タイ・スカトー寺瞑想合宿②プラユキ師の法話-1

 前回のブログの続きです。

 プラユキ師のことは、2018年10月にNHK・Eテレで放送された『こころの時代~宗教・人生~「”今ここ”に気づく」』を見て知りました。それ以来手動瞑想をするようになり、2019年2月に実施されたプラユキ師主催の『向春の1日リトリート』に参加した際にスカトー寺瞑想合宿のことを知り、参加させて頂くことにしました。

 以下、スカトー寺瞑想合宿でのプラユキ師の法話の内容をまとめてみました。

 大変お忙しい中、ブログの内容をチェックして頂いたプラユキ師に心より感謝申し上げます。


 ブッダの語られた【智慧】とは、「世界や心はいかにあるか?」即ち「あるがままの真実を理解すること」であり、悟り/涅槃(苦の終滅)を目指します。また、【慈悲】とは「私たちはいかに生きるべきか?」即ち「人としてこの世を善く生きること」であり、自他の抜苦与楽を目指します。

 実相法(真理)とは、一切のものの姿(パターン=相)と一切のものの自然の成り行き(プロセス=働き) を明らかにするものであり、自然界全体を貫く構造や法則(システム=ダルマ)を知ることです。

 実践法(倫理)とは、知り得た実相を実際の生活や人生に役立たせることであり、自他の抜苦与楽がその指標となります。


 ブッダの教えられた「三つの善なる行為」には、

①「布施」…自身の持っているものを他に与える、

②「持戒」…身(行動)と口(言葉)をととのえる、

③「瞑想」…意(心)をととのえる、

 があります(三福業事=「施・戒・修」)。


 ①布施には、

 1、金品を与える(財施)

 2、知識や技術、智慧を与える(法施)

 3、安心や思いやりを与える(無畏施)

 があります。金品や知識などを与えるだけでなく、恐れを与えずに許しを与えることも布施になります。得たものを分け合い(シェア)、共に喜び合うことも布施です。

 布施により、

 →不貪(手放すこと)の基礎練習

 →自由・幸福感の転換(得から徳、自分から他者へ)

 →与えること、分かち合いによる幸せを知る

 ことが出来ます。


 ②「持戒」には、

 1、生き物をむやみに殺さない

 2、他人のお金やモノを盗まない

 3、よこしまな男女の交わりを結ばない

 4、嘘をつかない

 5、自分を失うようなお酒を飲まない

 の五戒があります。

 持戒により、

 →周囲との葛藤や後悔の少ない健康的な生活習慣

 →安定した心の基盤づくり(三学=戒定慧)

 が得られます。

 戒を守ることで、身体行動と言語行動のコントロールが可能となり、心の奴隷にならずに済みます。戒を守っても直ぐには結果は出ないこともあります。また、戒への執着が生じれば、それもまた苦しみとなります。それから、世界が味気なく見えてしまうこともあります。戒にとらわれ過ぎないことが大切です。


 ③「瞑想」は、止観ともいい、

 「止」=サマタ : 心をひとつの対象に繰り返し向けて安定させ、<集中力>を養う。

 「観」=ヴィパッサナー : 心身に起こっていることに繰り返し気づき、覚醒力(サティ)を養い、 ありのままに見つめることを繰り返しながら、洞察力 (パンヤー)を培う。

 の2つに分けられます。

 手動瞑想(チャルーン・サティ)はヴィパッサナー瞑想の一つですが、サマタ瞑想の要素もあります。ヴィパッサナー瞑想では、マインドフルネス、即ち瞬間瞬間立ち現れてくる体験に対して、今の瞬間に、判断せずに、意図的に注意を払うことによって実現される気づき、を重視します。

 瞑想により、

 1、ストレス状態から、リラックス状態へ、

 2、散乱状態「雑念」から、集中状態「無」へ、

 3、今ここに心あらず・とらわれの状態から、目覚め・気づきの状態へ

 と至ることが出来ます。

 私たちは快・不快に基づく、レスポンデント条件付け・オペランド条件付けにより、無意識に心の癖を持っています。

※レスポンデント条件付け…刺激と刺激を時間的に接近させて呈示することによって、その関係を学習させる条件づけの方法

※オペランド条件付け…報酬や嫌悪刺激(罰)に適応して、自発的にある行動を行うように、学習すること

 瞑想により、心の癖を看破し、安定した心の土壌を持って物事を見極めることが出来るようになるのです。


 仏道修行者の修めるべき三つの要目には、戒定慧の三学があります。

 ①戒学とは、身体的行為と言語行為を調え、悪を止め、善を修すること。

 ②定学とは、心の散乱を防ぎ、安定させていくこと。

 ③慧学とは、すべての事柄の真実の姿を見極めること。

 を言います。

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 三学のそれぞれの関係は、

 ①戒をまもり生活を正すことによって、心の安定を助け、

 ②安定した心を基盤として、智慧を発しやすくさせ、

 ③真実を正しく見極めることにより、真理をさとる(如実智見→滅苦)

 となります。

 三学には、二つのベクトル(菩薩の二大徳目) があり、

 ①上に向かって悟りを求める智慧を「上求菩提」

 ②下に向かって衆生の教化をなす慈悲を「下化衆生」

 と言います。

 三学は「真善美」という価値と対応しており、真=慧、善=定、美=戒という対応関係があります。

 戒を守り、定を修し、智慧の獲得に至るのが智慧の道であり、智慧に基づき、善なるハート、美しい言動や表現で、一切衆生の抜苦与楽を具現化するのが慈悲の道です。

③に続く


タイ・スカトー寺瞑想合宿ブログへのリンクです

タイ・スカトー寺瞑想合宿①お寺の環境・生活
https://note.com/nanmin/n/n3bd279820f3b

タイ・スカトー寺瞑想合宿②プラユキ師の法話-1
https://note.com/nanmin/n/n205186b50d9f

タイ・スカトー寺瞑想合宿③プラユキ師の法話-2
https://note.com/nanmin/n/nf3c4810c5ef4

タイ・スカトー寺瞑想合宿④プラユキ師の法話-3
https://note.com/nanmin/n/n0bd5633ec813

タイ・スカトー寺瞑想合宿⑤プラユキ師の法話-4
https://note.com/nanmin/n/n4458861d08bb

タイ・スカトー寺瞑想合宿⑥プラユキ師の個人面談
https://note.com/nanmin/n/n65f4d5de3c92