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繕う。ダーニングやってみた。

先日、大正時代の女中たちについての勉強の一環として【こぎん刺し】をやってみて、とても面白かった たかつ です。

刺繍の始まりは、布の補強だという。
なるほど。刺繍=美しく飾るものという図式しか頭になかった自分の「刺繍との距離」を感じた。
もっと身近にしたいな、と思い、今回は【ダーニング】という繕いに挑戦してみた。

【ダーニング】とは、衣服の穴や布が薄くなった箇所を、針と糸で修繕する 方法。ヨーロッパ発祥の、伝統的なお繕い方法。

日本にも似た方法で【かけはぎ】【かけつぎ】という穴を塞ぐ修繕方法があるが、かなりの高等技術になるため初心者にはとても真似できるものではない。だが、ダーニングはもう少し庶民的と言うか、繕いを楽しめる要素が強いように感じた。
とにかく私には、今すぐ繕いたいものがあったのだ。

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写真の通り、私が長年愛用している湯たんぽのカバーがピンチなのである。幾つも穴が開き、生地も薄くなっているところがある。
どうしようかなあ、直すのめんどくさいなあ、と思って早二年程が経つ。替えのカバーを買おうと調べたら予想外に高く、そのままになっていたのだ。

最近仕事に追われていた私は、二つ三つの納期を終えて、一息入れたくてこの湯たんぽカバーの穴を繕おうと刺繍糸を出した。

そしてYouTubeなどでやり方を幾つか調べ、ふむふむ、ふむふむとインプットする。
ダーニングには大きく分けて二つのポイントがあるようだ。
1、糸の色選び。目立たないように修繕するか、わざと目立たせチャームポイントにするか。
2、穴を塞ぐか、薄くなった布を補強するか。

1の糸の色選び。これは補修するものと同じ色味のものを選ぶか、わざと反対色を持ってきたり数色使ってカラフルにしたりするかどうかである。
今回は、中途半端に残っている刺繍糸たちを使ってカラフルに仕上げることにする。なぜなら湯たんぽカバーという極プライベートなものの修繕である。基本的には家族にしか見られないのだから、好き勝手にやってしまおうと考えたからだ。

2については、どちらもやる。湯たんぽカバーには穴が二か所、記事が薄くなっているところが三か所あった。寒くなると毎日活躍してくれる湯たんぽ。もう満身創痍である。中身は一度買い替えたので、カバーだけだともうそろそろ10年経つ頃ちゃうかな?

ちくちくと見様見真似でやってみたダーニング。仕上がりはこちら。

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え、かわいい。
あったか湯たんぽが更にフコフコになった気がする。そして確かに丈夫になってる!生地が薄くなっていたのは、やはり角っこなど、負担がかかりやすい箇所だった。刺繍糸で縦横を渡して縫うことで、布自体が分厚くなり、しっかりとする。原理を頭で理解することは簡単だけれど、こうやって自分でひとめひとめ縫って、出来上がりを触ったり引っ張ったりして漸くちゃんと理解できた気がする。実体験って大事だなあ。

初心者の視点から、幾つかメモしておこう。
・穴の修繕は小さい穴からやった方がいい。糸の引っ張り方・弛ませ方にコツが必要。
・修繕したい箇所より広い範囲を縫うと想定して始めた方がいい。
・薄くなったところの修繕は、特に広めに想定した方がいい。
・薄くなったところの修繕は、元の布の糸をすべて拾うのではなく、適度に拾った方が可愛く仕上がる気がする。
・糸の色選び楽しい。残り少ない糸を集めてやるといい。
・糸の端処理は、とにかく「裏に持っていく」とどうにかなる。
・多少縫い目がガタついても大丈夫。それも味になる。
・愛着がわく。ひとしおである。

繕うことは、ものを作る・直すだけでなく、心満たされるところもあるのかもしれない。

つくるって楽しい。



最近は初めて映像作品も作ってみたよ。みてね。


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