少しでも

私とかいう人間は、自分では不器用なりに努力でまあ人並みかそれ以上にそつなくこなしてきた。

と、恥ずかしながらここ数年前まで思っていたのだが、どうも違うらしいというのがアラサーになって分かってきた。とんだ勘違い野郎だ。

今日のレッスンもそうだ。発声を意識したら音程を忘れ、音程を意識したら気持ちを忘れ、気持ちを意識したら発声を忘れてしまう。

ボイトレは繰り返しだと先生は言うが

失敗に気付けたら次は直せるというが

あっちを叩けばこっちが出る状態がこうも続くと実にもどかしい。澄ました顔をしているが奥歯をグッと噛み締めてしまう程度には悔しく自分が情けない。知識ばかり入れて表現が出来ない。

螺旋階段なのに上にも下にも行けずに、ずっと同じ場所を回っているような。それはハムスターの回し車なわけで。とにかくもどかしい。


しかしここで放棄したら、それこそ何もならないのだ。少しはマシな何かになるべく、せめて好きな曲は好きに歌えるように努力したい。