【ナニWAA!第3回セッション in 神戸】レポート

◆開催日時
2020年3月24日(火)18:30~20:30
◆テーマ
枠じゃなくてワクワク -自分らしい人生のデザインの仕方
◆登壇者
・長井 伸晃氏(神戸市企画調整局 つなぐ課 特命係長)
・河野 万里子氏(株式会社色彩舎 代表取締役、カラービジネスコンサルタント)
◆モデレーター
島田 由香氏(Team WAA!主催者。ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長)

1 Team WAA!とは

【島田氏】
2016年7月からスタートしたWAAの働き方に共感した個人がどんどんつながってできたコミュニティが「Team WAA!」です。
関西でも「より生き生き、よりワクワクと働いて生きていきたい」という希望からナニWAA!が発足しました。

Team WAA!は、ハッピーをとても大切にしています。
経営者(リーダー)はハッピーであること、幸せであること、良い状態であることを考えない場合、良い結果が得られません。
「人間は良い状態でいられることが一番の成長、発展につながっていく」ということが、脳科学や心理学など様々な場所で実証されています。
「ハッピー」を科学的にデータでとらえていったり、脳科学の観点から分析をしたり、みんなでディスカッションしたり、それを日々の働き方や生活にどのように取り込んでいけばよいのかについて、毎月いろいろなセッションやディスカッションを開催しているのがTeam WAA!です。2017年1月からスタートしました。

私は、「Are you happy?」と訊いたら「Yes!!」とすべての人が言える社会を作りたいと思って、毎秒毎秒、思いを込めて自分のやること、自分の言うことを選択しています。
そこには皆さん自身が自分のパッションをもって行動する、大いなる目的(パーパス)=「なぜ、あなたは生まれてきたのか?」「なぜ、あなたは今この仕事をしているのか?」
深いところにある自分の良い意味での衝動や何となく気になることを大事にしていただきたいと思います。

◆タンポポ
タンポポは花屋で売られないような、そこら辺にある花です。
それには理由があります。誰かに見られようとして咲いているのではなく、タンポポはタンポポで自分がやることをやって綿毛をフゥーッと飛ばして、たくさんの花を咲かせます。
私自身がタンポポを見たときに「見られようとしていない」ということに気づいて、その瞬間から「本来、私たちもそれでいいんだよね。しかしながら、人の目を気にしたり、人の声を気にしたり、社会的な立場を気にして、言いたいことややりたいことが、言えなかったりやれなかったりしている。それはどういう意味があるのだろう」と考えています。
タンポポの様に自分の場所で花を咲かせながら、また次の種を自分で培ってそれをフゥーッと飛ばしていきたいと思います。

◆タンポポ作戦
良いこと、幸せなこと、より良く在れること(より良く生きる)のヒントがどんどん広がっていってほしいと思っています。
今日も参加者の皆さんにとって幸せの種を持って帰っていただけるような時間になればと思います。
今日のゲストの二人は、それぞれの特性、強み、興味の対象を活かしながら、「日本を変える」ということにつながることをされています。

「日本を変える」というと、大きなことのように聞こえますが、何か自分の興味のあることを追求していくことから一歩がスタートしています。
「『枠(わく)』ではなく、『ワクワク』を追求していったら自分の人生がこんな風に変わった。」というだけでなく、自分の周りの人生も変えていっているのではないでしょうか。
この辺りも今日伺っていきたいです。

◆人生は4本の「き」を見つける旅
1本目の「き」は「元気」です。元気でなければ何もできません。免疫力を高めることが大切です。

2本目の「き」は「刺激」です。どの瞬間も刺激を受けています。
3本目の「き」は「気づき」です。2本目から3本目の「き」の間に大きな川が流れています。すべての「刺激」を「気づき」に変えることが重要です。
4本目の「き」は「本気」です。あなたの本気は何でしょうか?

1~3本目の「き」は、人からもらうことができます。
4本目の「き」だけは誰もくれません。また、誰にもあげられません。自分で見つけるものです。

◆2020年のカギ
2020年は節目の大切なときです。

自分のことを知る年、自分の源泉を見つける年にしてください。
不平不満に意識を向けるのではなく、「どんなことが今の自分に喜びを与えるのか」、「何があると自分はハッピーなのか?」という視点で自分のことを知っていっていただきたいと思います。

◆内側と外側の一致
本日の内容にもある「内側と外側の一致」とは、自分の中に出てきた思いや感情や考えと、それを外に出す言動が一致しているということです。
自分の心の声をよく聴いてあげてほしい。
その中に生まれてきている思いや感情、考え、パッションを外に表現していってほしい。その表現の最大のものが強みだと思っています。皆さんが自分の強みに気が付いて、その強みを発揮していくということを心から応援したいと思っています。

本日は、登壇のお二人が自分の人生をどのようにデザインしてきたのかを伺っていきたいと思います。


2 長井 伸晃氏(神戸市企画調整局 つなぐ課 特命係長)のストーリー

【長井氏】
◆今の職務に就くまで
大学卒業後から神戸市役所で勤務しており、初めは生活保護のケースワーカーの担務に就いました。町に出歩いてお年寄りの家への訪問や、就労支援など、福祉の世界を2年間経験しました。その後6年間、組織の人事評価制度や給与制度を担当し、細かい給料表を作ったり、都市の制度を研究して毎年秋ぐらいに組合交渉などを行っていました。ここで組織の中の人事を学び、交渉術なども身につきました。

係長に上がってICTや企業連携を行う部署に配置転換されたことがターニングポイントとなりました。ちょうど、市長がITを推進していくタイミングと重なりました。
もともとITに対して苦手意識がありましたが、いつの間にかその世界にのめり込んで仲間が増えていきました。

◆078(ゼロナナハチ)
神戸は今、若者に選ばれる町を目指していますが、ソフト面(IT、音楽、映画など)がなかなか交わりませんでした。

市民から「それぞれをもっとごちゃ混ぜにして、若者がチャレンジしやすい街にすべきだ!」と提案があり、神戸市がそれをサポートしています。
毎年ゴールデンウィークに開催し、今では7~8万人を動員するイベントとなっており、私はITの部門を担当しています。
※ ゼロナナハチは神戸の市外局番

◆Facebookとの連携
この3~4年間の活動の基盤となっているのがSNS(Facebook)で、その効果を実感している中でもっと行政も取り入れていくべきだと考えていた時にご縁があり、フェイスブックジャパンと事業連携協定を結ぶことになりました。

SNSを活用して情報の発信をお手伝いいただいたり、中小企業のセミナーや市の中のガイドラインも共に作りました。
それまで神戸市にはFacebookの公式アカウントが87個ありました。皆が良かれと思って作っていましたが、どれを見ればよいかわからない状態になっていました。それを整理しようとFacebookと一緒に現在取り組んでいるところです。
また、商店街向けセミナーなども行っており、これらの取組みを東北の湯沢市に紹介したところ、東北6都市に横展開されることとなりました。

◆つなぐ課
教員なども含めると神戸市は2万人ほどの組織であり、全体最適の動きができていないことを実感していたので、それを打破するために「つなぐ課」が存在しています。

つなぐ課には平常業務が全くなく、2週間に1度のランチ―ミーティングの中で社会課題に対する仕事が決まっていきます。
現在、シェアリングエコノミーや引きこもり支援、街の賑わい作りなど幅広く取り組んでいます。

◆傘のシェアリングサービス「アイカサ」
地元の企業である阪神電鉄を巻き込んで各駅に設置しています。傘には神戸タータン(神戸オリジナルのタータンチェック)をデザインしました。町の中にこのスポットがあればどこで借りてどこで返しても良いのでとても便利なサービスです。また、雨の日の人の移動データも取ることができるので、雨の日の街づくりにも活かすことができます。

◆TABETE
「TABETE」というアプリを使ってフードロスを解決しようという取組みです。

神戸市、シェアの企業、地元企業の3者の取組みを大切にしています。
フードロスは日常的に発生しているが、特に雨の日は売り上げが落ちるので、天気予報を外してしまうと大変です。
そんなときにこのアプリに登録すれば、「安く買いたい」と思う人がそれを見つけて購入しに行くことができます。スーパーでの安売りをアプリ内で実施しているイメージです。
そうすることでもともと捨てるはずだったものが売り上げにつながっています。また、プラットフォーム上にお店の情報を載せることで新規顧客の獲得につながったり、お店のイメージアップにもつながります。
神戸は、仕事帰りや部活動帰りの夕方にパンを購入して帰る方が多い特徴があるので、このサービスとパンがうまくマッチしています。

◆NPO法人Unknown Kobe
神戸は「オシャレな街」というイメージが先行していますが、多様で面白い街でもあるので、それが伝わっていないことがもったいないと思っていました。自分で発信したり、楽しくできる仲間を巻き込んでできればいいなと思って、一週間で約10名(神戸市職員と民間のメンバーが半々)のいろんな強みを持った人たちが仲間となりました。 

六甲山の麓にある茶屋にインド人のコミュニティがあります。北野に貿易会社を受け継いだインド人の2世、3世の人たちが固まって住まれていて、その人たちが神戸に山登りの文化を創りました。それが今でもずっと継承されていて、茶屋に行けばインド人に会うことができます。
このような知られざる神戸を動画で発信しています。

◆よんなな会
総務省の脇さんが「全国で330万人いる公務員のモチベーションを1パーセントでも上げたい」というコンセプトから立ち上げられたコミュニティです。
昨年1月に関西初開催で500名が参加し、9月にも同数の参加者が集まり、非常に盛り上がりました。
今年3月8日にも開催を予定していましたが、新型コロナの影響でオンライン開催となりました。
300名が参加しましたが、公務員の中にはオンラインに対する抵抗が大きい人が多く存在していました。「オンラインになるなら、参加をやめる。」といった連絡が多かったので、事前にランチ会や夜の交流会を企画したところ、徐々に興味を持ち始める人が増えてきました。
会話に入るのが苦手な人もチャットで気軽に入れる、耳(聴く)だけ参加など、いろいろな参加方法があるという気付きがありました。

◆「ワクワク」が限界を超える原動力
「経験」が大事です。「難しいな」と思っても、なんとか工夫してそれを達成するためにはどうすればよいかを考えれば何とかできます。小さな事でもチャレンジして成功体験を作る事で、一歩踏み出すきっかけになります。
「何をやるか」よりも「誰とやるか」が大切だと思っています。「何をやるか」は後からこじつけています。(笑)

◆Q&A
島田氏:
何故今のような自分になったと思いますか?
長井氏:神戸のために日本のために困難な過程を乗り越えて新しい価値を生み出したり、みんなの笑顔につながることがすごく面白いという実体験を何度か繰り返すことで癖になっていきました。
島田氏:自治体で毎日起こることは、人間の生活そのものだと思います。
長井氏:市役所は町の総合商社です。一生懸命にやっているといつの間にか仕事が中心になっています。


3 河野 万里子氏(株式会社色彩舎 代表取締役、カラービジネスコンサルタント)のストーリー

【河野氏】
カラーの仕事との出会いは30歳の時で、カラーの仕事は38歳から始めました。
まずは、学生時代や20代の時にどのように過ごしてきたのかを話していきたいと思います。

以前は女性が働くのが当たり前ではありませんでした。「結婚をするか、仕事をするか」、仕事をする人は「結婚を諦めるか、子どもを諦めるか」を選択する時代でした。
今でも、「せっかく就職活動を一生懸命頑張って就職できたのに、結婚を約束している彼が転勤になったので、この二つの選択ですごく気持ちが揺れてどちらかを諦める」という話を若い女性から聞きます。

私の場合、25歳で結婚しましたが、当時から「一生仕事がしたい」と思っていました。しかし、当時は「結婚するか仕事をするか」の二択だったので、周りの友人に自分の思いを共有することができませんでした。
また、結婚相手が転勤族でしたので、「1社で定年まで勤めるのは無理だ。」と思い、25歳で自分のキャリアを考える環境にありました。どういう仕事をすればよいかわからない20代でした。
「転勤してもできる仕事をするためには、手に職や資格が必要かな・・・」と模索していました。

◆カラーとの出会い
30歳の時、主人のドイツへの転勤を機にドイツの美しい街並みを見てその美的センスに魅了されました。帰国後、日本の街並みを見たときに日本の町並みがバラバラだったことに違和感がありました。その理由を考えていると、日本は町並み教育がされていなかったことに気づきました。
当時、ドイツではガーデニングが流行りだしました。
ドイツ人は、外を歩く人がマンションを見たときに「奇麗だね」と感じるように意識しています。「人のために」といった外からの視点に衝撃を受けました。
その時に「カラーの教育をしたい」、「パーソナルカラーで仕事をしていきたい」と決心しました。

31歳で帰国し、出産と子育てを経験しました。
カラーの資格にはお金がかかるため、この期間を準備期間と考えました。
私の場合、自分の居場所やしたいことがわかって子どもを産んだので「何かをしたいのに子どもができた」というネガティブな気持ちはありませんでした。
しかし、周りからは、そうではない女性の悩みを聞くことが多いです。

◆資格を取得してから
38歳の時、子どもが幼稚園に通いだし、「今のうちに!」と思って1年で資格を取得し、そこから10年間は休みがないくらい突っ走ってきました。

当時は自分の幸せのことしか考えていませんでしたが、徐々に「カラーの資格を持っている人が、時間をかけてカラーの仕事をしているにもかかわらず仕事になっていない」という課題を聞く立場になっていきました。
私自身もカラーの資格を取得してから一年間はすごく不安な気持ちがあったので、その気持ちもわかるし、この課題は個人の努力だけでは解決できないことです。組織か先輩で仕事のチャンスをもらっている人が同業者に伝えていくことをしなければ、資格が有効に活かされないし、資格を使う場がないとスキルも上がらないのでレベルの低いカラーリストが広がると、カラーリストの評判も悪くなっていきます。
一生懸命取得した資格が軽視されることが悔しくて「何とかしたい」と思い、「カラータイプマップ」を開発しました。

◆カラータイプマップ
持ち運ぶことができて簡単にコンサルティングできるツールを作ることで、カラータイプがみんなに伝わると思って開発しました。
現在、開発してから10年経ちますが、カラータイプインストラクター協会のインストラクターはこのツールを使用してコンサルティングを実施しています。

例えば、オレンジ色が好きな人は仲間意識やチャレンジ精神が強いですが、オレンジ色が嫌いな人は「一人で居たい人」です。オレンジ色が好きな人と嫌いな人とを比較することで互いの価値観の違いを理解することができます。


4 パネルディスカッション

島田氏:二人の共通点は、どちらも今があるのは「ワクワクを感じて好きなことに取り組んだ結果」であり、一番の原動力は「好きなことをやる」以外にないのではないかと思います。幼少期からそういう行動をとっていたのでしょうか?それとも後天的に身についたものなのでしょうか?

長井氏:この数年で物の見え方も含めて人生が変わりました。今までは敷かれたレールを進んでいました。経験を通じて、せっかくの人生なので自分の好きなようにワクワクを信じ、先はどこへ進んでいるのかをあまり見据えずに今を楽しんでいます。

河野氏:心の中は子供の頃からずっと野心(想い)を持っていました。

島田氏:誰にでも「持って生まれてきたもの」がありますが、本人が気づいていないことが多いです。いろいろな経験・体験によって何かの刺激を受けてものの見方や世界の見方が変わるきっかけは誰にでも起こり得ます。
二人から「今を楽しんでいる」「今が満たされている」という共通点を感じました。

長井氏:私は、「この先自分がどうなっていくのだろう」「どこを目指せばいいのか」など、先を見据えていません。つなぐ課以外の部署に異動した場合、自分はどう感じられるのか想像がつきません。どのような行動になるのか、カラーで参考になるものはないでしょうか?

河野氏:人には得意な役割があります。例えば「リーダーシップが得意」とか、「アイデアがすごく出る」とか、人の気持ちに寄り添うとか、書類作成とか。一人ずつがわかっていれば、他の人のことをうらやましがらずに自分が得意な部分の役割を果たすことができます。
カラーを使うことで組織内でも柔らかく楽しくコミュニケーションを取ることができます。自分の色を知り、各々色の好みに違いがあることを理解することで、各々の得手不得手を分かち合うことにつながります。

島田氏:色に欠点はなく、人間も同じでありのままの自分を自分でも認めることができれば相手のことも認められるのではないかと感じます。「自分の色を知る」というのはとても良い表現だと思います。

河野氏:公務員は堅いイメージですが、長井さんのようなスーパー公務員はどれくらいの割合で存在するのでしょうか?

長井氏:志を持ち、熱い思いを持っている人はたくさんいます。
「スーパー公務員」はアワードで偶然見つけてもらっただけで、スケールの大きなことから小さなことまでその人の活動が市民の喜びや少しでも社会に影響を与えているのであれば、みなさん「スーパー」だと思います。

島田氏:「刺激」を「気づき」に変えられるかどうかが重要だと思います。好きなこと夢中になること、ドキッとした感覚を大事にしてほしいです。

長井氏:そこで一歩踏み出せるかどうかで、その人が「スーパー」になれるかなれないかが変わります。内に秘めたものを持っていながら、もがいている人もいます。

島田氏:動かないのも大事で、タイミングが大事だと思います。「してみたい!」と思った時がチャンスです。本当にやりたいと思った時には一歩を踏み出すことができます。
「好き」か「嫌い」か、「やる」か「やらない」かを基準に自分で決めることが大事です。決めることでモチベーションが上がります。決めるとエピソード記憶(海馬)に入り、アドレナリンが発生します。次に、達成感や高揚感が感情記憶(扁桃体)に入り、セロトニンやオキシトシンが出ます。このサイクルができると、「またやろう!」と思えるようになります。

常に出会っている「自分にとって必要な経験を楽しむ」ことが「自分の人生をデザインする」ということだと思います。

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