初雪はいつだろうね

初雪。今年初めての雪に街全体が浮かれていて、寒いのに心は踊るような心地がしている。
ふと見上げると、闇に純白が綺麗だった。都会の夜を飾る電飾と相まって、あまりにも幻想的な光景。
信じがたいような目の前の景色に、喧騒も更に騒がしい。寒さによる緊張は遠く忘れ去られて、人々は舞い上がっているように見える。
僕は行き場のない両の手を、ポケットに入れた。
指先の冷たさが、先ほどより強く意識されるようだった。
その冷たさが心にも伝染して、浮かれているような雰囲気ごと恨めしく思う。

寒い。寒さは痛さと似ている。痛い。鈍い痛み。
クリスマスソングが陽気に流れている。幼少期の記憶から、たった一年前のクリスマスの記憶まで、鮮明に思い出せるこの曲。

寒いね、と笑える君は、もう隣にいないのに。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?