見出し画像

日置流印西派射術について

1.はじめに

 この投稿を読んでいただき、ありがとうございます。
 大学時代に学び始めた日置流印西派射術について簡単に紹介させていただきます。
 日置流印西派は日置弾正正次から発する日置流弓術の一派で、吉田一水軒印西(吉田源八郎重氏)先生を流祖とします。他にも出雲派、雪荷派、道雪派、竹林派(尾州・紀州)、左近衛門派、壽徳派、大蔵派、大心派、山科派がありますが、明治維新を経てもなお印西派は『日置流弓目録六十箇條』を教えの中心として正確な形で伝わっています。
 とくに、稲垣源四郎先生(明治44年〜平成7年)のご指導により、早稲田大学、東京教育大学・筑波大学体育学群弓道研究室において、力学的・生理学的に正しいことが証明されています。

2.日置流印西派射術の一連の流れ

わたしが手描きしたものでご容赦下さい。
ハリガネくんによる日置流印西派射術の一連の流れです。

(1)足踏み

執弓・直立の姿勢から左足・右足の順で踏み開く。
一間中墨の準(方向)・矢束の準(広さ)・扇子の準(両足の角度)が基本。

(2)矢番え

矢を弦にセットする。

(3)胴造り

弓の元弭を左膝頭に乗せ、弓手は身体正面から的方向へ45°に伸ばす。
馬手は臍の辺りに添える(脇差の柄を馬手で押し下げ、脇差の柄が弓を引く時の妨げにならぬようにする理由から)。
背筋を伸ばし、袴の腰板が背中に付くように(袴腰の準)。

(4)取懸け

馬手の親指・人差指・中指を弦に絡める。

(5)手の内

弓を紅葉重ねの手の内で握る。弓手手の内の皮が弓の握りに絡みつき、シワすべてが手のひらの内部に収まるように握る。形は残心まで不変である事が重要。

(6)弓構え

数センチほど弓手を的方向に押し開き、手の内の感触(完成度あい)を確かめる。

(7)打起し

手の内、馬手、弓の元弭で作った三角形を維持したまま両手・弓を上方に上げる。
矢は水平または矢先がわずかに下がる(「水流れ」という)。

(8)三分の二

弓手を主として引き分け、馬手を右耳あたり、眉毛の高さで引くのを止め(力の上では持続す)る。自己の体力・的の遠近・高低を確認する。

(9)詰合・伸合・彀

詰合いの要素(頬付・狙い・矢束・胸弦)を具備した上で手の内で弓を捻り(角見の働き)馬手を回内しながら馬手肱と弓手手の内で左右に伸び合う。

(10)離れ・残心

角見の働きを最大に、右手の回内をさらに加えながら左右に体を割り込みながら鋭く離れる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?