正しい社会に変えていく義務なのだと私は感じています。私も来年から選挙権を得て有権者になります。私たちの生きる将来の日本が、外国人の命の価値を決める下劣な社会であり続けるのは見過ごせません。今からでも世論形成のために積極的にアクションを起こし、国際社会に恥じない日本を市民の手で築いていきたいです。