ひこうきぐもは高く飛べるのか?

 すさまじい人を紹介します。
 東方創想話において100作以上の作品を投稿された作者は12人いますが、そのうちの1人がこの方。
 人呼んで『疾風のヘンプ』。包丁二丁持った犬である。

 創想話への初投稿が2018年11月19日であり、最新作が2020年08月13日公開であるため、633日間で107作品を作って投稿したことになります。
 つまりおおよそ6日に1作品投稿している計算で、週刊連載以上の頻度ということになります。
 どうかしています。
 疾風と呼ばれる所以がわかろうというものですが、何もこの方の強みは速度だけではありません。



此処にひこうきぐもは無い

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/227/1581256880

 山に吹きすさぶ風に身を晒しながら、早苗は空を見上げます。
 何かがおかしい、何かが足りない。と。
 董子との会話をきっかけに気付いた違和感の正体は、早苗が取り返しのつかない選択をしたことを示すものでした。

"大声で笑っていた。周りの目だとかどうでも良い……私の浅はかさ、幻想という馬鹿らしさを笑っていた。"

 寂寥感。
 それはもう寂寥感。
 そしてそこから前向きに進もうとする力強さ。
 二度と外の世界には戻れないけど後悔はねぇぜ、とでもいいたげな早苗さんに胸を打たれました。
 ここは幻想郷。ヘリも飛行機もミサイルも空を横切ることはありません。
 外の世界ではありふれた、それこそ普通は見向きもしないような飛行機雲もここでは見ることができません。
 そう、二度と見ることができないのです。
 ただただエモいですね。



たとえ高く飛べたとしても

http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/227/1577444898

"『さとりさま、さとりさま! わたしね! ゆめがあるの!』"

 お空のかわいらしいセリフから始まる本作、直後に訪れる地底の危機。
 日増しにせりあがってくる赤いマグマが地底に迫りますが、過去に起きた悪夢を繰り返させはしないと奮起するお空が解決に乗り出します。

"人間なんでどうでもいい。妖怪なんてどうでもいい。神様だってどうでもいい。幻想郷だってどうでもいい……
ただ、私の、好きを守りたいだけなんだ!"

 熱いセリフを吐きながらすっ飛んでいくお空は、満身創痍になりながらも見事地底を救ってみせます。
 そして退院したお空の頭の上には、雲一つない晴天が広がっているのでした。
 でもやっぱり最後は怒られる。愛ゆえに。

 可愛い回想と危機的な現在のギャップに心底ハラハラさせられます。
 守りたいものを守るために体を張り、バキバキと音を鳴らしながら人間形態に変身する姿はまさに天使。
 愛する者のために戦う、これぞ王道といった物語です。
 でも一番の見どころはカラス状態のお空がこいしちゃんにわしづかみされるところ。



最後に

 上記の作品は私の選ぶヘンプさんの熱い話2トップです。
 これを読めば他の作品も読みたくなること必至でしょう。
 質と量を兼ね揃えた疾風、それがこの方なのです。

 ちなみに紹介したものの他に105作あります。
 全部ここで読めますので、片っ端から読んでいくと夜が明けますのでオススメです。
http://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/author/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%97

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