つれつれ

かつかつと、チョークのすり減る音が気怠い教室の空気を揺らす。
昼食後の授業が古典だなんて、時間割を考えた先生はうちのクラスの平均点を下げたかったに違いない。そんな勝手な推測を立てながら、広げた教科書の内側でわたしは静かにあくびを噛み殺した。

物腰の柔らかさが声ににじみ出ている初老の先生の解説は、さながら効果抜群の睡眠導入剤だ。
事実周囲を見回せば、教科書を持ってうつらうつらと船を漕ぐ子やわたしと同じようにあくび由来の涙目になっている子、潔く机に突っ伏している子なんかも少なくない。
「まだ」と言われることはあっても「もう」と言われることはない、疲れも出始める週の半ばの水曜日。午後一番の授業では、こうなるのも仕方がないだろう。